寒いときに体をすぐに温めたいと感じた人は多いと思います。ネット上では、「体を温めるツボがある」という情報がありますが、本当なのでしょうか。ツボを刺激するときの注意点などについて、治療院「R&-ランド-(治療院RAND)」(東京都品川区)の治療家で、はり師・きゅう師の新井春光さんに聞きました。
最初から強い力でツボを刺激するのはNG
Q.そもそも、寒いときに体を温めるツボは存在するのでしょうか。
新井さん「体を温めてくれるツボは存在します。まず前提として、冷え症状は血液の循環が悪くなることなどが原因で生じます。冷えの箇所に適応するツボを温めることで、血流が良くなり、体を温めることができます。
首を下に曲げると、後ろ側に大きく出っ張った骨があるのが分かると思います。その骨の下のくぼみに位置する『大椎(だいつい)』というツボを刺激すると、体が温まります。大椎の位置が分かりにくい場合は、洋服の首元に付いたタグの辺りを触ってみると見つかると思います。
試しに大椎に3分間、少し熱めのシャワーを当ててみてください。体が温まるのを実感できます」
Q.大椎を刺激するときのコツや注意点について、教えてください。手ではなく、物を使って刺激しても問題ないのでしょうか。
新井さん「ツボはとても繊細なため、いきなり強い力でグイグイ押してはいけません。最初は軽い力で刺激を与えてください。特に、いきなり棒などを使って押してしまうと、ツボに過度な刺激を与える恐れがあります。まずは手で優しく刺激することをお勧めします」
Q.大椎を刺激するのに最適な時間帯はあるのでしょうか。
新井さん「最適な時間帯は特にありません。ただ、風呂上がり直後の皮膚が落ち着いていないときに市販のお灸製品を使用すると、やけどのリスクが高まるため、注意してください」
Q.より効率的に体を温めたい場合、大椎に使い捨てカイロを当てても問題はないのでしょうか。
新井さん「問題ありません。当院でも、ツボに貼るカイロをお勧めしています。カイロは洋服の上から貼り、素肌に直接貼らないでください」
Q.ちなみに、寒いときに刺激すると、かえって体を冷やしてしまうツボはあるのでしょうか。
新井さん「あります。例えば、先述の大椎に冷たい水をかけてしまうと、すぐに体が冷えてしまいます。ツボの場所や効果を知ることだけでなく、ツボに対してどのような刺激を与えるかという点も、とても重要です」
寒い日が続きますが、体を温めたい場合はぜひ大椎を押したり、大椎にカイロを当てたりしてみてはいかがでしょうか。
オトナンサー編集部