ANAグループが、巨大貨物機「ボーイング777F」を用いて、成田~ロサンゼルス線の臨時便を設定。この便が成田空港を出発しました。貨物量は重量ベースでは満載ではないものの、これはむしろ同機ならではの特性が、フルに生かされた結果です。
ANAの777F就航は5都市目 愛称は「BLUE JAY」
ANA(全日空)グループが2021年4月23日(金)、成田~ロサンゼルス線に、大型貨物専用機「ボーイング777F」を臨時便として投入しました。同社がロサンゼルス線にこの機体を投入するのは、初めてとのこと。
ボーイング777F型機は、ボーイング777-200LR(Long Range。長距離型)をベースに貨物機改修を加えたモデルで、日本ではANAグループのみが保有しています。末尾のFは「フレイター」を意味します。この機は、100t以上の搭載貨物重量に対応できるほか、巨大な貨物スペースから、これまでサイズや制約により輸送困難だった大型貨物(約3mまで)にも対応でき、半導体製造装置や工作機械などの輸送も可能といいます。
成田空港からロサンゼルスに向け離陸するANAカーゴ「ボーイング777F」(2021年4月23日、乗りものニュース編集部撮影)。
ANAの777Fは2019年にデビュー。現在2機を保有しており、北米の青い鳥「BLUE JAY(ブルー・ジェイ。和名はアオカケス)」の愛称が与えられてます。今回のロサンゼルスは「ブルー・ジェイ」にとって、上海、シカゴ、フランクフルト、バンコクに次ぐ5地点目の就航都市です。
ANAカーゴによると今回の臨時便は「新型コロナウイルス感染拡大で航空貨物の需要が上がるなか、海上輸送も混乱しており、これに対応するためのもの」といいます。この日、成田発ロサンゼルス行き臨時便、NH9646便に積まれた貨物重量は約75t。一見、重量的にはまだ余裕があるように思われますが、大型半導体装置や医療機器、自動車部品などが積まれていることから「貨物スペースから見ると満載の状態」とのこと。まさに、大型貨物機ならではの特性が生かされた便となりました。
なおANAグループでは、新型コロナウイルス拡大感染下で実施されているノーパックス便(旅客機に乗客を載せず、貨物のみを搭載し運航)も、2021年に入り毎月1000便以上が運航されているとのこと。航空便での貨物輸送は、引き続き、平時より大きく増加しています。
なおANAカーゴは、同路線における777Fの定期便投入は「状況を見ながら」としていますが、5月にも臨時便が1往復追加で運航されることが決定しました。成田発のNH9646便は、23日13時56分に成田空港を離陸。折り返しとなるロサンゼルス発のNH9645便には、自動車部品や生鮮品などが重量ベースでほぼ満載となる100tが搭載される予定です。