「暑さしのぎにプールへ行こうと思ったら、子どもの足に水疱が……」「昨日まで風邪気味だったけど今日は元気そう……」そんなとき、プールに入っていいのかどうか迷いますよね。そこで、小児科医の森戸先生に判断の目安を教えてもらいました。
夏の楽しみといえばプール
(※画像はイメージです)
子どもたちの夏の楽しみの一つといえば、プールですね! ここ近年の夏はあまりにも暑いので、余計に楽しみにしている子が多いかもしれません。
家庭でビニールプールを楽しむ人も多いでしょうし、夏休みはスポーツ施設や遊園地、ホテル、園や学校でもプールに入る機会も増えるでしょう。
そうなると気になるのが、どんなときにプールに入ってよくて、どんなときには入ってはいけないか、です。小児科の診察室ではよく親御さんに「お風呂に入れていいですか?」と聞かれますが、夏になると「プールに入ってもいいですか?」が加わります。
基本的に、お子さんの体調が悪くなって様々な症状があらわれる「急性期」にプールに入れるのはやめましょう。37.5度以上の熱があるときはもちろん、鼻水がひどいとき、咳があるときにプールに入らせる必要はないでしょう。
また、お子さん本人が疲れていたり、眠かったりしてプールを嫌がるときも、大事をとってやめておきましょう。そのほか何らかの感染症にかかっているとき、症状が悪化する恐れがあるときはプールはやめて、ゆっくり休ませてください。
プールに入ってはいけないとき
どんなときにプールに入らないほうがいいか、より具体的に考えていきましょう。
まず、下痢をしているときはプールに入らないでください。塩素で消毒されていない小さいプールにでも子どもは潜ることがあり、不衛生だからです。水遊び用のオムツでも、水様便は溶け出してしまうかもしれません。
そして、下痢が起こるほとんどの「おなかの風邪」はウイルスや細菌によって起こるため、感染が広がる恐れもあります。おなかが痛いときに冷やすのもよくないですね。
次に、皮膚状態が悪いときも入らないようにしましょう。特に「アトピー性皮膚炎」が悪化してジクジクしているときにプールに入ると、皮膚がふやけてより悪化しがちです。こまめにシャワーを浴びる、水浴びをするなどして汗を流すのは皮膚によいのですが、長く水に浸かるのは避けてください。
「トビヒ」は、周囲にうつしてしまうリスクがあるのでNGです。本人の皮膚にもよくありません。同様に、火傷やケガなどの傷が大きい場合、ひどい場合も皮膚状態が悪化するのでやめておきましょう。
また「中耳炎」が耳垂れが出るほど悪化している場合、耳に水が入るとよくないので、やめておきましょう。症状が軽い場合でも水に潜ることは避けたいので、治療中であればプールに入っていいか医師に確認しておくといいでしょう。それからワクチンを接種した日はハードな運動を避けたほうがいいので、プールもお休みしてください。
プール前には全身状態をチェック!
一方、どんな感染症にかかっても、学校保健法で定められた出席停止期間を過ぎ、症状が落ち着いて登園や登校がOKな状態で、しかもお子さん本人の調子がよければ、プールに入っても問題ありません。
また、「水いぼ」はビート板やタオル・うき具などを介しても他人に感染しますが、患部をラッシュガードや水着、絆創膏などで覆うことができれば、プールに入っても大丈夫。水いぼは完治までに長い時間がかかりますから、完全に治るまで入らないとなると、夏の間に一度もプール遊びができない可能性もあります。
園児たちの間では特に、感染症がよく流行します。飛沫感染する病気であればプールに入っても入らなくても、密着していたら感染するリスクはあります。でも、感染のリスクは発症前のウイルス潜伏期間も高く、いつ誰がどんな感染症にかかるかはわかりませんから、リスクをゼロにすることは不可能なのです。
大事なのは、プールに入る前に、お子さんの全身状態をちゃんとチェックすること。目が赤くないか、体調が悪い様子はないか、肌が荒れていないか。こうしたことを毎回チェックして必要に応じて休ませることが、水の事故防止にもつながりますよ。