あるメーカーが「左折事故・巻き込み事故」に関する意識調査を行った結果、左折時に怖い経験をした人が意外と多いことが浮彫りに。実は右折よりも怖いかもしれません。
大型車の左折で4割の人が危険を感じた
車載機器の専門商社である東海クラリオンは2024年7月8日、全国の男女10代~90代の計1000名に「左折事故・巻き込み事故」に関する意識調査を行った結果を発表しました。
ハンドルを操作するドライバーのイメージ(画像:写真AC)。
調査結果によると、「歩行中、トラックや大型車による“左折事故・巻き込み事故”の危険を身近に感じたことはありますか?」という質問に、44.1%の人が「はい」と回答したそうです。そのうち、事故の危険を感じた対象が「歩いている自身」であると答えたのが6割という結果で、他人と答えた人が3割、ほかに親戚や親、友人、ペットなどの少数回答も出ました。
危険を感じる原因は、ドライバーが左折を「目視と勘」に頼っていることを知らない人が多いのも関係しているようです。「左折時、トラックや大型車のドライバーが“目視と勘”で距離を測っていることが多いと知っていましたか?」という質問に、57%の人が「いいえ」と答えました。
大型車は、前輪と後輪の間隔が長いという構造上、曲がるときに後輪が前輪よりも内側を通る「内輪差」が生じ、運転席の反対側は“死角”となるエリアが大きくなります。
そのため、左折事故や巻き込み事故を防ぐためには歩行者自らも安全を最優先に考えた行動を取ることが重要です。東海クラリオンの調査報告では、「明るい服装や反射材付きの衣服を着用し、自分の存在をドライバーにアピールしたり、夜間や曇りの日にはライトや反射材付きのアイテムを持ったりと、視認性を高めることがよいでしょう」と、ドライバーに視認してもらえるように目立つことが重要だとしています。
また、トラックの挙動をよく観察し、特に右左折やバックをしようとしている場合は距離を保つ良いとも解説していました。
「内輪差」にまつわる問題は乗用車でも
実は、この「内輪車」にまつわる問題は、乗用車にも共通しています。左折は右折の3倍難しいとする教習所もあるほど。教習においても、右折はうまくできても、左折でつまずくケースが少なくないようです。
近年問題視されているのが、内輪差により縁石に車体を擦ったり、歩行者や自転車に接触するのを恐れ、一瞬だけ逆方向にハンドルを切る「あおりハンドル」です。ハンドルを右に振ることで、左からくる自転車やライダーなどが、「道をあけてくれたと」勘違いし、左折時に巻き込んでしまう事故が頻繁に起きています。
JAFによると事故を避けるためには、後続車や歩行者に対してその自動車が左折しようとしていることをわからせるため、なるべく左側によることとしています。ただ大型車ではなくとも、内輪差により、歩行者や自転車を巻き込んでしまう可能性が残っているので、スピードを落とし、徐行しながらというのが重要のようです。
かといって、左折中に止まってしまうと、これも問題で、今度は譲られたと勘違いしてしまう歩行者も出てくるという意見もあるといいます。
左折する際に周囲の情報を目視に頼っているのは大型車だけではなく、一般車のドライバーも同じ。夜間や視界の悪い天気などの場合、歩行者はライトや反射材付きのアイテムなどで、その存在に気付いてもらうことが事故防止に有効なのは共通しています。