新型コロナウイルスの影響で、入社式や新入社員研修が中止になっている企業も多いかと思います。しかし、新入社員にとって、社会人になるための心構えやビジネスマナーは最低限覚えておきたいものです。
今回は、マナー講師の西出ひろ子さんに解説してもらいます。西出さんは、NHK大河ドラマ「龍馬伝」でマナー指導を担当するなど幅広く活動し、日本のトップクラスのマナー講師として知られています。近著に「さりげないのに品がある気くばり美人のきほん」(かんき出版)があります。
ホチキスはどのように留めるのが正解?
会議、プレゼンテーション、商談、交渉など、ビジネスパーソンはさまざまな場面で、資料や書類を作ることがあります。ホチキスを使って資料をまとめる際、気を付けておくことは何でしょうか。
「最近では、エコのためにホチキスを使わない会社もありますが、やはり、ホチキスはしっかりとまとまり便利なので、今も多くの企業が使用しています。書類や資料をホチキスでまとめるとき、どのようにとじるのが一番評価が上がるのでしょうか。斜め、横向き、縦など、さまざまなことが考えられると思います」(西出さん)
「基本的には、用紙が縦でも横でも、簡易的に角を1カ所留める場合、ホチキスの針は、『斜め』に留めます。この場合、横書きであれば左上に、縦書きは右上に留めるのが一般的です。一方、テキストっぽくきちんとしたレジュメなどを作りたい場合は、用紙の端と平行になるよう、まっすぐに用紙のサイズに合わせて留めます」
つまり、資料の完成スタイルをイメージして、どういうとじ方をしていれば紙がめくりやすいかを考えなければいけないのです。ホチキスの留め方に配慮したことがない人も、多いのではないでしょうか。次に、ホチキスの留め方「上級編」について伺いました。
「それは、ホチキスで留めた部分の裏表の箇所にシールやテープをつけることです。シールがなければ、ホチキスの後ろ側にある針を取る出っ張りで、膨れたホチキスの針の裏側を上から押します。
膨らみが残ったままだと、資料を重ねたときにかさばりますし、少しずれたときには針の先端が紙から離れて、けがをする危険性があります。膨らみをなくしておくことがプラスワンのマナーです。これは、資料を見る人がけがをしないための配慮でもあります」
「ホチキスを使用するときのとじ方は先述の通りですが、市販の製本テープを使用したり、製本テープを使わずに自分で紙を使用したりして、製本をすることなどもあるでしょう。残念な人と言われないためにも、相手がスムーズに作業できるように、丁寧なとじ方を意識しましょう」
ワイシャツは白とストライプ、どちらが正解?
ワイシャツには、無地、ラインの入ったストライプ、色もさまざまなものがあります。どのようなワイシャツがベストなのでしょうか。
「柄は無地のものを選ぶ方がいいでしょう。落ち着きと上品さを印象づけることができるからです。地味ではありますが、無地のワイシャツやスーツを選ぶことで、真面目で安心できる人という印象を相手に与えることができます。
業界人の中には、派手なスーツにストライプの入ったワイシャツを着て“できる自分”を演出している人を見かけます。しかし、そのような場合も、無地のスーツに無地のワイシャツをおすすめします。生意気だと思われてしまうと、仕事がやりにくくなります」
「会社によっては、薄いピンクやブルーのワイシャツでも問題ないケースもありますが、最も清潔な印象を与えることができる白いワイシャツが、仕事を円滑に進めるという意味でも最強なのです」
さらに、控えめな服装で相手を立てるという意識を持つことも大切です。服装が目立ちすぎては、相手を立てるどころか違和感のある人になってしまいます。
「お客さまや上司、先輩よりも、派手で、おしゃれな見た目は控えた方がいいでしょう。あなたがベテランだとしても、やはり、お客さまより控えめな服装を心がけることです。できる限り、清潔感、上品さを印象づけた方が評価は高まります。白いワイシャツを着て、スーツは黒やダーク系を着る。おしゃれをしたい人には物足りないかもしれませんが、誠実さや安心感を相手に与えるには、このスタイルが理想的なのです(直接対面しないリモートワーク中などはこの限りではありません)」
マナーのデキる人は、無地のワイシャツで安心感を与えます。マナーのデキない人は、ストライプの派手な色で相手を不快にさせます。あなたはどちらですか。この機会に覚えておきましょう。
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之