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救急車呼んでいいのか悪いのか 「緊急性」の判断の仕方

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東京消防庁管内での出動頻度は41秒に1回のペース
東京消防庁管内での出動頻度は41秒に1回のペース

体調を崩して自力で病院に行けそうもないと、119番をダイヤルして救急車を要請しようと思うだろう。だがその時、ふとちゅうちょするかもしれない。「この程度の症状で、本当に呼んで大丈夫か」。

最近、救急車を「タクシー代わり」に使う事例が批判を浴びている。あまりにも安易に利用するのは、本当に必要としている人にとって迷惑だ。一方で、自分が一刻を争う病状にあるかどうか判断がつかない症状の場合は、どうすればいいのか。

タクシーで行ったらかえって症状悪化

ツイッターに2017年11月15日、救急車にまつわる書き込みが寄せられた。投稿者は、情報サイト「nanapi」創設者の古川健介(けんすう)さんだ。

「41度の熱が5日続いて手足と顔が痺れて動けなくなりヤバイと思って人生で初めて救急車呼んだんですが、『別に何もできないですよ』『タクシーでは来れなかったですか?』と詰められまくったの辛かった。結局その日は帰らされたから別の病院いったらすぐ入院になった。どういう時に救急車呼べばいいの...」

文面から、相当具合が悪かった様子が分かる。これで「タクシーで来い」と言われたら、確かに「では救急車はいつ使えるのか」と疑問がわくだろう。けんすうさんのツイートに対しては、急病で救急車を頼んだら医師に似たようなことを言われた、高熱が出たとき救急車を呼んだが、実はアナフィラキシー・ショックで命にかかわる状態だった、逆にタクシーで病院に行ったら長時間待たされて症状が悪化し、医師から怒られた、といった体験談が寄せられた。

記者は2016年、夜中に腎臓結石で強烈な痛みに襲われ、119番で救急車を呼んだ。電話口で状態を説明するとすぐに手配をしてくれた。病院でも「なぜタクシーで来なかったか」を問われることはなかった。どこまで緊急性があったかは分からないが、時間帯が深夜だったこと、人の手を借りないと動けないかもしれないとの判断だった。もちろん、痛みに耐えられそうになかったのも大きかった。

「#7119」にダイヤルし医療従事者に相談できる

東京消防庁管内では年々、救急車の出動回数が増えている。2016年は77万7382件で、前年比2.3%増。救急業務が始まった1936年以降、過去最多だった。出動頻度は実に41秒に1回のペースだ。2016年は、通報から現場に到着するまでの平均時間が7分30秒だった。

そこで東京消防庁では、救急車の適正利用を呼び掛けている。実は医療機関に搬送された人のうち、52%が医師から軽症と診断された。なかには、子どもが膝をすりむいたり、料理中に包丁で小指に切り傷ができた程度で救急車を要請したケース、また病院に入院するためにタクシー代節約が目的で呼んだという人もいた。

これらはさすがに極端だろうが、実際に自分が体調を崩し、救急車を呼ぶうえで緊急性の有無を自己判断する場面に遭遇するかもしれない。もし迷ったら「救急相談センター」を活用するとよい。電話で「#7119」とダイヤルすると、医師や看護師、救急隊員経験者が24時間態勢で「救急車を要請してよいか」「今すぐに病院へ行くべきか」といった相談に応じてくれる。総務省消防庁によると、2017年10月13日現在で東京都や大阪府、福岡県、埼玉県、宮城県、奈良県で実施され、市町村レベルでは横浜市、札幌市、神戸市、和歌山県田辺市でも利用できる。

もちろん、「傷病者の様子や事故の状況などから、急いで病院へ連れて行ったほうが良いと思ったときには、迷わず119番通報をしてください」と東京消防庁はウェブサイトで強調している。ただ、「#7119」の利用が拡大、定着すれば不要な救急車の出動が減り、本当に必要としている人が待つ場所へ短時間で到着できるようになるはずだ。

逆にこのまま出動回数の増加に歯止めがかからなければ、これまで通りの利用ができなくなるかもしれない。現に2015年には、国の財政制度等審議会が救急車の一部有料化を検討するよう財務相に提言している。

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