JR横浜線 相模原駅北口の街づくりが本格的に動き出しそうです。この開発は、小田急多摩線の延伸にも関係する一大プロジェクト。延伸に向け、導入空間も確保されます。
「相模原駅北口地区」開発へ検討深度化
JR横浜線・相模原駅北口の街づくりが本格的に動き出しそうです。相模原市は2024年7月16日、「相模原駅北口地区」の土地利用計画の策定に向け、民間企業等から提案を募集すると発表。開発に向け、検討の深度化を図る方針を明らかにしました。同地区には、小田急多摩線を延伸する構想もありますが、今後はどうなるのでしょうか。
小田急の車両(画像:写真AC)。
相模原駅北口には、約214ヘクタールの米軍相模原補給廠があり、2014年に一部返還(約17ヘクタール)が実現。このうち、道路・鉄道用地を除いた約15ヘクタールについて相模原市が土地利用に向けた調査や検討を行っています。現在は、広大な空き地や低層の住宅が広がっている状態です。
市は2020年5月にまちづくりコンセプト、2022年5月に土地利用方針を策定し、2023年3月には「土地利用計画の方向性」を取りまとめています。土地利用の案として「にぎわい機能を備えた中層低密度・ライフ重視ケース」「職住近接高層高密度・イノベーション重視ケース」「スタジアム・商業を核とした高層高密度・交流重視ケース」を基本に検討を深度化していく方針を示していました。
今回は、民間事業者から参考となるような提案を募り、土地利用計画の骨子案を策定するとしています。具体的には、導入機能や具体的な施設イメージ、交流ハブ機能、必要となる周辺道路ネットワークなどの交通、脱炭素型まちづくりなどについて提案を求めるとしています。
“小田急の延伸”前提で空間確保
「相模原駅北口地区」の土地利用計画で特徴的なのは、将来的な小田急多摩線の延伸を見据えて「南北道路」を整備し、道路下を延伸部の導入空間となるよう準備しておくという点です。
小田急多摩線は、終点となっている唐木田からさらに南へ延伸し、相模原駅を経てJR相模線の上溝駅へ接続する構想があります。唐木田駅の先には、小田急線の車庫「喜多見検車区唐木田出張所」があり、延伸が実現した際は、留置線2本が本線として転用される見込みです。
延伸は沿線自治体や学識経験者、鉄道会社などで構成する「小田急多摩線延伸に関する関係者会議」が検討中。2019年の報告書では、相模原駅周辺地区について、延伸線の需要増加につながるように、着実なまちづくりに取り組む必要があると指摘しています。
なお、小田急電鉄は多摩線の延伸について「コロナ禍を経てテレワークが定着し、鉄道利用に関わる社会環境も変化していることから、地元自治体のまちづくりによる需要創出を注視しつつ、関係者会議における検討に協力します」とのスタンスを示しています。
多摩線の延伸には、先述の通り鉄道を核としたまちづくりが必須となることから、先んじて動きが出てきたといえそうです。今後、開発に向けた検討が本格化する見込みですが、延伸を見すえた導入空間が実際に活用されるかどうかは、未だ不透明な状況と言えます。