天皇陛下は4月30日(2019年)に退位され、翌5月1日に皇太子さまが新天皇となり、元号も「平成」から「令和」に変わる。「生前退位」「皇后美智子さまの献身」「大災害」――。この30年、様々な出来事があった。天皇にとってどんな時代だったのか。今回は身近で長く取材してきた皇室ジャーナリストが陛下の素顔や胸の内を解説する。
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等身大の本当の「お気持ち」とは
最近の皇室関連のテレビ番組で引っ張りだこになっているのが、『明仁天皇の言葉 平成の取材現場から読み解く「お気持ち」』(著者:近重幸哉 祥伝社 1620円)の著者、近重幸哉氏だ。
1988年に週刊誌「女性自身」(光文社)の記者となり、皇室取材を担当、今日まで皇室ご一家を取材している。憲法の定める「象徴」として、どのように歩み、本当の「お気持ち」はどこにあるのか、幼少期からの発言をたどり、陛下の等身大の姿を描き出す。
「象徴」「祈り」「平和」「世界」「孤独と幸福」の5章で、「生前退位の衝撃」「美智子さまの献身」「沖縄訪問」「天皇家の『家族問題』」など内容は多岐にわたる。
皇太子と銀座に繰り出した「銀ブラ事件」
『知られざる天皇明仁』(著者:橋本明 講談社 1998円)の著者、故・橋本明氏は当時の皇太子と同級生で、学習院初等科から大学卒業まで「ご学友」として遠慮なく接した。有名なのは、高等科時代に銀座に行きたいと相談され、一緒に銀座に繰り出したという「銀ブラ事件」だ。
「世襲の職業はいやなものだね」と自らの将来を嘆き、「一生、結婚できないのかもしれない」と漏らす。「ご学友」が見た悩み多き青春の日々――。将来の天皇と定められた運命のなかで、どう成長していったのか。
目次は「父と子」「学習院高等科――青年・皇太子の悩み」「世紀のご成婚ブーム」「開かれた皇室に向けて」など7章。橋本氏は大学卒業後、共同通信に入社し、ジュネーブ支局長、国際局次長などを歴任。他の著書に『平成の天皇』『美智子さまの恋文』『平成皇室論』など。
寄り添い、ひざをついて、励ましの言葉
「傷ついた国民の前に、いつもお二人の姿があった」――。『天皇皇后両陛下と平成大災害 激動の30年全記録』(著者:産経新聞社 産経新聞出版 1728円)のキャッチフレーズだ。
阪神・淡路大震災、東日本大震災をはじめ、平成の時代は多くの災害に見舞われた。天皇、皇后両陛下が訪れた被災地は23都道県、延べ104市区町村に及ぶ。お二人はいつも、悲嘆した被災者に寄り添い、ひざまずき、励ましの言葉をかける――。
オールカラー160ページ、1000枚を超える写真で「平成の御巡幸」と「両陛下のあゆみ」を振り返るとともに、30年の年表を綴る。両陛下の歌88首も収録し、手元に置きたい永久保存版だ。<J-CASTトレンド>