JR東日本は、羽田空港アクセス線の「臨海部ルート」について、2031年度の開業を目指す方針を明らかにしました。どのような運行形態となるのでしょうか。
「臨海部ルート」開業目標が2031年度に
JR東日本は2024年7月24日、羽田空港アクセス線の「臨海部ルート」について、2031年度の開業を目指す方針を明らかにしました。
りんかい線(画像:写真AC)。
羽田空港アクセス線(仮称)は、東京方面の「東山手ルート」、新宿方面の「西山手ルート」、新木場方面の「臨海部ルート」の3ルートが計画されています。実現すれば、首都圏各地から羽田空港へのアクセスが大幅に向上します。
このうち「東山手ルート」については、JR東日本が2023年6月に起工式を開催しており、2031年度の開業を目指して工事が進められています。JR東日本は今回、「臨海部ルート」についても開業目標を2031年度と位置付けた形です。
「臨海部ルート」が実現すれば、新木場~羽田空港間は天王洲アイル乗り換え・東京モノレール経由で約41分のところ、約20分に短縮する見込みです。
ただ、「臨海部ルート」と「西山手ルート」に関しては、JR線ではない東京臨海高速鉄道りんかい線を経由するため、実現するには国や東京都などの関係者と協議が必要となります。
「別会社」の壁を越えるのか?
この「りんかい線経由」は問題を抱えています。JR線の各駅から羽田空港へ向かうとき、「JR~りんかい線~JR」「JRのみ利用」の2パターンが生まれ、安くなる後者の運賃を支払いながら実際にりんかい線を経由しても、途中で改札機を通らないため区別する方法がありません。りんかい線にとっては丸々損となる、頭の痛い課題です。
JR東日本は「今後、2031年度の開業に向けて各種の調整を進めていく」としていますが、事業スキームなどがどうなるのか注目されます。
「臨海部ルート」の運行形態については、りんかい線経由で「新木場方面」へ直通する想定ですが、現時点では新木場駅止まりなのか、そこから京葉線へ直通するのかが明言されていません。
この点についてJR東日本は「京葉線との直通については、現時点では具体的な検討はしていませんが、利便性向上の観点から検討課題と認識しています」(広報部)と話します。
「臨海部ルート」が実現すれば、羽田空港から「新木場駅まで」は直通列車が走りますが、京葉線へ直通する列車が実現するかどうかは未知数です。過度な期待は禁物と言えるでしょう。