子どもは2歳ごろになると、親の言うことに対して「イヤ」という返事を繰り返すようになります。このように、子どもがイヤという返事を繰り返す時期は「イヤイヤ期」と呼ばれており、「魔の2歳児」という言葉があるくらい、子育てをする上で大きなハードルになっているケースも多いのだそうです。
毎日のように子どもからイヤイヤ言われてしまうと、親は「どうやって接したらいいの?」とイライラしたり、不安な気持ちになったりしてしますよね。イヤイヤ期の子どもに対して、どのように接するとよいのでしょうか。保育士の白井麻依子さんに聞きました。
「何がイヤなのか」を聞いてあげることが大事
Q.子どものイヤイヤ期は、平均的に何歳から何歳まで起きるものなのでしょうか。
白井さん「早い子では1歳になる前から自己主張を覚え、イヤイヤ期に突入します。ピークは2歳ごろで、3歳に差し掛かると落ち着いてくる子が多いといわれています。
また、イヤイヤ期を過ぎた4~5歳ごろに、幼児期における反抗期が始まる子もいます。私はこれを『成長期』と呼んでいて、自立心や自分の意思を伝える方法を覚えるのに大事な段階です」
Q.イヤイヤ期の子どもに対する親のNG行為はありますか。
白井さん「まずは、『ダメ!』『いい加減にして!』など、即座に叱ってしまうことです。大人にとっては理不尽に感じることもあるかもしれませんが、お子さんは親御さんを困らせようと思ってイヤイヤ言っているわけではありません。まずは落ち着いて話を聞いてあげて、『何がイヤだったのか』を肯定してあげることで、子どもは安心するんです。
例えば、寝る時間であるにもかかわらず、子どもが夜更かしをしてしまう場合は、『そうだよね。これをしたかったね』と、子どもの気持ちを受け止めてから、『もう寝る時間だから今はできないけれど、朝起きたらまたやろうよ』などと、今できない理由や他にできることを伝えると、子どもが納得しやすいと思います。
ただし、子どもの話を聞いてあげることと甘やかしを混同しないようにしてください。特に、『これを買ってあげるから』など、物を使って落ち着かせようとすると、、子どもは『同じ行動をしたらまたお菓子を買ってもらえるかも!』と学習して、同じ行動を繰り返すこともあります」
Q.では、イヤイヤ期の子どもを落ち着かせるための対処法について、教えてください。
白井さん「イヤイヤ期の子どもは、まだ脳が成長過程の時期で、その後、次第に自己形成が始まります。そのため、自分が思っていることや自分がやりたいことをうまく言葉にすることができなかったり、自分でやってみたいことがうまくできなかったりして泣いてしまうことはよくあります。
そうしたもどかしい気持ちを抱えている子どもに、まずは寄り添ってあげることがとても重要です。『これがイヤだったんだね』と気持ちを受け止めてあげて、落ち着きを取り戻せるまでじっと待ってみましょう。その上で、気持ちをより切り替えやすくする行動をしてあげることが大事です。
例えば、違う遊びを促してみたり、部屋を変えてみたり、他のものに興味が移るようにしてみたり、一度気持ちを受け止めてあげたりすると、子どもは『気持ちを分かってくれた!』と安心できるようになり、落ち着いて気持ちを切り替えやすくなりますよ」
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子どものイヤイヤ期は親にとって難しい時期ですが、子どもが「なぜイヤイヤ言っているのか」を理解してあげることが重要であることがよく分かりました。イヤイヤ期は何年も続くものではないため、無理のない範囲でお子さんにうまく接してあげられるとよいですね。
オトナンサー編集部