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戦闘機のミサイルを地上から撃つ!? 空自の防空システムが異例の「二刀流」化 その改修の狙いは

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そもそも「基地防空用SAM」とは

 航空自衛隊の「基地防空用SAM」は、1983年度から配備されてきた国産の81式短距離地対空誘導弾(81式短SAM)の後継として開発されたシステムです。防衛省技術研究本部(技本)が、2005年度から2009年度にかけて東芝を主契約会社として開発し、2011年度から調達が進められています。

Large figure1 gallery2基地防空用地対空誘導弾の射撃訓練の様子(画像:航空自衛隊)

 このシステムは、指揮統制装置や射撃統制装置、ミサイル発射装置などで構成されます。ミサイル本体は重量約103kg、全長約2.93mで、目標を探知・追尾する誘導方式にはアクティブ・レーダー誘導方式が採用されています。

 開発にあたっては、同じく81式短SAMの後継を必要としていた陸上自衛隊と要求を共通化し、ライフサイクルコストの低減が図られました。陸上自衛隊向けは「11式短距離地対空誘導弾(11式短SAM)」として制式化され、2014年から全国の高射部隊へ順次配備が進んでいます。

 基地防空用SAMと11式短SAMは、従来の航空機だけでなく、81式短SAMでは対処が難しかった超音速ミサイルや小型ミサイルなども捉える能力を持っており、多様な攻撃に有効に対処できるのが特徴です。

異色の「二刀流」その狙いは

 今回、2027年度概算要求に盛り込まれた改修は、この基地防空用SAMに、戦闘機用の空対空ミサイルAAM-5Bを搭載可能にするというものです。

Large figure2 gallery3航空自衛隊の基地防空用地対空誘導弾(画像:航空自衛隊)

 AAM-5Bは、技本が三菱重工業を主契約会社として開発したAAM-5(04式空対空誘導弾)の発展型です。赤外線画像で目標を捉える方式で、妨害にも強く、高い機動性を誇ります。さらにAAM-5Bでは、二波長赤外線センサの採用によって、対赤外線妨害対処能力(IRCCM)と背景識別能力が向上しています。その性能は、世界の短射程空対空ミサイルをリードするものとされています。

 改修の詳細はまだ明らかになっていませんが、断片的な情報を総合すると、元々の地対空ミサイルと交換するのではなく、既存のミサイルキャニスターの外側にアタッチメントを介してAAM-5Bを搭載するようです。この改修と各種試験は、2031年度末までに完了する計画となっています。

 この異色の改修事業により、基地防空用SAMは、アクティブ・レーダー誘導と赤外線画像誘導という、誘導方式も射程も異なる2種類のミサイルを発射できるようになります。これにより、多様な経空脅威に対し、より多層的な対空戦闘を行うことが可能になるのです。

 また、副次的な効果も期待されています。高性能なAAM-5Bですが、搭載できる戦闘機は現在のところF-15近代化改修機とF-2の2機種に限られます。ここにSAMとしての用途が加わることで生産数が増加し、国産空対空ミサイルの技術・製造基盤を維持することにも繋がります。

すでに「改善型」の開発も進行中

 実は、基地防空用SAMと11式短SAMについては、早くも2022年度から「基地防空用地対空誘導弾(改)/新近距離地対空誘導弾」として、後継装備の開発が進められています。

Large figure3 gallery4F-15戦闘機に搭載された国産の空対空ミサイル「AAM-5」(画像:PIXTA)

 航空自衛隊向けの「基地防空用地対空誘導弾(改)」は、巡航ミサイルによる同時多発的な攻撃に有効に対処するため、同時多目標対処能力の向上やミサイル本体のコスト低減を図った改善型とされています。一方で陸上自衛隊向けの「新近距離地対空誘導弾」は、主に低空域の脅威に対処する93式近距離地対空誘導弾の後継という位置付けです。

 今回計画されているAAM-5Bの搭載改修は、この改善型の開発とは別の事業として進められます。計上額は「事項要求」のため明らかにされていませんが、「安全保障三文書」の改定後、12月の2027年度予算案までに確定する見込みです。

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