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ニキビの色が「赤」になったらいよいよ危険…皮膚科医が警告する「赤ニキビ→黄ニキビ」進行の恐ろしさ

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美容・健康

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ニキビの「色」で進行度が分かる?
ニキビの「色」で進行度が分かる?

 肌にポツポツと現れる「ニキビ」。気になってはいても、「色によって状態が違う」と意識している人は意外と少ないかもしれません。実は、ニキビは「白→黒→赤→黄」と色を変えながら進行していき、それぞれが異なる肌のサインを示しています。

 中でも「赤ニキビ」は、炎症が起こっている状態。放っておくと、色素沈着や「瘢痕(はんこん)」といった肌トラブルの原因にもなりかねません。今回は、「湘南美容クリニック中野駅前院」院長で皮膚科専門医の山内輝夫医師が、ニキビの色で分かる肌状態と、特に注意が必要な「赤ニキビ」への対処法について、皮膚科専門医の視点から解説します。

見逃してはいけない…肌に現れる「色のサイン」

 ニキビは、医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚疾患です。思春期から大人にかけて幅広い年代にみられ、毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖など、複数の要因が重なって生じます。

 ニキビは、段階ごとに色調が変化します。最初に現れるのは「白ニキビ」。毛穴が詰まり、皮脂がたまって膨らんだ状態ですが、まだ炎症は起きていません。やがて皮脂が空気に触れて酸化すると、黒ずんで「黒ニキビ」へと移行します。この時点では炎症は軽度で、比較的コントロールしやすい段階といえます。

 しかし、毛穴の奥でアクネ菌が繁殖し始めると、このアクネ菌が皮脂を「遊離脂肪酸」に変化させることによって体の免疫反応が起こり、炎症を伴った「赤ニキビ」になります。患部は赤く腫れ、熱感や痛みを伴うこともあり、皮膚の内側で炎症が進んでいる証拠です。

 さらに炎症が強くなると、膿(うみ)がたまり、黄色っぽく変色する「黄ニキビ」へと進行。こうなると皮膚の奥にまでダメージが及んでいる状態で、跡が残るリスクも高まります。このように、ニキビの「色」は単なる見た目の違いではなく、肌の内部で何が起きているかを示す重要なサインなのです。

赤ニキビは「肌ダメージの分かれ道」

「赤ニキビ」は、毛穴の中でアクネ菌が増殖し、それに対する体の免疫反応によって炎症が起きている状態です。アクネ菌自体は常在菌であり、健康な皮膚にも存在していますが、毛穴が詰まり、毛穴の中で皮脂がたまっていくことによって、菌のバランスが崩れ、炎症が引き起こされます。この炎症反応が続くと、肌の表面だけでなく真皮層にまで影響が及びます。その結果、治癒後に色素沈着が残ったり、組織が破壊されて線維性の組織に置き換わってしまうことによって、クレーター状の瘢痕ができたりすることもあります。

 特に、東アジア人の肌質は炎症後色素沈着(PIH :Post Inflammatory Hyperpigmentation)を起こしやすい傾向があることが報告されており、赤ニキビの段階で適切にケアすることが、跡を残さないためには非常に重要です。

 原因としては、皮脂の分泌を活性化させる男性ホルモンの影響や、ストレス、睡眠不足、糖質・脂質の多い食生活、紫外線による刺激、マスクによる摩擦など、日常生活に潜むさまざまな要因が関係しています。特に近年は、長時間のマスク着用による蒸れや摩擦がニキビの悪化を招くケースも多く、「マスクネ(mask+acne)」として注目されています。

ケアの基本は「触らない、擦らない、乾かさない」

「赤ニキビ」のケアで最も大切なのは、「炎症を広げないこと」です。多くの人がつい気になって患部に触れたり、つぶしてしまったりしますが、それによって細菌が広がり、炎症が悪化してしまいます。さらに、物理的な刺激は肌のバリア機能を傷つけ、色素沈着や瘢痕を残す原因にもなります。

 スキンケアとしては、まず洗顔を優しく行うことが基本です。ゴシゴシと擦るのではなく、泡で包むようにして洗い、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。その後は、低刺激の保湿剤でしっかり水分を補い、乾燥を防ぐことが大切です。「赤ニキビがあるから」と保湿を避ける人もいますが、乾燥は皮脂分泌を促し、かえって悪化させることもあります。ただし、過度な保湿も菌の増殖を促してしまうため、適度な湿潤環境を意識しましょう。

 また、炎症が強く、痛みや腫れが目立つ場合には、市販薬での対応では限界があります。こうしたケースでは、皮膚科を受診して適切な治療を受けることが望ましいでしょう。実際に医療機関では、炎症を抑える抗菌薬や、毛穴詰まりを改善する外用薬、炎症後の赤みを早く改善する光治療など、症状に応じた治療が可能です。

 ニキビの治療と予防については、特に「過酸化ベンゾイル」や「アダパレン」などの成分が有効であることが、日本皮膚科学会の治療ガイドラインにも記されています。これらは「赤ニキビ」に特化した外用薬ではなく、ピーリング作用を有しており、どちらかといえば予防的な意味合いの方が強いような外用薬ですが、過酸化ベンゾイルにはアクネ菌の殺菌作用も有しています。いずれも、医師の判断のもとで適切に使うことが重要です。

 ニキビは、見た目の色によって肌内部の状態を知ることができます。特に「赤ニキビ」は、炎症が始まり、肌がダメージを受けているサイン。ここで適切なケアができるかどうかが、美肌を守る上での大きな分かれ道になります。「つい触ってしまう」「つぶしてしまう」という日常のクセも、意識して改めることで肌は少しずつ変わっていきます。

 そして、慢性的に繰り返すニキビには、早めの専門的アプローチが功を奏します。肌の声に耳を傾け、日々の小さな変化を見逃さず、赤ニキビを早めの段階でしっかり対処し、今後「赤ニキビ」や「黄ニキビ」を繰り返さないように努めることが、跡を残さない肌づくりへの第一歩です。

湘南美容クリニック中野駅前院 院長/皮膚科専門医 山内輝夫

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