ANAが新たな国内線のフラッグシップ機「787-10」の運航を開始しました。これまでの機体とどう違うのでしょうか。運航初日に乗ることができました。
全長68.3mのロングボディが特徴
ANA(全日空)が2024年3月27日より、新型の国内線フラッグシップ機「787-10」の運航を開始しました。実際の運航初日、この機体を使用した便に乗ることができました。これまでの機体とは、どのような違いがあるのでしょうか。
ANAの787-10国内線仕様機(乗りものニュース編集部撮影)。
787-10は、787シリーズで最長胴(全長68.3m)の長さを持つ最新モデル。ANAは787シリーズをもっとも多く使用する航空会社で、787-10も2019年に導入。しかし、これらはすべて国際線仕様機でした。
今回の787-10国内線仕様機は、現在ANAの高需要国内線で運航されているボーイング777シリーズの後継機として導入され、羽田~新千歳、伊丹、福岡、那覇、関西線などを担当する予定です。現在は2機体制で、今後機数も増える予定です。
運航初日は羽田~新千歳を2往復したあと、羽田発関西行きの軽5便を担当。羽田~新千歳の2往復目は、機材繰りの都合で急きょ投入が決まったとのことで、就航初日のNH74便(新千歳→羽田)で運良く、この機体に乗ることができました。
席数は429席で、将来的には国内航空会社の国内線仕様機としてはもっとも多いキャパシティを持つ機体となる予定です。内訳は、横2-2-2列配置の上位クラス「プレミアムクラス」が28席、横3-3-3列配置の普通席が401席。ANAの航空券予約サイト上などで表示される座席仕様は「78K」となっています。
787-10、ほかの機体とどう違う?
座席の仕様もANA国内線で最新のものです。2019年にデビューしたボーイング777国内線新仕様機、2021年にデビューした787-9国内線新仕様機と同じく、全席に大型モニター・USBポート・電源コンセントを備えます。今回は普通席、機体前方の通路側に座りましたが、通路の長さがかなり印象的です。
普通席の最大の特徴は、13.3インチを標準とするタッチパネル式パーソナルモニターでしょう。映画などを楽しめるほか、フライトマップの現在地を示す機体のアイコンに787-10がきっちり表示される芸の細かさもあります。
また、座席自体も「自動車シートで培った人間工学に基づく技術とANAがもつ航空機シートの安全性や快適性のノウハウを詰め込んだ」ものだそうで、これまでの国内線仕様機のものに比べて、骨格が座席にフィットするような座り心地になっていました。
羽田空港に到着したANAの787-10国内線仕様機(乗りものニュース編集部撮影)。
787は、いわゆる大型ジェット旅客機のカテゴリには入らないとされるモデルですが、787-10の客室で感じる挙動は、大型機にかなり近いものがあります。
たとえば離陸滑走を始める瞬間は、ほかの787よりもGを感じにくく、ゆったりとした走り出しに感じます。さらに、大型化したことで787シリーズの特徴であるフライト時の静音性も、客室とエンジンとの距離が長くなったぶん、さらに際立っているエリアが多くなった印象です。
なお、このフライトでは、CA(客室乗務員)よりこの日から787-10国内線仕様機がデビューしたことを案内する特別アナウンスが流れています。