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無料区間333km!「三陸道」は東北道の代わりに使えるか トイレは要注意

乗りものニュース

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仙台から八戸まで全長359km、うち333kmが無料の「三陸道」は、東北道のバイパスとしての役割も期待されています。実際どれほど「使える」のでしょうか。無料区間ならではの注意点も多々あります。

三陸道でここまで“近く”なったか!

 2021年12月、東日本大震災の復興道路として建設が進められた三陸道(三陸沿岸道路)が全通しました。仙台市から青森県八戸市まで延長359kmに及ぶ三陸地方の新しい大動脈。うち有料区間は仙台側の26kmのみで、残り333kmは無料です。

Large 220616 sanriku 01岩手県内の田野畑付近で。三陸道はICの間隔が短い(乗りものニュース編集部撮影)。

 この道路が開通する以前、並行する国道45号で三陸を縦断するのは、まさに“えっちらおっちら”、非常に時間がかかるイメージがありましたが、どう変わったのか。2022年6月に八戸から仙台まで三陸道を走ってみました。

 三陸道は大部分(石巻市以北)で暫定2車線、最高速度は80km/hとなっており、有料の東北道のように“飛ばす”ことはできません。それでも、八戸から三陸沿岸の都市までの距離と時間をGoogle mapで検索すると、多くのケースで東北道に回るより、三陸回りの方が早いと出ました。

 八戸市から岩手県釜石市までは2時間半(約180km)、宮城県気仙沼市までは3時間20分(約240km)。同石巻市は東北道から国道398号、三陸道を経由した方が距離も短く(約290km)3時間50分と早いですが、三陸回りでもおおよそ4時間20分(約320km)です。ただ仙台市までだと、三陸回りのほうが距離にして60kmプラス(約365km)、1時間以上多くかかります。

 以前は、八戸から釜石や気仙沼へ向かおうとすれば、東北道に回ったはず。三陸地方の距離と時間概念は、三陸道の開通でけっこう変わったのではないでしょうか。しかも“タダ”です。

 三陸道は国道45号より山側を通り、多くのトンネルと橋で山や谷を貫いています。暫定2車線ではあるものの、カーブやアップダウンは緩やかで、見通しもよく走りやすいと感じました。東北道には見通しの悪い急カーブや急坂が連続する箇所もあるため、三陸道を好む人も少なくないと思われます。

 また、全長359kmのあいだにICは70か所以上を数え、次のICまで1kmほどの区間もあります。ひとつの観光地に対し複数のICが使えるケースも多く、一般道を走っていて「次のICまで行って三陸道へ入ろうか」ということがしやすいのです。これは観光周遊の面でもメリットがあるのでは。

 ただ、無料の自動車専用道ならではの注意点も多々あります。

トイレほとんどありません!

「三陸道早いですよー。ただトイレには注意が必要ですが」。岩手県大槌町にて、首都圏から三陸道で何度か帰省しているという女性がこう話しました。

 三陸道は、ガソリンスタンドがゼロ。無料区間にはトイレもほとんどありません。本線に接続している「PA」はいくつかありますが、それも、チェーン脱着所のようなものです。

 その代わり、三陸道のIC案内標識には「道の駅」の案内看板がセットで多く登場します。いったん降りて、近隣の一般道の沿線にある道の駅のトイレを利用することが前提というわけです。ただ、ICを降りてすぐに道の駅があるとは限りません。

 また、本線はよいものの、ICのランプは“思わぬ線形”になっていることがあります。

 たとえば陸前高田ICや陸前高田長部ICなどは、入口ランプと出口ランプが「平面交差」しています。スピードが乗りやすいであろう入口ランプが優先で、出口ランプは一時停止しなければなりません。こうした箇所はカラー舗装で注意が促されているものの、ここ以外でも、本線を離脱したすぐ先で一時停止を強いられる箇所が少なくないのです。

 立体交差のランプを設けないのは、コスト縮減と、現地条件の制約などからICをコンパクトにする目的もありそうですが、いずれにせよ都市部で高速道路を走り慣れた人ほど注意すべきかもしれません。

Large 220616 sanriku 02石巻市内の桃生豊里IC以南は、無料区間も4車線、最高速度100km/hだ(乗りものニュース編集部撮影)。

 とはいえ三陸道は、内陸の東北道と比べて雪が少ないなどの気象条件もあり、物流においても東北道のバイパスとなる目的をもって作られたものです。仙台側では仙台東部道路・常磐道と一体となり首都圏へ通じ、八戸以北も百石道路、第二みちのく有料道路、そして青森方面へ延伸工事中の上北道へと通じ、むつ方面の道路にも連絡します。

 仙台~八戸で東北道にプラス1時間強、しかもほぼ無料とくれば、首都圏との往来を考えても、バイパスとしての強味は十分にあるのではないでしょうか。

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