日本代表は10日、カタールワールドカップ・アジア2次予選でモンゴル代表と対戦し、6-0で勝利を収めた。この試合中、日本サッカーに精通するフランス人ジャーナリストのフローラン・ダバディ氏と、英国人ジャーナリストのアラステア・ヒマー氏に随時話を聞いた。(語り手:フローラン・ダバディ/アラステア・ヒマー)
「相変わらずGKは日本代表の悩みどころ」
日本代表は10日、カタールワールドカップ・アジア2次予選でモンゴル代表と対戦し、6-0で勝利を収めた。この試合中、日本サッカーに精通するフランス人ジャーナリストのフローラン・ダバディ氏と、英国人ジャーナリストのアラステア・ヒマー氏に随時話を聞いた。(語り手:フローラン・ダバディ/アラステア・ヒマー)
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――皆さん、本日はよろしくお願いします!
フローラン・ダバディ(以下、ダバディ)「ダバディです。今日は楽しみにしています」
アラステア・ヒマー(以下、ヒマー)「AFP通信社スポーツ担当アルです。よろしくお願い致します」
――メンバーが発表されました。日本代表は9月の試合から3人を変更しました。
ヒマー「世界ランキング31位の日本対183位のモンゴルですが、ガンガン攻めたい気持ちがあったとしてもその誘惑をある程度無視して、落ち着いてプレーしてほしいですね」
――この試合では、どこに注目しますか?
ヒマー「個人的には久保(建英)選手をスタメンにしてほしかったが、南野(拓実)選手は絶好調ですから楽しみです」
ダバディ「伊東(純也)選手は、ハリルジャパンのときの東アジア選手権(E-1)ですごくよかった。けどロシアワールドカップには選ばれなかった。26歳なのでラストチャンスですね。今日はあまり辛口でいきたくないのですが、権田(修一)選手はあまりよい印象がないです。というか、相変わらずGKは日本代表の悩みどころですね」
――権田選手はクラブでも出場機会を得られていません。
ヒマー「確かにそうですね。イングランドも同じ状況です。ジョー・ゴメスはリバプールではスタメンで出ていません。権田選手にとっては貴重な試合です」
――自陣に引いた格下相手に苦戦することは、日本代表に限らずサッカーではよくあることですが、この試合はどうでしょうか。
ダバディ「中島(翔哉)は中に積極的に切り込んだり、伊東はドリブルで迷わず仕掛け、酒井(宏樹)は高い位置から突破する。いつも以上にプレーの幅を出さないといけません」
ヒマー「確かに最初はやりにくいかもしれません。モンゴルはどこまで耐えられるかが気になります。日本は辛抱ですね」
南野拓実は「ゲーセンのモグラ叩きのよう」
――南野選手が先制点をあげました。
ヒマー「南野の動きは素晴らしい! ゲーセンのモグラ叩きのように、常にボールのところに現れますね! 相手にとって嫌な存在でしょう。素晴らしい運動量です!」
ダバディ「長い距離のシュートは効きそうですね。リバウンドも」
――追加点はCKから吉田麻也選手が決めました。さらに長友佑都選手がクロスに合わせて3点目を決めました。
ダバディ「フットサルでよく見るゴールですね」
ヒマー「吉田は本当に大事な存在です。負けましたが、チェルシー戦でも落ち着いたプレーを見せていました。長友も一生懸命アピールしてましたね」
ダバディ「ここは伊東のアイデアも良かったね。センタリングをあげずに、一回中で南野の壁パスを使って、相手が嫌がるようなパスワークを見せた」
――日本は永井がゴールを挙げて、前半を4-0で折り返しました。
ダバディ「ボール支配率が高い中、無駄にボールを回さず、ちゃんと前を見ています。森保監督が見たい推進力は合格でしょうか」
ヒマー「ほぼ完璧じゃないですか? 非常に落ち着いています。動きもパス回しもいいし、文句なしの前半ですが、後半は久保くんを出してください、森保監督!」
ダバディ「強いて言えば、中島選手はもっとシンプルにプレーしてほしい。でも、右サイドで崩すパターンが多いので、彼の周りにサポートが来るのが遅い。ラグビーで言えば、彼はブラインドサイドにいて、チームの8割は反対側に並んでいます」
「そのメンタリティを誉めましょう」
――後半に遠藤のゴールが生まれ、5-0としました。そして直後に日本代表は交代カードを切ります。酒井宏樹を下げて安西幸輝、南野拓実を下げて鎌田大地を入れました。
ヒマー「南野は本当にいいものを持っていますね」
ダバディ「身体能力は著しく高まったね」
ヒマー「日本代表は運動量が落ちないですね。ヨーロッパから来て、時差ボケと格闘しているのに。そのメンタリティを誉めましょう」
――ヨーロッパから日本への移動は時差ボケが厳しいですよね。
ヒマー「ヨーロッパから日本は半端ないです!」
ダバディ「15日の試合はターンオーバーがあるでしょうか。それとも今日はタジキスタンの環境を見据えたテスト的な要素もありましたか? タジキスタンのピッチは今も芋畑のような凸凹のグラウンドかな」
――ミャンマー戦にベストメンバーで臨んだことを考えると、この試合もベストかもしれません。
ヒマー「(タジキスタン戦は)決して理想的な環境ではないですね。タフな試合になりそうです。鎌田は初ゴールですね。ハングリーさがいいですね、リバウンドを狙って」
ダバディ「ならば、伊東や中島が中に切り込んでのロングシュートも必要ですね。遠藤と柴崎もどんどん打ってほしい。永井のスピードでリバウンドを狙って」
――中に切り込んで、というプレーであれば、堂安律選手や久保選手も生きそうです。
ヒマー「ですね。日本は攻撃面でいろんな選択肢や武器がありますね。しつこくて申し訳ないですが、日本のメッシは出てない! 贅沢ですね」
「23人のリストはベストであるべき」
――試合は6-0で終わりました。この試合を振り返っていただけますか?
ヒマー「とりあえずjob doneですね。ワンタッチのパス回し、運動量は一番評価できるのではないでしょうか」
ダバディ「私も賛成です。とにかく運動量は素晴らしく、プレーのスピードもトップレベルでした。相手のレベルが高くなったら、中島選手はドリブルをやりすぎないように、ボールサイドにもっと入ってほしいです」
ヒマー「相手が強くなればそういう余裕はなくなるかもしれないですね。そうだといいんですけどね」
――この試合についてはベストメンバーを組むべきか、という議論もありましたが、お二人はどう思いますか?
ダバディ「ベストメンバーの議論はあくまでジャーナリストやサッカーファンたちの論争ですね。森保監督はどの選手を使うかよりも、どのシステムで相手を崩すかしか考えていないはずです」
ヒマー「ヨーロッパ予選は比較的レベルが高いのでベストメンバーですが、3-0や4-0となれば、メンバーチェンジして運動量を落としますね。怪我は怖いですし、プレミアのクラブに怒られちゃうから(笑)。個人的には日本もベストメンバーでいってほしいです」
ダバディ「そうね。難しいですが、相手が弱いから国内組で行こうというのは、今の日本代表には必要ない考え方ですし、Jリーグの選手に失礼ですから。23人のリストはベストであるべき、私はそう思います。代表という品格を考えるとね」
――今後の日本代表の戦いについてはどう思いますか?
ダバディ「森保監督が目指しているサッカーを、残り2年でどれだけ伸ばせるか。頭をフル稼働させるために、つねに考える材料が必要です。材料が良ければ良いほど、閃きがあります。日本はサッカーもラグビーも、運動量は世界基準に達しています。次のステップは『頭を使って、自分で考えること』ですね」
――「頭を使って、自分で考えること」というのをもう少し教えてください。
ダバディ「たとえば、伊東選手は良いケーススタディです。昔から才能は申し分なく、運動量も判断も日々よくなっています。しかし、サイドで突破して相手がいなければ、センタリングを上げるのではなく、みずからペナルティエリアに入りPKを誘ったり、バックパスを考えたり、味方の選手に指示を出しながら、壁パスのシチュエーションを引き出したりできます。ティエリ・アンリの名言ですが『サッカーは自分が思っている以上に、時間がある』。焦らない、ファーストチョイスをすぐ選ばず、セカンドとサードチョイスを広い視野でみる、アメフトのクオーターバックのようにね。」
――ありがとうございました! 次回もよろしくお願いします!
▽語り手
アラステア・ヒマー
英国の大学を卒業後に来日。1997年よりスポーツライター、編集者としての活動を開始。ロイター通信では12年以上に渡り、東京を拠点に特派員として活動。2014年にAFP通信社に移り、スポーツandライフスタイル特派員に。近年では、サッカーワールドカップ(2014年)、リオデジャネイロ五輪(2016年)など、主要国際大会も取材している。
フローラン・ダバディ
フランス、パリ生まれ。1998年、映画雑誌『PREMIERE』日本版のエディターとして来日。99年~02年まで、サッカー元日本代表トルシエ監督の通訳兼アシスタントを務めた。現在はスポーツジャーナリスト、WOWWOWのテニス中継のナビゲーター、フランス大使館のイベントの制作に関わるなど幅広く活躍している。
