取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部
あなたは「性交痛」に悩んだ経験はありますか?
パートナーとの行為の際に痛みを感じたことがあるならば、それが性交痛です。中には、その痛みを「パートナーには言いづらい」と我慢してしまう人もいるかもしれません。痛みを感じているのに言えないまま放置していると、摩擦による黒ずみ化、セックスレスや破局の原因となっていく可能性もあります。
性交痛はなかなか人に相談しづらいことですが、そんな悩みを抱える女性のために、立ち上がった企業があります。株式会社Lingerie Cosmeticsが展開する『peec(ピーク)』は、デリケートゾーン美容と性交痛の改善を同時に行える、潤滑美容ハイブリットローションです。デリケートゾーン美容と性交痛、ふたつにアプローチする新しい潤滑ローションの魅力を、同社のCCO・原田瑞穂さんにお伺いしました。
自身の「性交痛」がプロダクト開発のきっかけに
――peecに参画するまでのご経歴を教えてください。
ソーシャルビジネスに特化した学部で社会課題や福祉について勉強し、大学3年生の時に1社目の会社を立ち上げました。教育やまちづくりに関わるのプロダクトを取り扱いながら働いてきた中で、「生理」や「ホルモンバランスの乱れ」などの女性特有の課題で悩むことがありました。
どうしてもキャンセルできない予定の日に生理が被ったり、性交痛が原因でパートナーとの行為が疎遠になったり……そんな自分自身の体験から、セクシャルウェルネスの領域に感心を持つようになり、他の役員メンバーとともにLingerie Cosmeticsを立ち上げました。
――潤滑美容ハイブリットローション『peec』を作ったのも、ご自身のご経験があったからでしょうか?
そうですね。自分の体験談が強く影響しています。私自身も性交痛に悩んでいました。なんとなく行為を避けるようになっていくうちに、彼の心すらも自分から離れていくのが分かって、すごくショックでした。でも今考えると、カップルの間で愛情を確かめ合う行為を、話し合わずに避けようとしたのは私の方。彼も傷ついていたんだと思います。
結果として、私たちの場合はふたりで解決できずに関係性が終わってしまったからこそ、同様の悩みを抱えている男女に寄り添いたいなと思うようになりました。今だから思うことは、「性交痛」を解決する方法はたくさんあったんだなということです。
あの頃の私は、性交痛や自分の身体について本当に知らないことが多かったし、誰かに相談するという発想にもならなかったです。今の日本には、まだまだセクシャルウェルネスに関する情報が、必要な人に届いていないと思っています。自分自身も悩んでいたからこそ『peec』を作って、こうしてセクシャルケアの発信を続けています。
デリケートゾーンケアとしても、潤滑ローションとしても使える『peec』の魅力
――潤滑美容ハイブリットローションとはどんなものなのでしょうか?
『peec』のブランドコンセプトは「肌にまとい、愛を楽しむ」です。パートナーとの行為やセルフプレジャーの際に使える潤滑ローションなのですが、保湿成分や整肌成分をたっぷり配合しているので、デリケートゾーンケアとしても使用していただくことができます。
――商品開発の際にこだわったポイントがあれば教えてください。
ひとりで使えるのはもちろん、ふたりでも使いやすいようにこだわって開発しました。カードタイプの個包装になっているので持ち運びにも便利ですし、お泊まり用のケアアイテムにも見えるようなパッケージになっています。女性が買っても男性が買ってもパートナーに提案しやすいよう、クリーンなパッケージングにこだわりました。
また、手に出していただくと分かるのですが、従来の潤滑ローションとは異なるテクスチャになっています。手にまとわりつくぬめり感はなく、しっとりととろけるような質感が特長です。肌の上では温感効果も発揮するので、デリケートゾーンに塗布した時に安心感がありますよ。
――まさにハイブリットなプロダクトですね。ユーザーからはどんな声が届いていますか?
『peec』は2023年10月にリリースしたばかりなのですが、10月開催の『FemtechTokyo(フェムテック・トーキョー)』に出展し、さまざまなご意見をいただきました。「塗った後の嫌な感じがなく、自宅でも使ってみたい」「使用後の保湿感」「ほのかに香るローズがいい」「こういう商品を探していた」など、うれしいお声が届いています。
見た目のかわいらしさから手にとっていただくことが多く、ターゲットにしていた層だけでなく、ママさん世代や50代の女性にも感心を持っていただけたのが印象的でした。Instagramにも、「今までで一番パートナーと楽しく、気持ちよく愛情を確かめ合えた」などのDMも。
これまでに潤滑ローションを使ったことがあるという方からは、質感に対するうれしい感想が届きました。温感を心地よく感じてくださったという方もいれば、行為後のケアにも使える便利さに感動してくださった方もいらっしゃいました。
『peec』は肌にやさしい美容成分が中心のため、行為後も肌ケアとして塗布していただいてOKです。潤滑ローション特有の、使用後の突っ張り感もありません。
――使用後のお手入れが簡単なのは助かりますね。特にどんな時に使ってほしいと考えていますか?
サイズ感がコンパクトなので、パートナーとのお泊まりの時に使っていただくのもおすすめですし、おひとりで使用される方は、ぜひゆっくりとプレジャーできる日に使ってみてほしいです。
行為の後って、本当は早く寝たいじゃないですか。身体も心もリラックスしている状態なのに、身体を洗うためにシャワーに行っているうちに覚醒してしまうのって、もったいないですよね。でも『peec』を塗布した時は、いつもよりも時間がゆっくり流れているような心地よさがあります。その感覚に身を任せたまままどろみにダイブできるのは、『peec』を使う時に感じる大きなメリットです。
使い道の多い潤滑ローションで、性のトピックへの「話づらさ」を解消したい
――『peec』が目指す将来や、原田さんが考えるセクシャルウェルネスの未来について教えてください。
まだまだ性の話題はタブー視されており、ましてや女性から話すことに嫌悪感を抱く人も多いと思います。なので、パートナーとそういった話をする際は、彼ではなく自分への言い訳のために、遠回しな提案をしてみてもいいと思います。
――遠回しな提案とは具体的にどういうものでしょうか?
「友達からひとつもらった」とか「デリケートゾーンケアコスメなんだけど、ふたりでも使えるんだって」とか。そんなところからスタートでもいいと思います。『peec』の使用用途(ユースケース)が多いのは、そのためでもあるからです。『peec』をきっかけに、私のようなパートナーとのコミュニケーション不足が原因で、悲しい想いをする女性が1人でも減ったらいいな、と思っています。
――最後に、性をオープンすることに対してまだ一歩を踏み出せない女性に、エールをお願いします!
私がまず伝えたいのは、性交痛があるのは当たり前ではないこと。それに、性交痛には改善の余地があるということです。
痛みについてパートナーに直接相談するのははばかられるかもしれません。だからこそ『peec』というプロダクトが生まれました。今後は、ライフステージに応じた女性特有の課題を持っている方たちのためのコミュニティを運営することも検討しています。こういったお悩みは誰にでも話せることではないですが、同じ悩みを抱える女性の間で自由に表現できるようになっていくことで、もっと性に対してもオープンな社会が実現していくはずです。私たちは、その一歩を踏み出すサポートを続けていきたいです。