子育てって楽しくて幸せだけど、疲れるもの。その原因の一つは、周囲からの圧力や間違った情報かも。そこで、一人でも多くの親子がよりラクに楽しく過ごせるよう、小児科医・森戸やすみ先生が正しい知識や子育てがラクになるヒントをお伝えします。
ベビーカーは折りたたまなくていい

(photoAC)
2017年頃、インターネット上で公共交通機関にベビーカーで乗っていいかどうかという「ベビーカー論争」がありました。
「もちろん乗っていい」「むしろ周囲が手助けすべき」などと全面的に肯定する意見から、「子供が小さければ仕方ない」「通勤時間は避けるべき」「乗車時に折りたためばいい」といった条件つき、「子供が小さいうちは出かけなければいい」「本当に仕方のない用事の時だけにするべき」「自己責任だから外出を我慢しろ」などという暴論まで、多種多様な意見がありました。
結論から言えば、当たり前のことですが、ベビーカーで公共交通機関を利用して、まったく問題ありません。国土交通省の「子育てにやさしい移動に関する協議会」は安全のために、鉄道やバスの車内でベビーカーを折りたたまなくていいとしています。またベビーカーマークをつくり、使いやすいスペースを知らせたりしています。これが今の共通認識です。
2019年には、地方の市営バスで双子用ベビーカーが乗車拒否され、市役所まで約40分も歩いたという報道がありました。その後、国土交通省は、双子用ベビーカーも折りたたまず使用できることを基本にすると発表しています。
ベビーカーが必要な理由

(photoAC)
そもそも子供を連れての移動は、とても大変です。子供だけで新生児でも3kg以上あり、オムツやミルクなどの荷物もかさばり、さらに親の持ち物、買った物などが合わさると10kg以上になることもめずらしくありません。
その状態で、親が一人だったら、子供を抱っこしたまま安全に移動することはできませんし、またベビーカーを折りたたむことも難しいことでしょう。また子供は歩けるようになっても、外出先で急に眠ってしまうこともあり、だからこそベビーカーが必要なのです。
ベビーカーを目の敵にする人は「ベビーカーに轢かれたことがある」「2列に並んでいるのが邪魔」などと言うことがありますが、ベビーカーでなくてもマナーの悪い人はたくさんいるでしょう。もちろん、ベビーカー利用者も他の利用者と同様に、可能な範囲で譲り合ったり、気を遣い合ったりする必要はあるでしょう。例えば、ベビーカーで人の足を轢かない、2列になって通路をふさがない、車内ではストッパーをかける、などです。
政府広報でも、以下のようにベビーカーを使う人も周囲もお互いに安全快適に使えるようにしていくことを呼びかけています。ですから、「ベビーカーだと出かけづらい」と萎縮したりしないで、自由に出かけましょう。きっと手助けをしてくれるやさしい人もたくさんいるはずです。
参照)
国土交通省:ベビーカーマークのお知らせ
国土交通省:報道資料
政府広報オンライン
この記事の執筆者
小児科専門医 森戸やすみ 先生
東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。
■どうかん山こどもクリニックHP
(編集協力:大西まお)
