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新型コロナで不安な今こそ必要? リゲイン「24時間戦えますか」の歌声をもう一度

アーバン ライフ メトロ - URBAN LIFE METRO - ULM

ライフ・美容

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1989年5月にすべては始まった

 東京の街は今、いささか沈んでいます。新型コロナウイルスの影響でイベントが中止になったり、外国人観光客が減ったりして、経済の先行きに不安が募っているためです。

 もちろん、不安になっているだけではどうしようもありません。「いずれコロナも終息する」「むしろ停滞している今こそがビジネスチャンス」など、苦境の中に希望を見いだそうという人もいます。

 でも、まだまだ足りません……なにが足りないかといえば、「頑張ろう」という活力です。

 筆者(昼間たかし。ルポライター)はそんなことを考えていたら、大ヒットしたあるCMソングを思い出しました。今でも大勢の人が歌えるであろう、三共(現・第一三共ヘルスケア)の栄養ドリンク「リゲイン」です。

現在の「リゲイン」のウェブサイト(画像:第一三共ヘルスケア)

 多くの人が、もう一度味わってみたいと思っているであろうバブル時代。その時代を象徴するアイテムとなったリゲインが発売されたのは、1989(平成元)年4月のことでした。

 発売後、5月末に商品プロモーションは活発化します。みんな大好きなあの曲がCMで繰り返し流れるようになったのです。

 ♪黄色と黒は勇気の印、24時間戦えますか♪

企業の運動会でも流れた

企業の運動会でも流れた

 時任三郎が扮(ふん)する世界中を駆け巡るビジネスマンがテーマソングを歌いまくるCMは全部で8編。オンエア直後から、三共には問い合わせが殺到しました。

「テープを貸してください」
「レコードはどこで売っていますか」

 そんな反響を受けて11月にはシングルCDがリリースされ、この歌はあちこちで聞かれるようになりました。

「リゲイン」の歴史について書かれたウェブサイト(画像:第一三共ヘルスケア)

 当時、秋になると大企業では運動会が行われていました。この年の日商岩井(現・双日)や日立製作所などの運動会では何度もこの歌が流れたといいます。

 経営者側が社員を鼓舞するための便利な歌かと思いきや、東洋信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)では、労働組合執行部の交代セレモニーで「意識高揚のためにみんなで歌って盛り上がった」といいます。

歌を聞いて、やる気全開

 当時、三共には労働省(現・厚生労働省)から「あのキャッチフレーズはどういうことですか、と非公式ルートで問い合わせがあった」(『週刊朝日』1989年10月13日号)といいます。しかし世間ではネガティブなイメージを持つ人は少なく。この歌を聞いて、やる気を全開にしていたのです。

 今も耳に歌声が残るこのCMを演出したのは、電通プロックス(現・電通テック)に当時所属していた黒田秀樹さんです。

 リゲイン以外にも、マンダム「ギャッツビー」の「オサレ星人」シリーズを演出したり、ももいろクローバーZやサザンオールスターズのPVを手掛けたりしている黒田さん。本人にとっては、自分の演出したCMがこんな風に世間に受け止められるのは予想外の出来事だったそうです。

働きすぎのビジネスマンをちゃかすつもりが……

働きすぎのビジネスマンをちゃかすつもりが……

 前述の『週刊朝日』で黒田さんはCMの制作意図を次のように語っています。

「働きすぎのビジネスマンをちゃかしてやろうと、シニカルにつくったつもりです。時にはロボットのように働く彼らの姿をデフォルメして描きたくて、時任さんの表情も、あえて冷たく無表情にしました。でも、スポンサーさんも、こちらの皮肉がいま一つ見えていないようです」

 実はブームの中で、制作意図を敏感に感じ取り、誰もがこの歌を楽しんでいることを「平成の軍歌」などと批判する声もありました。あたかも会社に「24時間働け」と命令されているようで、気持ちのよいものではないというわけです。

『週刊プレイボーイ』1989年11月7日号では、そうした批判もあることを三共に聞いているのですが、当時の担当者のコメントがとても気が利いています。

「あくまで『戦えますか』です。つまり『仕事も遊びも含めて24時間、いかに充実した生活ができますか』ってことですから。20代くらいの若い方にはその趣旨は伝わっていると思います。『元気が出る』って反応がとても多いですから」

今、ビジネスマンに求められるのは前向きな心意気だ(画像:写真AC)

 冒頭でも述べましたが、今の東京の街はいささか沈んでいます。ここで必要なのは未来を悲観することよりも、とにかく前向きに頑張ろうとする心意気ではないでしょうか。

 そのためには「24時間戦えますか」のように、なんだかよくわからないけど前向きになれる歌が必要なのではないかーーと思うのです。

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