クルマのアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置が、新車への搭載義務化となるかもしれません。こうした踏み間違い問題は、実は高齢者に限った話ではありません。
年齢関係なく発生する可能性がある「踏み間違い」
国土交通省は2024年6月28日、クルマのアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置について、新車への搭載義務化を検討する方針を示しました。
ビックリするドライバーのイメージ(画像:写真AC)。
日本国内の踏み間違い問題というと、高齢者がよくクローズアップされます。実際に警察庁による2023年の調査結果でも、75歳以上はアクセル・ブレーキの踏み間違いを含む「操作不適」が死亡事故の要因で27.6%と最多になっています。なお、75歳未満は9.9%となっています。
ただ、75歳未満でも死亡事故の要因として項目に上がっていることは確かで、踏み間違いによる問題は決して高齢者特有ではありません。ではどうして人はアクセルとブレーキを踏み間違うのでしょうか。
日本自動車連盟(JAF)は、この間違いが起きてしまう原因を、同じ“踏み込む”動作を行うペダルが並んでいるためと解説。「踏み間違える可能性は年齢を問わずどなたでもありえます」と説明しています。
装置などが充実しても「慌てない」のは第一
運転操作の誤りの要因は「慌て、パニック」などが主で、こうした場合、意図せずアクセルを強く踏み込んだり、止まらないと焦りさらに踏み込むことで急加速し、コントロールを失い重大な事故につながることも多いようです。「ブレーキを踏んだのに加速した!」という証言は、こういう状況で生まれるとJAFでは解説しています
また、日本自動車工業会では、バックで駐車しようとして後ろを振り返ったとき、後部座席のものをとろうとしたときになどに行う、体の「ひねり」動作の際にペダルを踏む位置がずれてしまうことが多いと指摘しており、注意を呼び掛けています。
こうした踏み間違いを抑制する方法として、「トヨタ YouTubeショールーム」では、かかとを床につけて、親指付け根のふくらみでブレーキペダルを踏める位置に足を置くことを推奨しています。しかし逆に、この操作は雨の日などに靴が滑って踏み間違いが発生するとする保険会社も。このほか、「カーブの入り口でブレーキペダルの位置確認をする」「渋滞時はATの場合ブレーキに足を置きクリープ現象で進む」といった方法もいわれます。
ブレーキペダルを踏むイメージ(画像:写真AC)。
2024年現在のクルマは、すでにペダル踏み間違い急発進抑制装置が標準搭載されていることも珍しくありません。後付けできる装置も販売されており、ペダルの踏み間違いを避ける選択肢は広がっています。