かなり前のめりで検証してません……?
高速道路に「自動物流道路」作るならこうだ!
国土交通省は2024年5月14日、第3回「自動物流道路に関する検討会」を開催しました。「道路空間を活用した人手によらない新たな物流システム」として、日本の高速道路網などに荷物のみを小型の自動運転カートなどで運ぶ専用インフラを構築する「自動物流道路」構想、その検討が急速に進んでいます。
4月には岸田文雄首相も夏ごろまでの計画策定を閣僚に指示しましたが、今回の検討会では早くもNEXCO中日本により、高速道路を活用した場合を想定した構造の案などが示されました。
新東名にも「自動物流道路」ができるのか。写真はイメージ(乗りものニュース編集部撮影)。
NEXCO中日本はまず、自動物流道路の空間確保には道路の拡幅などが必要だとしています。そのうえで、トンネルは外側の拡幅が困難なため、両側に新たなトンネルが必要になるほか、道路の外側だとICやSA・PAの分合流で立体化が必要になることもあり、地上部では道路中央の活用を検討するとしています。
土工部は外をコンクリート擁壁などでの拡幅し、中央部のスペースを確保。橋梁部は中央部をコンクリートなどで拡幅しつつも、場所によっては橋全体を拡げる必要もあるといいます。
なお、積荷の積替え・積降しは本線を跨ぐことを極力回避するため、橋梁部での実施を想定。橋梁部の中心側に、荷役用のエレベーターを整備するイメージも示しています。ICやSA・PAを活用し、トラックとの積み替え拠点や、一般道側との交通結節点としての機能を持たせるイメージも披露しました。
一方、道路空間の地下に設置する場合は、橋梁の基礎杭を回避する必要があるとのこと。横に回避する場合は用地買収が、下に回避する場合は、基礎杭よりも深い位置にトンネルを通す必要があるそうです。なお、東名・新東名では、基礎杭の深さが約59mに達する地盤の悪い箇所もあるといいます。
こうしたことからNEXCO中日本は、「地上案」は拡幅工事にかなりの期間を要する可能性が高いとし、その間の交通規制などの影響も大きい一方で、地下案は整備コストの検証が必要ではあるものの、高速道路への影響は少ないとしました。ただし地下案も用地取得や支障移転などへの対応により、工事期間は大きく変動するとしています。
また、想定ルートの具体化の前段階として、カートの寸法、重量、走行速度、走行レーン数などの仕様検討があらかじめ必要だとしています。