南房総の玄関口「南端の高速IC」付近に「ブツ切り道路」
千葉県の高速道路網の南端にあたるのが、南房総市にある富津館山道路の富浦ICです。ここから先は国道127号「館山バイパス」に直結しており、館山市街地や南房総の観光地へ向かうクルマが行き交います。
富浦IC付近にある未成道路(乗りものニュース編集部撮影)
富浦ICを下りるとすぐ、バイパスをはさんで2軒のセブン-イレブンが向かい合っているのが印象的です。片方の店舗の裏手には、海産物や地元の食材を扱う「房総の駅とみうら」もあります。南房総観光の拠点となっている高速ICのすぐそばが、一等地となっていることが窺えます。
その先の交差点付近で、ちょっと不思議な光景を見つけました。
「房総の駅とみうら」の駐車場に入ろうとしたところ、脇に見えたのは、前後が途切れた道路です。路面はすでに舗装され、縁石なども設けられています。ところが、道路としてどこかへつながっているわけではありません。まるで、建設途中で時間が止まってしまったかのようです。
調べてみると、これは「船形バイパス」と呼ばれる道路の一部です。
船形バイパスは、富浦IC付近の国道127号から分岐し、館山市北部の漁港がある船形地区を経由して、館山湾沿いの「鏡ヶ浦通り」方面へ接続する計画です。全体で約1.6kmの道路として計画されています。
じつはこの道路、館山市側の船形地区にも、前後がつながっていない約300mの未成区間があります。バイパス計画は一応進んでいるものの、全体の開通には至っていない状況を示しています。
館山にとってホントに大事なバイパスはコッチでは…?
ただ、船形バイパスの整備効果は小さくありません。富浦ICから館山の海岸沿いへの直結アクセスが実現するため、市街地全体への波及効果も考えられます。
船形バイパスが接続する国道127号をのぞむ。この草むらを貫くとみられる(乗りものニュース編集部撮影)
いまや「高速直結」の主要路となった内陸を通る国道127号から館山海岸へ向かうには、市街地を経由し、踏切を越える必要があります。バイパスによってこの動線が改善されれば、観光施設や宿泊施設が集まる海岸部へのアクセスが容易になり、観光面でも大きな効果が期待されます。
また、船形バイパスの現道である県道犬掛館山線は、JR那古船形駅付近で幅員が約4mと狭く、歩道もないことから、通学時の安全対策などが課題に。その抜本的な解決策としても位置づけられています。
船形バイパスの館山市区間は2014年に事業認可を受けたものの、用地取得などが課題となり、整備は長期化しています。さらに、2019年の房総半島台風による電柱倒壊などを踏まえ、道路整備と一体で無電柱化を進めることになり、事業期間も延長されました。
現在、事業期間は2031年度までに設定されており、2026年度も関連する設計業務や道路改良工事が行われていますが、開通時期が見通せる段階には至っていません。
その一方、富浦ICから直結の国道127号では、南房総・館山市境の「館富トンネル」前後区間を4車線化してボトルネックを解消すべく、2本目のトンネルの建設が始まっています。高速道路側からのアクセス改善が進むなか、館山海岸へ直接向かうはずの船形バイパスは、まだ道半ばです。
