やわらかく、ふわふわとした食感の練り物「はんぺん」。淡白な風味が特徴で、おでんの具材として入れたり、チーズと合わせて焼いたりと、調理法次第でさまざまな味わいが楽しめる食材です。しかし一方で、風味が淡白ゆえなのか「ちゃんと栄養あるの?」「あまり栄養がなさそうなイメージ」といった声も少なからずあるようです。実際のところはどうなのか、管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
塩分の摂取過多に注意を
Q.そもそも「はんぺん」とはどんな食材ですか。
岸さん「はんぺんは、魚のすり身を練り上げ、卵白やヤマイモを加えて成形した後にゆでて作られる練り物です。主にスケソウダラやサメ類などが原料として使用され、ふんわりとやわらかい食感が特徴です。
おでんの具に使用されるのがポピュラーですが、あっさりとした味わいのため、他の煮物や焼き物、フライにしてもおいしく、さまざまな料理で楽しめます。また、静岡県には郷土料理として『黒はんぺん』があり、イワシやアジなどの青魚を原料としています」
Q.はんぺんに、栄養は含まれているのでしょうか。
岸さん「はんぺんは白身魚が原料なので、魚由来の良質なタンパク質が多く、低カロリーで脂質が少ないことが特徴です。100グラムあたりで93キロカロリー、タンパク質は9.9グラム、脂質は0.2グラムです。
ビタミン類では、赤血球の形成を助けるビタミンB12が比較的多く含まれる他、鉄や亜鉛などのミネラルや、DHA、EPAも少量含まれているなど栄養価が高い上、かみやすくて消化もよいので、お子さんから高齢の方までお勧めの食材です」
Q.はんぺんの調理や食べ方のポイント、注意点を教えてください。
岸さん「はんぺんは加工の段階で加熱されているため、生でも食べることができます。煮たり焼いたりすること以外でも、料理のかさ増しに加えたり、タネのつなぎに使用したりすると、ふわふわの食感や、やわらかさを出すことができます。
はんぺんは長時間煮込み過ぎると、大きく膨らんですぐにしぼんでしまい、ふわふわの食感が損なわれてしまうため、調理時は注意が必要です。焼くときは片面1分程度、煮物に使うときは出来上がりの3分前くらいに投入すると、ふっくらした状態をキープできます。
食べやすく栄養価の高いはんぺんですが、100グラムあたり、塩分が1.5グラム含まれており、食べ過ぎると塩分の摂取過多につながります。そのままでもしっかり味がついているため、他の調味料を薄めにするなどして、味付けを濃くし過ぎないようにしましょう」
オトナンサー編集部