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名作ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』から約20年――舞台となった池袋の公園は今どうなっている?

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ドラマ放送当時の公園

 石田衣良(いしだいら)さんによる小説『池袋ウエストゲートパーク』。「池袋のトラブルシューター」こと、真島誠(マコト)が、次々起こる難事件に立ち向かうというストーリーで、池袋という土地柄や人々の様相を描いた人気作です。

『池袋ウエストゲートパーク』(画像:TBS、Paravi)

 本作は2000(平成12)年、TBSでテレビドラマ化。主演は長瀬智也さん、ほかにも窪塚洋介さん、山下智久さんなどが出演しました。また脚本を『木更津キャッツアイ』『あまちゃん』などの宮藤官九郎さん、演出を『金田一少年の事件簿』『トリック』などの堤幸彦さんが担当するなど、キャスト以外のスタッフ陣もそうそうたる顔ぶれとなっています。

 劇中でマコトが仲間と集まる場所として頻繁に使われていたのが、池袋西口公園(豊島区西池袋)です。ドラマ内で、この公園は行き場のない若者がたむろする場所として描かれています。実際、かつては「薄暗くてガラのよくない場所」という共通認識を持たれていました。

劇場型公園にリニューアル

 このようにマイナスな印象の強い池袋西口公園でしたが、2019年にリニューアル。誰もが楽しめる、開かれた劇場型公園として、再スタートを切りました。新たなランドマークとして、直径35mにもなるリング型モニュメント「グローバルリング」が、公園中空部に設置されています。これは五線譜をイメージです。

 さらに1万以上の発光ダイオード(LED)ライトや8chのサウンドシステム、大型ビジョンなども設置されています。これらの機材と公園中央の噴水を連動させ、デジタルアートコンテンツを上映することも可能です。なんとも近代的かつスタイリッシュな話です。

豊島区西池袋にある池袋西口公園(画像:(C)Google)

 またグローバルリングと併せて野外劇場も整備されています。クラシックコンサート、演劇、ダンスイベントなどいろいろな用途への対応が可能です。さらに食事、アルコールを提供するカフェも併設されています。

 総じて新しくなった西口公園は、近代的な雰囲気を感じられると同時に用途の幅も増え、多くの人に親しまれやすくなったといえるでしょう。

 ちなみに『池袋ウエストゲートパーク』は2020年にアニメ化もされていますが、公園はリニューアル後の姿で描かれています。

かつては消滅が危惧されていた豊島区

かつては消滅が危惧されていた豊島区

 リニューアルの背景にあったのは、池袋西口公園だけでなく、池袋という街全体に対する自治体の危機感でした。

 2014年、日本創生会議が公表した「消滅可能性都市」のひとつとして、豊島区が選ばれます。東京23区で唯一の選定で、具体的には20~39歳の若い女性が大きく減少し、衰退していくとの予想でした。豊島区が受けた衝撃は、それは大きかったことでしょう。

 これを受けて豊島区は、

・文化を基軸としたまちづくり
・高齢者にやさしいまちづくり
・子どもと女性にやさしいまちづくり
・さらに安全・安心なまちづくり

を掲げ、施策に乗り出すことになります。

豊島区のウェブサイト(画像:豊島区)

 そして「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を策定。文化を発信していく拠点として、地域の再開発に着手します。その一環として池袋西口公園、そしてさらに「三つの公園」の整備がおこなわれました。

1.南池袋公園

 再開発された公園のうちのひとつとして挙げられるのが、2016年にリニューアルオープンした南池袋公園(豊島区南池袋)です。

 ドラマだとこの辺りは、カラーギャング組織「Black Angels」の縄張りとして描かれています。現実でも南池袋公園は、少し暗い雰囲気があって、気軽には訪れにくい場所でした。しかし今では、青々とした芝生が広がり、立ち並ぶビルを見渡せる癒やしスポットになっています。

 また公園内にはカフェレストラン「Racines FARM to PARK(ラシーヌ ファーム トゥー パーク)」が営業。2階建てのお店は吹き抜けとなっているため、上階から芝生広場を見渡せます。

南池袋公園と「Racines FARM to PARK」(画像:(C)Google)

 元気に走り回る子どもやベビーカーを押す親御さんなど、ファミリー層も多く見られるようになり、再生した公園として話題になりました。

2.中池袋公園

2.中池袋公園

 東池袋1丁目には、マコトたちが集まるのに使われていたボウリング場「トキワボウル」(現・ハイパーレーン)があります。そこから徒歩3分ほどの場所にあるのが、中池袋公園(東池袋)です。隣接する複合施設「Hareza池袋(ハレザ池袋)」に先だって、2019年にオープンしました。

豊島区東池袋にある中池袋公園(画像:(C)Google)

 面積は約1785平方メートルで、舗装は石張りとしっかりした作りです。そのため、さまざまなイベントに対応できるスペースとなっています。実際に、「池袋ハロウィンコスプレフェス」といったイベントが開催されました。

 また併設された「アニメイトカフェスタンド Hareza池袋」も、人気アニメ作品とのコラボを実施しており好評。

 このように中池袋公園は、アニメ・コスプレファン要チェックの場所となっています。今はコロナ禍で厳しい状況ですが、落ち着けばまた盛り上がりを見せてくれるのではないでしょうか?

3.IKE・SUNPARK

 マコトの実家の果物屋、「真島フルーツ」のロケ地とされている東池袋4丁目。その近くには、広大な造幣局跡地がありました。跡地を何とか活用できないかという要請のもと整備されたのが、最後に紹介する公園「IKE・SUNPARK(イケ・サンパーク)」(東池袋)です。完成したのは2020年でした。

IKE・SUNPARK(画像:豊島区)

 豊島区の公園としては最大の面積を誇るIKE・SUNPARK。防災公園として整備されたこちらは、一時避難場所として、物資集積拠点として機能することになっています。

 もちろん通常の公園としての利用も可能で、外縁部にはシラカシやイチョウ並木があり、都会のなかで自然を感じられます。また芝生広場や遊歩道も整備されているので、家族連れで訪れるのにちょうどいい場所といえるでしょう。

 ほかの公園と違ってIKE・SUNPARKは、日常でも有事の際でも、安心して過ごせる公園といえそうです。

視聴者も公園も時とともに変わる

視聴者も公園も時とともに変わる

 テレビドラマ放送からはや21年……。かつて「ウエストゲートパーク」だった池袋西口公園の様相は、すっかり変わりました。

 さらにほかにも、整備されて生まれ変わった公園が多くあります。この変化に、少し面食らっている人もいるかもしれません。

 しかし考えてみれば、あの頃画面の前でハラハラドキドキしていた青少年たちも、いまや立派な大人になっているのです。

 地域の風景が変わっていくのも、また道理というものなのでしょう。

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