アイドルについて話す中年女性を見て思ったことを描いた漫画のカット(森 ぽこさん提供)
森 ぽこさんの、アイドルについて話す中年女性を見て考えたことを描いた漫画が、インスタグラムで400以上の「いいね」を集めて話題となっています。
電車の中で、好きな男性アイドルについて話す中年女性たち。その姿を見てふと、「もし中年男性が女性アイドルについて話していたらどう思うだろう」と考え…という内容で、読者からは「確かに」「何歳でも、自分より小さい子はかわいい!」などの声が上がっています。
日常の一コマから見える、小さな発見の楽しさ
森 ぽこさんは、香港出身の漫画家で、現在日本に在住しています。インスタグラムで作品を発表しています。森 ぽこさんに作品について話を聞きました。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
森さん「中学生の頃から、日本の漫画を読むことと描くことが大好きでした。20歳のときに『日本の漫画が好き』という気持ちだけで香港から日本へ来て、新谷かおる先生のスタジオで約1年半、漫画アシスタントとして働かせていただきました。当初は日本語がまったく話せませんでしたが、新谷先生と奥様の佐伯かよの先生はとても優しく、辛抱強く話しかけてくださいました。まるで息子のように接していただき、絵やストーリーの技術だけでなく、人として大切なこともたくさん教えていただきました。
その後、香港へ戻り漫画家として活動していましたが、不景気の影響で一般企業に転職。転職先での日本市場展開のため、4年前に再び来日しました」
Q.インスタグラムを始めたのはいつごろからですか。
森さん「2026年の1月からなので、まだ約2カ月ほどです。新谷先生とは現在も交流があるのですが、先生が『もう一度漫画を描かないの?』と言ってくださいました。私の日本語レベルでは十分に表現できないと思っていたのですが、先生は『漫画は言葉だけじゃない。絵やキャラクターでも気持ちは十分伝わる。わんちゃん(先生が私を呼ぶあだ名)はいつも面白いところを見ているし、描きたいことがたくさんあるでしょう?』『まずはネットで発表してみなさい。読者や編集者が判断してくれる。受け入れられれば、編集者の方から声がかかるよ。自分で限界を決めないで』と背中を押してくださったので、インスタグラムで漫画を発表し始めました」
Q.このエピソードを漫画にしようと思った理由を教えてください。
森さん「電車の中で、目の前に座っていた中年の女性2人が、若い俳優さんの話をとても楽しそうにされていて、その様子が強く印象に残りました。
以前の私は、『若い異性を好むのは男性だけ』だと思っていました。しかしある日、妻が若い男性アイドルが出演している韓国ドラマをよく見ていることに気付き、理由を聞いてみると、『この俳優、すごくかっこよくてスタイルもいいの』と、少し照れながら答えました。さらに、『まさか、私がおじさん好きだと思ってた?』とも言われ、驚きました。
そのとき初めて、『なるほど、女性もやっぱり若い人が好きなんだな』と素直に感じたのですが、同時に『もしこれが男性同士で、若い女性アイドルの話だったら、周囲の目は少し違うかもしれない』とも思いました。そのちょっとした違和感と面白さを、日常の小さな発見として残したいと思い、漫画にしました」
Q.ご自身が「若い人がかわいい」と思うようになったのは、何歳ごろからでしたか。
森さん「恐らく30歳前後からだと思います。ちょうど仕事が忙しかった時期で、毎日時間に追われていました。そのころ、街で若い人たちが友達と楽しそうに出かけていたり、元気に過ごしたりしている姿を見ると、『若いっていいな』と感じることが多くなりました。自由に出かけたり、思いきり笑ったり、エネルギーに満ちている様子を見て、自然と『かわいいな』と思うようになった気がします」
Q.今後、増やしていきたい漫画のシリーズやテーマなどありますか。
森さん「最初にインスタグラムで発表したのは、子ども向けに近い作品でしたが、あまり反応がよくありませんでした。そこでふと、『そもそも子どもはインスタグラムを見ないのでは?』と気付き、父親としての育児生活漫画に方向転換しました。
今後は、香港人として日本で生活しながら仕事をする、実体験漫画も描いてみたいです。例えば妻は日本語があまり分からないため、小学校の保護者会や学校行事などには私が参加することが多いのですが、参加者の9割はお母さんなので、少し不思議な体験をしています(笑)。そんな、日常の中で感じた小さな出来事や違和感をテーマに漫画を描いています。
子育てや夫婦の日常、日本で生活する香港出身の父親としての視点など、自分にしか描けない体験を大切にしていきたいです」
Q.作品について、どのようなコメントが寄せられていますか。
森さん「『子どもでも、自分より小さな子をかわいいと言う』というコメントがあり、確かにそうだなと思いました。このような日常の小さな出来事を丁寧に拾い上げていくことで、少しずつでも多くの方に届けばうれしいです」
オトナンサー編集部
