JR西日本らが開発を進めていた「人型ロボット重機」がついに実用間近です。線路の安全を守る作業員の代替となるロボはインパクトも大。他業種からも熱い視線が寄せられているようです。
ロボ感薄れた?「人型ロボット重機」 それは実用バージョンだから!
JR西日本らが開発を進めていた「人型ロボット重機」がついに実用間近です。幕張メッセで開催された「鉄道技術展2023」(11月8日~10日)にて、その動きが披露されました。
多機能鉄道重機の試作版。鉄道技術展2021にて(乗りものニュース編集部撮影)。
会場の屋外展示スペースで、トラック(軌陸車)に載せられたこの「多機能鉄道重機」が展示され、時折デモを行っていました。その近くにある操作員の作業ブースでは、デジタルゴーグルをつけた作業員がまさに“没入感”を漂わせながら、手元のスティック類などでロボットを遠隔操作しています。
これはJR西日本のほか、日本信号と、人型重機を手掛ける「人機一体」と共同で開発したもの。電気設備などの高所作業を効率化する目的があります。ロボットの手先は器用に、多様な部材を掴むことができます。操縦者の操作とロボットの動きが連動し、ロボットが受ける重みや反動を操縦者にフィードバックするしくみです。
「架線メンテナンスなどは、何人もの作業員で支えながら、上空の設備までハシゴをかけ上って行う危険な作業です。多機能重機は地上にいながらロボットで作業できるので、安全性の向上と省人化の効果は段違いです」。こう説明員が解説してくれました。
「いまは、とにかく人(作業員)が集まりません」
こうして人が行っていた作業をロボットが代替していかなければ、人手不足を乗り切れない危機感もにじませました。
多機能鉄道重機は前回、幕張メッセで開催された2021年の「鉄道技術展」では、屋内ブースでデモを行っていましたが、今回展示されたのはボディなどに防水カバーもかけられた完全な“実用型”とのこと。JR西日本は近く、営業線での実際のメンテナンスに投入する予定です。
このロボット重機、たとえば道路関係や電気関係など、他業種からも導入を望む声が大きいということです。