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経営破綻から復活のスカイマーク、再上場へ 躍進のカギ握るのは、今後も続くANAHDとの関係?!

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スカイマークの再上場が話題に(写真はイメージ)
スカイマークの再上場が話題に(写真はイメージ)

7年前に経営が破綻した中堅航空会社のスカイマークが東京証券取引所に株式の再上場を申請し、承認された。2022年12月14日上場予定で、かつての東証1部(現東証プライム)ではなく、新興企業向けの東証グロースからの再出発になる。

新型コロナウイルス禍で業績が悪化し、2020年4月に申請を取り下げていたが、国内の旅行客の回復など経営環境が好転したと判断した。

ただ、22年3月期決算(単体)は最終(当期)赤字で、23年3月期は黒字転換を見込むとはいえ、課題は多い。

2015年民事再生法の適用後、身の丈に合った経営で再建

スカイマークは、1996年にエイチ・アイ・エスの澤田秀雄社長(当時、現会長)らが出資して設立された。

座席間隔を狭めるなどでコストを削る後の格安航空会社(LCC)とは違い、フルサービスキャリア(FSC)と同等のサービスでありながら、低コスト運用による安価な運賃で強みを発揮。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の両雄の間に割って入り、「第三極」として業績を伸ばした。2014年3月期には売上高が859億円を記録している。

しかし、LCCの台頭で競争が激化するなか、拡大路線に活路を求め、大型機エアバス「A380」購入に動いたが、資金繰りが悪化して経営は急速に悪化。2015年に民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請した。

その後、国内の投資ファンドやANAホールディングス(HD)などの出資を受け、機材はボーイングの小型機「B737」で運航するなど、身の丈に合った経営で再建を進めてきた。

2019年3月期には、売上高882億円、営業利益72億円を記録した。19年10月25日に東証に上場を申請したが、コロナの感染拡大で業績が急激に悪化し、20年4月に申請をいったんは断念した。

上場で得る資金、機材更新などに活用

その後、コロナで縮んだ経済活動は徐々に再開していった。

それにともない、2022年3月期決算(単体)では、売上高は前期比38%増の471億円と、コロナ禍本格化前の20年3月期の5割の水準まで回復。最終赤字は67億円と前期の163億円から縮小し、23年3月期には90億円の最終黒字への転換を見込んでいる。

株式上場の想定価格は1150円どなっており、その通りの公募となれば、145億円を調達することになる。

この資金をどう生かすか。

第1に財務基盤の強化だ。同社の自己資本は2022年9月期末時点で105億円、自己資本比率は10.6%と、30%を超えるJAL、25%のANAに後れを取る。上場による資金調達は劣勢挽回の第1歩になる。

第2に、機材の更新だ。現行の737-800型機の後継として737 MAXを選定。737MAXにはいくつかのラインナップがあり、スカイマークは標準型の737-8型機を2025年4~6月期から6機をリース導入するほか、開発中の737-10についても、確定4機、オプション2機を発注することでボーイングと基本合意している。

現在737-800型機(177席)を29機保有しているが、古い機材を順次MAXに切り替えるとともに、路線増強に向け保有機を増やす考えとみられる。座席数は737-800と比べ、737-8で12席、胴長の737-10は3割程度増えるといい、輸送力強化で増収を図る考えだ。

「羽田路線」以外の成長戦略どう描くかが課題に

ただ、課題も多い。

国内線と言えば、「ドル箱」と言われる、羽田空港の発着枠が重要になる。現在、スカイマークはANA、JALに次ぐ38枠を保持し、羽田と福岡や新千歳を結ぶ「ドル箱路線」を効率よく運営するのが強みだ。

だが、羽田の発着枠は各社の取り合いだけに、今後の増枠は容易に見通せない。羽田以外の路線での成長戦略をどう描くかが問われることになる。

国際線の強化では2019年に成田―サイパン路線を就航させたが、コロナ禍で運休しており、今後の展開をどう進めるのか。また、国内でも羽田のドル箱路線の機材の大型化などが課題になりそうだ。

スカイマーク株の保有続けるANAHD...今後への影響は?

さらに、今後の経営戦略とも絡んで、上場後の株主構成も注目だ。

新株発行と既存株主の保有株放出で、上場後の大株主の保有比率は、筆頭株主の投資ファンド・インテグラルが現在の50.1%から27%、三井住友銀行(SMBC)と日本政策投資銀行の共同ファンドが33.4%から13.9%、ANAHD16.5%から12.9%に、それぞれ低下する見通し。

ここでのポイントは、ANAHDとの関係だ。

新株発行があるから保有比率はやや下がるが、上位2ファンドが一定の株を放出するのに対し、ANAHDは放出せずに保有を続けるという。

ANAHDといえば、経営不振に陥ったスターフライヤー、エア・ドゥ、ソラシドエアという「第三極」航空会社を支援し、積極的に傘下に収め、コードシェア(共同運航)を実施している。

この際、「第三極」航空会社からすると、自社運航便の一定の席をANAに売ってもらうことで搭乗率の向上が見込め、販売システムの共通化でコスト削減も図れる。一方で、ANA便として販売できるようにするため、座席の間隔などANAと同等のサービス水準が求められ、極端な低価格販売もできない。

ANA、JALより安価でありながら、一定水準のサービスを提供するスカイマークは、ANAなどの大手とLCCの中間という立ち位置にあり、それが強みだ。今後、この特徴を維持し成長していけるのか、あるいは独自性を薄めていくことに活路を求めるのか――。ANAHDとの関係は、スカイマークの行く末を占うカギになりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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