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「痔」は単なる血行不良じゃない? 医師が教える本当の原因とは 「ただの痔」と自己判断が危険なワケ

オトナンサー

美容・健康

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痔と間違いやすい病気とは?(画像はイメージ)
痔と間違いやすい病気とは?(画像はイメージ)

痔と間違いやすい病気とは?(画像はイメージ)痔と間違いやすい病気とは?(画像はイメージ)

 痔は多くの人が経験する身近な肛門疾患で、出血や痛み、腫れ、脱出などさまざまな症状を引き起こします。中でも痔核(いぼ痔)は「肛門周囲の血行不良によって起こる」と説明されることがありますが、実際の発症メカニズムはそれほど単純ではありません。

 そこで痔の原因や痔と間違いやすい病気などについて、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんが解説します。

「痔」は単なる血行不良だけではない?

 まず、「痔」は一つの病気ではありません。一般に痔と呼ばれる病気には、主に「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔瘻(じろう、あな痔)」があり、それぞれ原因が異なります。話題になることが多いのは、最も一般的な「痔核」です。

 痔核はよく「肛門の血行が悪くなって、静脈が腫れてできるもの」と説明されます。しかし、これは少し単純化した説明です。もともと肛門の内側には、血管や結合組織などからなる「肛門クッション」という柔らかい組織があります。これは異常なものではなく、肛門をしっかり閉じて、便やガスが漏れないようにするために必要な正常組織です。

 問題になるのは、この肛門クッションを支える組織が弱くなり、正常な位置から少しずつ下にずれてくることです。そこに血管の拡張やうっ血などが加わることで、腫れたり、出血したり、肛門の外へ出てきたりするようになります。これが痔核の基本的な仕組みです。

 そのため、痔核は単純な「血行不良」だけで起こる病気ではありません。排便時に何度も強くいきむ、硬い便を繰り返す、便が出ないのに長時間トイレに座っているといった習慣は、肛門クッションに繰り返し負担をかけることになります。また、加齢によってクッションを支える組織が弱くなることも関係すると考えられています。

一度治っても再発する?

 一方で、便秘だけが原因というわけでもありません。下痢や頻回の排便も肛門への刺激になりますし、妊娠や出産など複数の要因が関係します。痔核の発症メカニズムには現在でも完全には解明されていない部分があり、「これをすると必ず痔になる」という一つの原因があるわけではありません。

 また、一度治療して症状が改善しても、再び痔の症状が現れる可能性はあります。ただし、再発率は痔の程度や治療方法によって異なるため、「一度治しても必ず再発する」という意味ではありません。重要なのは、薬や処置によって今ある症状を改善するだけでなく、硬い便、強いいきみ、長時間の排便など、肛門に繰り返し負担をかけている要因があれば、それも一緒に見直すことです。

「ただの痔」と自己判断してはいけない理由

 そして最後に、痔の予防以上に知っておいてほしいことがあります。それは、「肛門から血が出た=痔」と自己判断しないことです。

 痔核では排便時に鮮血が出ることがありますが、大腸がんや大腸ポリープ、炎症性腸疾患などでも血便が見られます。痔がある人に別の大腸疾患が同時に存在することもあります。特に「血便を繰り返す」「出血量が多い」「便通が以前と変わった」「腹痛を伴う」「貧血を指摘された」「意図せず体重が減っている」といった場合には、「痔だから大丈夫」と決めつけず、医療機関を受診してください。

 痔を予防するために大切なのは、特別な椅子や特別な座り方を探すことではありません。「便を整える」「強くいきまない」「トイレに長居しない」「長時間同じ姿勢を続けず適度に体を動かす」などで日常の習慣を整えて、肛門に繰り返しかかる負担を減らすことが、痔の予防や再発予防を考える上で大切です。

オトナンサー編集部

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