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デカすぎて困る? 海上自衛隊「イージス・システム搭載艦」の“ドックどうすんの”問題

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海上自衛隊に配備が計画されている「イージス・システム搭載艦」は、従来のイージス艦とは一線を画す巨大艦となるため、就役後も修繕できる場所は限られるとか。しかも日本海側に配備した場合は、問題がより顕著になりそうです。

どこで作るの? 修繕するの? デカさゆえの造船所問題

 地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替案として導入が決まった「イージス・システム搭載艦」。船体寸法は全長約210m以下、全幅約40m以下で、基準排水量は約2万トンと戦闘艦としては非常に大型の艦艇になる見込みです。

 これは、海上自衛隊の艦艇で比較した場合、イージス艦と通称される、まや型護衛艦(基準排水量8200トン)より遥かに大きく、ステルス戦闘機「F-35B」の搭載能力を持つことが決まった、いずも型護衛艦(同1万9950トン)と同等クラスになります。

Large 220927 dock 01艦対空ミサイル「スタンダード」を撃つ海上自衛隊のこんごう型護衛艦の2番艦「きりしま」(画像:海上自衛隊)。

 大型化した船体にはBMD(ミサイル防衛)任務のために搭載する「SPY-7」レーダーと弾道弾迎撃ミサイル「SM-3ブロックIIA」だけでなく、対空ミサイル「SM-6」や「12式地対艦誘導弾能力向上型」などのスタンド・オフ・ミサイルを装備するとしています。

 これまでの海自艦艇とは一線を画す存在となる「イージス・システム搭載艦」ですが、運用面ではさまざまな課題が出てきそうです。たとえば、これほど大きな規模の戦闘艦を修繕できるドックは少ないうえ、イージス・システムという特殊な装備を持った艦船を受け入れた実績を持つ造船所はさらに限られています。

護衛艦の建造を行える民間企業は2社のみ

 まず、日本で水上戦闘艦艇の新造が行えるのは、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)と三菱重工業グループだけとなります。基本的に建造した造船所が修繕も担うことになりますが、配備先の関係から近場のヤードに入ることも多いです。両者ともイージス艦の建造と修繕を行った経験があるため、「イージス・システム搭載艦」を受け入れることは可能でしょう。

Large 220927 dock 02JMU磯子工場のドック。護衛艦「いずも」が入渠しているのが見える(深水千翔撮影)。

 JMUで艦船の修繕を行っているのは横浜事業所(磯子工場・鶴見工場)、舞鶴事業所、呉事業所、そして因島事業所です。このうち舞鶴事業所と鶴見工場のドックはスペックが足りず、「イージス・システム搭載艦」を入渠させることはできません。

 そのため、長さ210m、幅40mという大型の艦船を受け入れられるのは磯子工場、呉事業所、因島事業所の3か所となります。磯子工場では近年、「まや」と「はぐろ」を建造するだけでなく、横須賀基地を拠点とする「きりしま」の修繕も手掛けていることから、実績としては十分です。

 もうひとつは三菱重工グループですが、神戸造船所は潜水艦を専門としており、下関造船所と三菱重工マリタイムシステムズ(旧三井E&S造船玉野艦船工場)は修繕ドックの規模が足りないため、同社で「イージス・システム搭載艦」の入渠を受け入れられるのは、イージス艦の新造実績がある長崎造船所と修繕専門ヤードの横浜製作所の2か所になります。

日本海側で受け入れ可能なドックがない!

 三菱重工は艦艇事業に関して新造を長崎造船所で、修繕を横浜製作所で行うという方針を示していますが、艦艇の配備地や修繕を担う作業員のスケジュールによっては、入渠先を柔軟に変えることがあります。長崎造船所の第2号ドックは長さ350m、幅56mと余裕があるため、こちらで修繕するという可能性もあるかもしれません。

 このほか、名村造船所グループの佐世保重工業と函館どつくが大型艦船の入渠に対応した設備を持っていますが、機密の塊である「イージス・システム搭載艦」の修繕ができるかというと難しいところがあります。

Large 220927 dock 03三菱重工横浜製作所の外観(深水千翔撮影)。

 なお、「イージス・システム搭載艦」の課題として、日本海側で受け入れ可能なドックがないことが上げられます。先に書いたようにJMU舞鶴事業所の2号ドック(長さ258m、幅36.40m)と3号ドック(長さ245.6m、幅35.80m)へは入渠することができないため、BMD(弾道ミサイル防衛)任務で日本海へ展開して不測の事態が発生した場合は、太平洋側に回航して横浜地区のドックに入るか、九州の長崎へ向かうしかありません。

 日本の造船業は中国や韓国との厳しい競争に晒され、経営的にも人員的にも十分な体力があるとは言えない状況です。艦艇の大型化が進む一方で、運用を支える基盤をどのように支えていくかが、今後の課題となりそうです。

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