キャッシュレス化が進み便利になった一方で、子ども達が本物のお金を目にする機会が減り、お金の価値や重みを感じにくくなっているようです。では、“見えないお金”の大切さを伝えるにはどうしたらいいのでしょう?
今回は、東証一部上場企業の飲食チェーンの店長経験もある現役小学校教諭・坂本良晶さんの著書『親子で知りたい 小学校最強ライフハック70』(KADOKAWA)より、
✅ 子どもの金銭トラブル
✅ 小学校で使う文房具
についての解説をお届けします。
お金のトラブルは昔と今で様変わり
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昔の「学生のお金のトラブル」と言えば、「おごった」「借りた」「カツアゲ」など目に見える現金での話でした。私の子どものころは荒れている中学校が多くて、こんなトラブルはよくありましたし、怖い先輩もたくさんいたものです。
しかし近年では、その様相が一気に変わりました。数年前にスマホでパズルゲームが大ブームとなり、そこで“課金”という行為が一般化したのです。
現金であれば、手元に持っている以上のお金は使えません。けれどスマホやネット上での課金は、手持ちがなくても簡単にできてしまいます。子どもが親のクレジットカードをこっそりと登録し、いつの間にかとんでもない金額が使われていたというトラブルが全国で多発しています。
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また最近では、ライブ配信をしているインフルエンサーに“投げ銭”をする、という文化も生まれました。お金を払うことで、その憧れの配信者に名前を呼んでもらえたり、感謝されたり、質問に答えてもらったりできるのです。
こうして、手持ちの金額と関係なしにお金を使うことができる課金や投げ銭は、保護者のみなさんにとってカツアゲよりよっぽど怖い存在かもしれません。
今後も、こうしたトラブルが起こる可能性のあるツールは増えていくでしょう。大切なことは、日頃から子どもにお金の尊さを伝えること。お金を稼ぐのがどれだけ大変なことか、親がどれだけがんばって働いて得ているものなのか、そのお金の量感を肌感覚で理解させることが重要なのです。お手伝いをしてそれに応じて少額のお小遣いを渡す、という昔からある方法でも、十分効果があると思います。
持ち物の決まりごとを考える
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小学校でも校則とまでいかずとも、「キャラクターがついている文房具はダメ」「派手な柄のものはダメ」と、持ち物に細かい規定を設ける学校もあります。担任教諭がそういう主義であることも。私は、「お気に入りのノートや鉛筆のほうがやる気が出るでしょ」というスタンスで、完全に子どもにまかせています。
たとえばノートなら、年度の初めに配るもの以外は、デザインはもちろんマス目も行も子どもと保護者におまかせ。同じ学年の子どもでも得意不得意はそれぞれ違いますし、書きやすさもそれぞれに合ったものでいいのです。
デザインにしても、強制的に「あんまり好きじゃないな」というデザインのものを使うより、自分の大好きなキャラクターのノートのほうがよいでしょう。
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ただひとつだけ、保護者のみなさんにお願いしたいことがあります。文房具として「質のよいもの」を持たせてほしいのです。消しづらい消しゴム、ちびた鉛筆では、学習に支障をきたしますし、余計なストレスを与えることなく集中させてあげたい。品質の高い文房具メーカーの「カドのある消しゴム」や「長さのあるえんぴつ」を持たせてください。
私の肌感覚では、「筆箱の充実度」と「子どもの学力」には一定の相関関係があります。書くことが苦手な子は、貧相な文具環境であることが多い。もともと苦手なうえに、書きにくい環境にあるという負のスパイラルができてしまっています。
筆箱の中を最高の状態に保つことで、環境を整えて子どもをサポートしてほしいというのが現場からのお願いです。週に1回程度は筆箱の中身を確認してあげてください。
※本記事は、『親子で知りたい 小学校最強ライフハック70』(著:坂本良晶、KADOKAWA刊)より抜粋・再編集して作成しました。