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米国の竜巻報道で登場「藤田スケール」 発明した日本人学者はノーベル賞級

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米中西部・南部で竜巻 アマゾン物流倉庫も損壊(写真:ロイター/アフロ)
米中西部・南部で竜巻 アマゾン物流倉庫も損壊(写真:ロイター/アフロ)

空前の規模の竜巻(トルネード)が2021年12月10日から11日にかけて米国の中西部と南部を襲い、多数の犠牲者が出た。このニュースの中でしばしば登場したのが「藤田スケール」という気象用語だ。地震の規模を震度であらわすのと同じように、竜巻の規模を伝える用語として定着している。なぜ竜巻に「藤田」という日本人の名前が使われているのだろうか。

50年代に頭脳流出

14日の毎日新聞一面コラム「余禄」が、いち早くこの問題を取り上げている。

「竜巻の強さを示すフジタスケールで有名な気象学者、藤田哲也は竜巻や爆発的突風ダウンバーストの研究により『ミスター・トルネード』と呼ばれた。彼には『気象界のウォルト・ディズニー』の異名もある」「気象現象を図解するのに巧みだったからで、命名者は地球温暖化研究で今年のノーベル賞を受けた真鍋淑郎さんという。2人は1950年代に研究の場を求めて渡米した研究者で、その後米国で気象学への歴史的な貢献をなしとげた・・・」

藤田さんは1920年、福岡県生まれ。明治専門学校(現在の九州工業大学)工学部機械科を卒業、同大学で助手、物理学助教授に。53年、東京大学で博士号を取得し、シカゴ大学から招へいされて渡米。同大学の気象学客員研究員に。65年、シカゴ大学教授に就任した。真鍋さんと同じように、早い段階で研究拠点を米国に移していた。いわゆる「頭脳流出」した日本人科学者の一人だ。すでに1998年に亡くなっている。

この間、一貫して「竜巻」の研究に取り組んだ。それまで竜巻については、規模を表す尺度がなかったが、藤田さんは71年、米国の研究者と共に、建物の破壊の程度などからその最大風速を推定する方法を考案した。

もう一人の真鍋さん

「藤田スケール」は7段階に分かれている。概略、以下のようなものだ。

F0 木の枝が折れる。
F1 家屋の屋根がはがれる。
F2大木が根元から折れる。
F3 列車が脱線転覆する。
F4 車が空を飛ぶ。
F5 強固な建造物も基礎ごと飛んでいく。
F6 未曾有(みぞう)の超壊滅的な被害。

それぞれの段階の推定風速なども示されている。現在はさらにこの藤田スケールを改良した「改良藤田スケール」(0~5の6段階)が主流になっているそうだ。

今回の米国の竜巻の強度について、防災科学技術研究所の鈴木真一主任研究員は14日の日経新聞で、改良藤田スケールの「上から2番目の4か、最大の5の可能性がある」と語っている。

藤田さんはこのほか、航空機が急激な下降気流に巻き込まれる「ダウンバースト」の研究者としても著名だった。

生前から、「もしノーベル賞に気象部門があれば受賞確実」と言われていた。同じく気象部門の研究者の真鍋さんが受賞したので、もし藤田さんが健在なら、実際に受賞していたかもしれない。<J-CASTトレンド>

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