“不便”に対する日本とドイツの考え方の違いを描いた漫画「不便VSドイツ人」がSNS上で話題となっています。ドイツのベルリンに暮らす日本人女性。ドイツで暮らしていると、不便なことがあるとすぐ改善する日本人とは対照的なドイツ人の性質が見えて…という内容で「全部分かる」「日本て本当に便利」「海外に出て分かる日本のありがたみ」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。
日本レベルの便利さは必要ないドイツ人
この漫画を描いたのは、Dokko(ペンネーム)さんです。イラストレーターとして活動しています。ドイツでの日常を漫画にして、インスタグラムで発信しています。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
Dokkoさん「今年に入ってからです。元々は、私のドイツ暮らしに興味津々な日本の友人たちのために描き始めました。おしゃれにイメージしがちなヨーロッパ暮らしと、現地で起きる数々の理不尽さ、不便さとの遭遇ギャップを楽しく伝えられたらと思ったのがきっかけです」
Q.今回の漫画を描いたきっかけは。
Dokkoさん「日本では当たり前となっている技術やサービスはかなり質が高いこと、それは決して世界水準ではないことを改めて漫画で伝えられたらと思い、制作しました」
Q.漫画に出てくるご友人以外でも、ドイツではこういう考えの方が多いのですか。
Dokkoさん「はい。私の周りのドイツ人はこういう考えをする人たちばかりでした。彼らは良いサービスにはそれなりのコストと時間がかかることを知っているので、それ以上の過剰要求はしません」
Q.これまで、Dokkoさんの考えに同調してくれるドイツの方はいたのでしょうか。
Dokkoさん「唯一の私の理解者は夫(ドイツ人)ですが、彼は日本文化を学んでいるので半分、日本人です(笑)日本文化を知らないドイツ人に日本の便利さを力説したところ、その裏にあるコスト面や仕事量の増加などを指摘されました。今のままで生活できているので、日本レベルの便利さは必要ないと思われてしまいました」
Q.逆に、ドイツ人の考え方に感心したことはありますか。
Dokkoさん「家族との時間を何より大切にしている点です。ドイツでは、休日は家族や親しい友人同士で過ごすのが主流です。そのため、仕事と休暇のバランスをうまく取ることは彼らにとって死活問題なんです。世の中がどんなに便利になっても、仕事に追われて、愛する家族と一緒にいられなくなるのでは意味がないんです」
Q.ドイツで暮らしてみて、日本のもので一番便利だと思ったものは何でしょうか。
Dokkoさん「何と言っても、一番は日本のトイレです。音消し、消臭、温水洗浄便座、温便座など最高の機能が備わっていて、なおかつ、それがほとんどの家庭に普及していることは奇跡のようです。ドイツのトイレ事情の漫画をインスタグラムにアップしているので、そちらも見ていただきたいです」
Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。
Dokkoさん「同じく在独の方から、ありがたいことに多くの共感を得られました。皆さんの苦労も手に取るように分かりました。また、『日本は便利すぎて頭を使う機会が減ってきている』『サービスに対して価格がつり合ってない(安すぎる)』など、現在の日本のあり方を考える声もありました」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。
Dokkoさん「ドイツでは、漫画は子どもが見るものという印象があります。その概念を覆して、ドイツの漫画市場の活性化に貢献できればと思っています。イラスト制作やHPなども現在、意欲的に制作中です」
オトナンサー編集部