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「東横浜駅」は無くなっても… 桜木町のミニ踏切は鉄道貨物150年の生き証人?

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横浜の都心部、桜木町付近にある踏切は、もはや無くなって久しい造船所名をそのまま冠しています。そしてここは、150年に及ぶ鉄道貨物の歴史を感じられる場所でもあります。

新橋駅が移転したころ、横浜側でも動きが

 2022年は鉄道開業150年という節目の年でしたが、それは旅客列車の話。鉄道貨物は翌年からスタートしているので、2023年は鉄道貨物150年ということになります。

 鉄道は1872(明治5)年に新橋~横浜(現・桜木町)間で開業。当然ながら、貨物列車も同区間で運行開始しています。

Large 230213 fkcym 01横浜の「三菱ドック踏切」。貨物線の途上にあり、貨物列車が頻繁に走るが、踏切を渡る通行者も意外と多い(小川裕夫撮影)。

 時代が下った1914(大正3)年に東京駅が開業すると、新橋駅は汐留駅と改称。同時に旅客営業を止めて、貨物駅として機能していきます。ちなみに汐留駅は、現在の新橋駅から東へ300mほどの場所にありました。そして翌年、横浜側にも大きな変化がありました。

 反対側のターミナルだった横浜駅は旅客と貨物を分離し、旅客駅は桜木町駅、貨物駅は東横浜駅と改称。東横浜駅は桜木町駅のすぐ脇にありました。そして鶴見~東横浜間を結ぶ線路が1917(大正6)年に開通します。同区間はJR東海道線の貨物支線にあたりますが、東海道本線と区別するために高島線とも呼ばれます。高島線の開通により、貨物列車は東海道本線を経由しなくても済むようになりました。

 東横浜駅は1980年代、みなとみらい21地区の開発に伴って廃止されましたが、歴史ある線路には2023年現在も貨物列車が頻繁に走っています。そして桜木町駅の北側には、もうひとつ歴史を感じられるものがありました。

造船所の名称、健在なり

 それは「三菱ドック踏切」です。海側には昭和末期まで、1891(明治24)年に設立された横浜船渠会社の工場がありました。横浜船渠会社は後に三菱重工業の造船所になり、造船所で働く技術者・労働者たちが、この踏切を行き来していたことでしょう。ドックとは船の建造・修理・荷役のための設備を指し、踏切名はその名残です。小さい踏切ですが、今でも歩行者の往来が多くあります。

Large 230213 fkcym 02三菱ドック踏切。かつての三菱重工業の造船所名が残る(小川裕夫撮影)。

 なお高島線は桜木町駅が終点ですが、三菱ドック踏切を通過する貨物列車はさらに南下して、根岸駅や神奈川臨海鉄道の本牧線まで乗り入れます。根岸駅には貨物列車の着発線と荷役線があり、駅ホームからも機関車やタンク車がせわしなく動いている様子を見られます。

 一方、東横浜駅跡地には碑が立っていますが、往時の面影はほとんど消え、再開発によって高層ビル群へと生まれ変わっています。JR根岸線が高架を走り、みなとみらい線が地下を走る中にあっても、高島線はずっと地上線のままです。三菱ドッグ踏切は、東横浜駅の記憶と鉄道貨物150年の歴史を今に伝える生き証人なのかもしれません。

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