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過去最高業績!「バイクで絶好調のスズキ」に死角はないのか? 肩身狭かった二輪の躍進

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スズキが売上高、各利益とも過去最高を記録。なかでも存在感を増しているのがバイク事業で、主力のインドにおいても売上を大きく伸ばしています。利益率が課題だったバイク事業の躍進、しかし心配な面も少なくありません。

“スズキン”に応える? KATANAに乗る社長アピール

 スズキが2024年3月期の決算で売上高、各利益とも過去最高を記録しました。四輪車ではインド国内での累計生産台数3000万台を40年4か月で達成。日本国内での達成より15年早いスピードで、インドを主力とするスズキの好調ぶりを印象付けました。
 
 なかでも、同社の成長に大きく貢献しているのがバイクです。

Large 240516 suzuki 01インドで販売されているスズキKATANA(画像:スズキ)。

 スズキのバイクが好き過ぎて“スズキン”と呼ばれるほど熱狂的な支持者を集めるスズキ。決算説明会の資料のいちばん最初に掲載されているのも、KATANAミーティングでKATANAに乗る鈴木俊宏社長でした。国内外で売れ行き好調な四輪車・新型スイフトと共に同社の顔になっています。

 バイク事業は存在感を増しています。2024年3月期の売上高は3669億円、前年比10%増。営業利益も390億円、前年比33%増と増収増益。数年前まで課題だった営業利益率も飛躍的に改善されました。説明会に登場した鈴木俊宏社長は「営業利益率も10.6%と高水準となりました」と胸を張ります。

 同社全体の営業利益率は四輪、マリン事業などを含めた連結ベースで8.7%。ちょっと余計かもしれませんが、バイク事業の営業利益率が課題だった頃の説明資料の表紙に、バイクは登場していませんでした。

インド好調、それ以外は苦戦

 また、2024年のグローバル販売実績を台数でみると、インドと欧州の販売が増加し、前年より4万5000台多い191万2000台(2.4%増)でした。好調な業績を受けて、スズキは株主還元についても前期から22円の増配。1株当たり122円を決め、累進配当方針を維持することを表明しています。

 インドのスズキブランドは絶大です。その信頼に支えられて、2024年のインドにおけるバイクの売れ行きは15万1000台増の89万1000台(27.4%増)を記録しました。最量販機種はUZ125(アクセス125)とUB125(バーグマンストリート125)です。

 しかし、インドと欧州以外は苦戦しました。中国、インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジアで前年を下回りました。グローバルでのバイク主戦場であるアセアン市場では、激しい競争が繰り広げられています。

「アセアンの不調は国別に特殊要因がなく、5か国とも景気後退による需要減少の影響に加えて、競合他社との競争激化の影響もあり、昨年実績を下回っている」と、同社は説明します。

2024年がグローバルでピーク? 低迷する国内

 苦戦する地域は、日本も例外ではありません。同社の決算を国内ユーザーとして見ると、少し心配な点も見えてきます。その最も大きなポイントが2023年の海外市場と国内市場の成長の乖離です。

 国内市場は前年同期比で約15%少ない3万9000台に落ち着きました。この販売台数は欧州市場とほぼ同じです。欧州市場では8000台増やし、日本では7000台減らして、この規模に落ち着きました。欧州市場の伸長について、同社こう話します。

「欧州は大型新機種の販売ならびにユーロ5(新排ガス規制)対応の125cc機種が貢献し、前年を上回る販売となった」

 社会の高齢化でバイクユーザーも減少する傾向にあります。日本ほどではありませんが、欧州も高齢化しています。また欧州はロシアのウクライナ侵攻の影響を最も受けて、生活インフラの高騰が課題になっています。

 スズキは2025年のバイク販売台数予想として、グローバルで2万台減少する189万2000台(1.1%減)の見込みを立てています。国内の販売台数予想は3万8000台、2024年より1000台の微減見込みです。それに対して欧州は3万3000台、2024年より3000台の増加予想です。鈴木社長も悩んでいるようです。

Large 240516 suzuki 02 2024年3月期決算説明会の表紙。鈴木社長がKATANAとスイフトを並列でアピール(画像:スズキ)。

「商品ラインナップであるとか、いろいろ考えてみますと、まだまだ他社さんに十分対応できないというか、スズキの特徴をしっかり現したようなモデルがやっぱりできてない、商品として提供できてないなというふうに思っています。スズキの特徴ある二輪車を販売できるようにがんばっていきたい」

 バッテリーEVを含めた四輪車の激しい開発競争で、バイクは稼ぐ力として期待される側面が年々強くなっています。収益を上げるためにはコストを削る必要があります。それが魅力あるバイクと両立できるのか。日本では新基準原付の規格も控えています。スズキらしいニューモデルの登場に期待したいところです。

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