楽しいはずの海や川でのレジャーも、思わぬ事故に見舞われる危険があります。実際に過去、溺れかけた経験がある人もいるかもしれません。そこで今回は「日本財団 海のそなえプロジェクト」の一環として実施された「『海のそなえ』水難事故に関する調査」を紐解き、溺れた経験のある人へのアンケートから、その状況を探っていきます。
15~70歳までの男女、1万人以上に調査
一般社団法人うみらい環境財団は、日本ライフセービング協会、日本水難救済会とともに日本財団が企画・統括する「海のそなえプロジェクト」の取り組みの一つとして、水難事故に関する3つの調査を行いました。その1つが「国民の水域利用と水難事故に関する意識調査」です。15~70歳の男女、11,829人を対象に、自然水域に関する知識、技能、行動、溺れ(おぼれ)の経験などを聞いています。
※画像はイメージです
約5人に1人が溺れの経験あり
まず、これまでに溺れの経験があるかを聞いた設問では、17.0%の人が「ある」と回答しています。したがって約5人に1人の割合で、溺れを経験していることになります。
ちなみに、「溺れと認識する条件」としては「大量の水を飲み込む」が最も多く、次いで「呼吸が乱れてパニックになる」、「自力で陸や地上に戻れない」などが多くなりました。
溺れの経験
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより
溺れの経験は「小学校低学年」が最多
次に、溺れの経験があると回答した人を対象に、「溺れた経験の時期」を聞いた設問で最も多かったのが「小学校低学年」で41.1%でした。次いで「小学校入学前(幼稚園、保育園入園中、入園前含む)」が26.9%、「小学校中学年」が21.7%、「小学校高学年」が11.6%と続いています。このことから、「溺れ」の多くが小学生以下での経験であることがわかります。
溺れの経験の時期
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより
溺れた場所は「海」が過半数
さらに、溺れの経験があると回答した人を対象に「溺れた場所」を聞いたところ、最も多かったのが「海」で52%と過半数を占めました。そのほか、比較的多いものとして「プール」23%、「河川」15%があります。
なお、「海」の中でさらに具体的な場所を尋ねた結果は、「沖合」28%が最も多く、次いで「ライフセーバーがいない海水浴場」22%、「ライフセーバーがいる海水浴場」18%、「海浜(ライフセーバーがいない、海水浴場開設期間外、時間外も含む)」12%、と続きました。沖合の海だけでなく、海水浴場でも溺れる人が少なくないことがわかります。
溺れの経験をした場所
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより
溺れた当時にプールで25m以上泳げた人が約半数
溺れる人は泳ぎが下手だというイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、溺れの経験があると回答した人に「溺れた当時のプールでの泳力」を聞いた結果を見ると、約3割を占める28.2%が「25mより長い距離を泳げる」人でした。また、「25m泳げる」と回答した人も21%。これらを合わせると約半数にのぼります。
このことから、泳ぎに対して苦手意識がなく、むしろ自分はある程度泳げるという自信を持っていた可能性も考えられます。もしかすると、泳げることが過信や油断につながってしまったのかもしれません。
溺れた当時のプールでの泳力
――「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリーより
まとめ
誰でも溺れる可能性がある
事故にならなかったにしても、子どもの頃や若いときに「溺れかけた」、「少量ながら水を飲んでしまった」という経験を持つ人は、意外と多いのではないでしょうか? 運よく大事に至らなかっただけで、一歩間違えれば危険な状態に陥っていたかもしれません。人間は水の中では呼吸できない以上、誰しもが溺れる可能性があることを、やはり忘れてはいけないのです。また、溺れの経験は小学生以下に多く、また、半数近くは25m以上泳げていたことがわかりました。スイミングは人気の習い事ですし、泳ぎが得意な子も少なくないと思いますが、だからこそ気を付ける必要があると言えるでしょう。プールと海は全く違うということをしっかり認識しておくことが大切です。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■「海のそなえ」水難事故に関する調査/海のそなえプロジェクト
【調査2:国民の水域利用と水難事故に関する意識調査】
調査対象:一般利用者(国民)、都道府県均等割り、15~70歳の男女
調査時期:2024年5⽉2⽇〜16⽇
回答数:11,829人
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