予想より速度が遅い?
着弾直前は「極超音速」ではなかった?
ウクライナ国防省のオフィシャルメディアである「ArmyInform(アーミヤインフォーム:陸軍情報)」は2024年3月26日、ロシアが2月から使っている、艦艇発射型の極超音速ミサイル3M22「ツィルコン」は既存の防空網で迎撃可能であるという見解を明らかにしました。
3M22「ツィルコン」の発射が可能なアドミラル・ゴルシコフ級フリゲート(画像:ロシア国防省)。
2024年2月末に「ツィルコン」をウクライナへの空爆に使用して以降、同ミサイルに関してロシア側は既存の防空網では迎撃不可能であると強調していました。
しかし、同ミサイルを撃墜したとはウクライナ国防省は明言していないものの、3月25日にキーウに対して行われたロシア軍による空爆で2発の弾道ミサイルを撃墜したとは発表しており、これが「ツィルコン」ではないかと、地元メディアでは報じられています。
今回掲載された「ArmyInform」の記事の内容によると、「ツィルコン」は発射直後の高高度飛行中に関してはマッハ9ともいわれる極超音速まで加速する可能性がありますが、着弾直前の低空飛行時は空気抵抗などもあるため、マッハ4.5の超音速にまで落ちるとのことです。この速度であれば、既存の防空システムでも対応することができます。
なお、これまで何度かウクライナの防空システムに迎撃されている、空中発射型の極超音速ミサイル「キンジャール」よりも精密な構造になっていることは、残がいなどにより認められたようです。しかしロシアが主張しているように、極超音速で飛行する際にプラズマが発生しても、目標に誘導可能な照準機器が搭載されているかについては疑問が残るようで「ウクライナ軍に撃墜されたように、このミサイルは唯一無二の無敵のミサイルではない」と記事では評しています。
なお、SNSでは撃墜されたミサイルと思われる残がいも拡散されており、その部品を調査することでにさらに同ミサイルへの分析が進むと思われます。