秋は、せきが出たり、息苦しくなったりするなど、ぜんそくのような症状が出やすいといわれています。秋にぜんそくの症状が出るのはなぜなのでしょうか。その場合、どのように対処したらよいのでしょうか。秋にぜんそくの症状が出る原因や対処法について、東洋医学にも詳しい、薬剤師の箕浦雅子さんに聞きました。
寒暖差で気道が刺激される
Q.そもそも、秋はぜんそくの症状が出やすい時期なのでしょうか。
箕浦さん「春と秋はぜんそくの症状が出やすい時期です。季節の変わり目は昼夜の気温差が大きくなり、この大幅な気温の変化が気道を刺激します。
さらに秋は湿度が低下するため、空気が乾燥しやすくなります。乾燥した空気は気道を刺激し、過敏な状態になるので、せきや息苦しさなど、ぜんそくの症状を起こしやすいのです。
このほか、秋はブタクサやヨモギなどの花粉が飛散する季節であり、空気の乾燥により、夏に繁殖したダニやカビのふんや死骸、胞子などが空気中に浮遊しやすくなります。これらを吸い込むことによるアレルギー反応でぜんそくの症状や発作が起こりやすくなるのです。持病ではなく、一時的なアレルギー反応でぜんそく症状が出ることがあるので注意が必要です」
Q.もしぜんそくとみられる症状が出た場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
箕浦さん「まずは落ち着いて鼻から息を吸い、口からゆっくり長く吐いてください。この動作を繰り返しましょう。鼻腔(びくう)には、体内に入った空気を湿らせる役割のほか、温度差の調整やほこりなどを取るフィルターの役割もあります。鼻呼吸をすることで、体内に入った空気の温度、湿度が適度に保たれ、自然な呼吸量と呼吸のペースを保てるのです。
口呼吸だと、空気が気道に一気に入るため、乾燥しやすくなりますし、空気が多く入り過ぎた刺激でせきが起こります。また、口からアレルゲンが入りやすくなるので、注意が必要です。
気道の乾燥やアレルゲンの侵入を防ぐにはマスクを使うのが有効ですが、マスクを着用していると口呼吸になることが多くなるので、着用時も鼻呼吸を意識することがとても大切です。
先述のように、空気の乾燥が気道に刺激を与えるため、まずは小まめに水分を取ることで喉の乾燥を防ぎ、せきの原因となる刺激を減らすとともに、部屋の湿度を保つことをお勧めします。また、冷えた体を温める意味でも、胸の上部と背中(気道のあたり)を温めるのも効果的です。
民間療法では、ぜんそくの症状を緩和する方法として、はちみつ大根やしょうが湯、柿のヘタ茶などを摂取するのがよいといわれています」
Q.ぜんそくの症状が自然に治まることはあるのでしょうか。それとも、医療機関を受診しないと治らないのでしょうか。
箕浦さん「自然に治まる場合もありますが、アレルギーで一時的に起きている場合でもせきが続くと、気道が炎症を起こして腫れてきます。すると呼吸が困難になる可能性があります。
せきが治まらない場合や呼吸時に『ゼーゼー』『ヒューヒュー』といった音が聞こえる場合のほか、『胸が締め付けられるような圧迫感や重い感覚がある』『息苦しい』などの症状が出ている場合は、医療機関を受診するのをお勧めします」
オトナンサー編集部