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紀伊半島を横断する2つの国道の「行ってはいけないほう」へ行っちゃった結果… 関西屈指の「酷道」の洗礼

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三重の南部エリアから大阪への一般道ルートは主に2つある

 三重南部の熊野エリアから紀伊山地を経由して奈良、大阪へと結ぶ一般道は、紀伊山地の東側をゆく国道169号と西側をゆく国道309号があり、一部区間は重複路線となっています。奈良県上北山村で分かれ、いずれも吉野の大淀町方面へ向かうのですが、一方のルートはあまりオススメされない「酷道」とされます。

Large figure1 gallery31国道309号の車両通行規制を示す表示(2026年、松田義人撮影)

 そもそも三重の南部エリアから大阪へクルマでアクセスする場合、最も早いのは紀勢道などで三重県内を北上し、伊勢道・東名阪道・名阪国道を経由するルートで、約3時間前後でアクセスできます。

 しかし、相応の高速道路の料金がかかることと、随分と北側に迂回するもどかしさもあり、地図だけを見れば紀伊半島の中央部を突っ切る感じの一般道を通ってアクセスを試みたいところです。

 一般道は、先の高速コースに対し約30〜50分増しの約3時間半強でアクセスできる一方、紀伊山地の山越えをしなければならないため、結構過酷なルートでもあります。

 この一般道コースは主に2ルートがあります。

 1つが国道169号。沿線に桜の名所などもあり、行楽目的の利用者も多い路線であることから、後述の国道309号よりも道幅も広く、きちんと整備された舗装路の多い走りやすいルートと言って良いでしょう。また、2026年10月には途中の高取町に高取バイパスが開通し、さらに利用価値が上がる路線になりそうです。

 そして、もう1つが国道309号。一部区間は国道169号と重複しますが、その分かれ道となる奈良県上北山村の「天が瀬」付近から西方面の国道309号の区間は、紀伊半島の中でも指折りの酷道として知られています。

 とりわけ、国道309号で上北山村と天川村の間にある「行者還トンネル」は、標高約1100mもの高所をゆく難所とされます。

 行者還トンネル西口にある「弥山登山口」は、行者還岳、弥山、八経ヶ岳などを目指す登山者にとっての重要拠点である一方、国道309号自体が例年12月上旬から翌年4月上旬までの冬季は全面通行止めとなり、さらに行者還トンネル付近は台風や大雨の影響で土砂崩れなどを起こしやすく、頻繁に通行止めになることでも知られています。

 筆者がたまたま三重南部の熊野エリアに滞在し、大阪への移動を考えていた2026年7月は、台風の影響で通行止めとなっていた行者還トンネル付近が通行可能となり、約1か月が経過した頃でした。せっかくなので、あえて国道309号を選び、通行止めを解除した行者還トンネルを通って三重〜奈良〜大阪へとアクセスすることにしました。

国道309号・169号の重複区間は走りやすい

 まず、熊野エリアを出発し、国道42号小阪交差点を国道309号奈良・下北山方面へ左折。しばらくはセンターラインのある舗装路が続き、左右前後の美しい景観を眺めながらの穏やかなドライブとなり、まさかこの先に酷道区間があるとは思えぬほどでした。

 途中、熊野市五郷町付近から国道169号との重複区間となり、この道は先に触れた奈良県上北山村の天が瀬付近まで続きます。

 ところどころ道路工事などが行われてはいるものの、きちんと整備された舗装路が続き、ことさら不便を感じません。むしろ、その風光明媚な自然美を感じながらのドライブは、気持ち良く思えるほどでした。

……ところが!

いきなり出てきた「酷道」

 国道169号と国道309号との分岐点付近の「天が瀬」バス停付近を越え、すぐ脇にある「国道309号・天川」の方向へ進んでいくと、いきなりセンターラインがなくなります。さらに進むと、国道309号の車両通行規制を促す表示や、雨量規制区間であることを示す表示が続々と登場。この先がとんでもない酷道であることを予感させる表示を見て、ハンドルを握る手も汗で滲んできます。

 案の定、その先は道幅が狭くかなり劣化した険しい酷道区間があり、対面からクルマが来ないことを祈りながら進みました。途中、道幅が広くなる区間も度々現れましたが、油断するとすぐまた酷道。

 しばらくは、この酷道と道幅の広い区間の繰り返しに翻弄され、行者還トンネルの手前約7km付近からは、つづら折のカーブと急勾配が続き、とにかく険しくなります。Googleマップを見れば行者還トンネルまで「あと5分」と表示されるも、山岳地帯の電波のバグもあってか、その「5分」がいくら進んでも短くなりません。

「本当にあと数キロ先に行者還トンネルがあるのだろうか」と不安になりながらも少しずつ前進すると、やがて「100ポスト」を越えたあたりで、行者還トンネルが見えてきました。

トンネルを抜けたらひたすら下り!

 アーチ状の行者還トンネルは約1km。直線で走りやすく、意外と見通しも良いです。あっという間に西側へとたどり着くと、周辺には登山客のものとおぼしき乗用車が複数駐車しており、駐車場の管理人さんも常駐している様子でした。

Large figure2 gallery32奈良県の国道309号上にある、標高1100mの行者還トンネル(2026年、松田義人撮影)

 この行者還トンネルから先は下り坂です。かなり劣悪で道幅の狭い道路が続きますが、しばらくの間、対向車はありませんでした。しかし、奈良県天川村の白倉トンネルを抜けると、キャンプや釣りの行楽客のような対向車とすれ違う機会が数回あり、なぜだか「人がいる」と思うと、険しい酷道のすれ違いでも逆に安心感を覚えるようにもなりました。

 さらに進むと国道309号はだんだん平地となっていき、センターラインこそないものの道幅の広い道路となり、民家も見えてきました。さらに進んだ川合交差点(天川村)から先は、センターラインのあるごく一般的な舗装路が続き、そのまま無理なく大阪の南河内郡へとたどり着くことができました。

酷道区間約25kmでクルマを壁にぶつけドアが開かなくなる(汗)

 実際の走行距離は約120kmほど。このうち国道309号は舗装区間も多く、実際の酷道区間は約25kmほどでした。それでもヒヤヒヤの酷道越えで、途中クルマの左フェンダーをガツンと壁にぶつけ、左ドアが開かなくなる……という結末にも至りました。

Large figure3 gallery33途中、酷道沿いの壁に左フェンダーをぶつけドアが開かなくなったが、怪我なく大阪にたどり着くことはできた(2026年、松田義人撮影)

 頻繁に通行止めになる国道309号を走れたことは、良い思い出にもなりましたが、過酷な路線でもあるので、筆者のような思いをしたくない方は素直に国道169号ルートを通るか、最短の高速道路ルートを使うほうが無難とも思いました。やはり運転に不慣れな人などは自重すべき道です。

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