国道254号「和光富士見バイパス」の部分開通が近いようです。その予定地にある「クルマが入れない、たった120mのバイパス」という不思議な空間は、今後どうなるのでしょうか。
閉じられた「4車線+自転車道+歩道」の不思議空間
農地も多く残る埼玉県志木市の住宅街に、たった120mだけ作られた立派な4車線道路があります。ただ前後は車両が入れないよう柵がなされ、農道でプツリと途切れます。両側には自転車道と歩道があり、植栽も整備されているという立派なスペックなのが、何とも不釣り合いな空間です。
農道で途切れる4車線道路。クルマは入れない(乗りものニュース編集部撮影)。
ここは、国道254号「和光富士見バイパス」の一部です。この前後区間はまだ更地ですが、バイパスの完成形を住民に見せるため、120mだけ先行設置されています。モデルルームならぬモデル道路だからこそ、植栽まで完成形として作られています。
そのモデル区間が設置されて10年が経とうとしている2022年4月現在、バイパス整備が進捗しています。
和光富士見バイパスは、外環道の和光北IC付近(和光市の松ノ木島交差点)から、富士見市の下南畑交差点(国道463号浦和所沢バイパス交点)までをつなぐ約6.9kmです。下南畑交差点から北は国道254号「富士見川越バイパス」(旧富士見川越有料道路)に接続し、川越方面に通じます。
和光市から朝霞市までの約2.6kmは2010(平成22)年に開通済みですが、いま急速にその姿ができてきているのが、川越側です。
川越側を先行開通へ! 「うらとこ」の渋滞回避
川越側の下南畑交差点には、国道463号のオーバーパスがつくられているほか、志木市内にはすでに信号機が設置された箇所もあります。
整備主体である埼玉県朝霞県土整備事務所の国道254号バイパス担当によると、下南畑交差点から県道40号さいたま東村山線まで(約1.5km)を先行開通すべく動いているといいます。県道40号は、志木市役所のある通りです。
この区間は、もともと2021年度末の開通予定だったものの、用地の関係でどうしても困難となり、2020年12月に開通予定を「2022年度以降」に改めたといいます。ただ「できる限り早く開通させたい」(国道254号バイパス担当)ということで、工事はまさに大詰めを迎えているようです。
下南畑交差点。国道463号を越えるオーバーパスができている(乗りものニュース編集部撮影)。
新たにバイパスの起終点となる県道40号は、荒川に架かる秋ヶ瀬橋に通じています。その北側に架かる羽根倉橋(国道463号)の渋滞を回避し、川越・志木~国道17号・浦和方面の行き来がしやすくなりそうです。
開通近い川越側の約1.5km以外は、いまだ本体工事には至っていないそう。冒頭で紹介したモデル工区の前後がつながるのは、まだまだ先になりそうですが、鋭意、工事着手に向け設計を進めているといいます。
