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「緊急着陸」でも1時間弱飛び続ける旅客機なぜ出現? 離陸と着陸で異なる「重量」の影響

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旅客機が空を飛ぶには、重量がとても重要です。それゆえ航空業界にはさまざまなシチュエーションでの重量が定められており、大きな差があります。緊急着陸の際に、直ちに降りない場合がありますが、それはこの重量が関係しています。

そもそもなぜ飛行機は飛ぶのか

 旅客機だけでなく、航空機が空を飛ぶには、重量がとても重要です。地球の重力下で、航空機を空に持ち上げる力を発生させる方法としては、とても単純にいってしまうと、重力と同じ力を上向きに発生させる必要があります。

 現在、航空機を空中に浮かべる方法のひとつに、翼理論を利用する方法があります。翼をはじめ、一般的に「上面が丸く下面が平らな形状の物体」が空気中を移動すると、その物体の上と下とで空気の流れるスピードに差が生じ、結果的に斜め後方に力が発生します。この力をどう利用するかで、航空機は、主翼という大型の固定翼を取り付けた飛行機やグライダーと、複数の翼を回転させるヘリコプターに大きく分かれます。

旅客機などは前者であり、固定翼を使用しエンジンで翼の速度を大きく上げることで、その力を大きくして飛ぶのが、一般的なスタイルといえるでしょう。

Large 210209 wt 01成田空港を離陸するユナイテッド航空機(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。

 さて、旅客機の重量にハナシを戻すと、そもそも飛行機を開発する際、最初に決める要求仕様において、機体の重量に関しては、何をどのくらい積んで、どのくらいの距離を、どのくらいの速度で飛行させるかがポイントとなります。この仕様の決定がなかなか大変な作業だそうです。

 さて、旅客機が実際に運用に入ると、またここで機体重量がいくつも決まっています。

 ここで重要な役割を果たしているのが、飛行プランを作る“地上のパイロット”ともいえる存在、「ディスパッチャー(運航管理者)」です。フライトに先駆けディスパッチャーは、機体が安全に空中に浮かぶため、飛行距離、予備燃料、気温、風速、機体の状況、そして最も大事なペイロード(搭載される人や荷物の重量)などをシステムに入力すると、パイロットに伝える運航に関するフライトプランが計算されます。

いろいろある旅客機の速度 しかもそれぞれ違う

 航空業界ではシップ(旅客機)の重さに関して、「MTOW」「MTW」「MLW」など……普段はまず聞きなれない用語が並びます。これらは、日本語にすると少しわかりやすくなります。

・MTOW(最大離陸重量):「Maximum Take-Off Weight」、つまり、離陸時に守らなければいけない重量で、これは飛行機のモデルごとの、いわば離陸できる重さの設計上の限界値を示しています。

・MTW(最大タクシー重量):「Maximum Taxi Weight」、空港の誘導路を走る(タキシング)ことのできる制限重量です。MTOWよりは大きくなります。

・MLW(最大着陸重量):「Maximum Landing Weight」、着陸時に守らなければいけない重量です。MTOWの着陸バージョン、といったところでしょう。

 このほか、「MZFW」という燃料を搭載しない状態で運航準備可能な重量や、「MEW」という機内装備を取り付けていない状態の重量など、その値も、シチュエーションによって、細分化されています。

 ちなみにJAL(日本航空)が発行している「航空実用事典」によると、「ジャンボジェット」ことボーイング747-400型機の場合、「MTOW」は約400t、「MLW」は約285tです。

 このように、離陸時の「MTOW」と着陸時の「MLW」で100t以上の差がありますが、この違いはおもにジェット燃料の消費によるものです。また、離陸と比べて、着陸時にランディングギアにかかる衝撃はとても大きく、それに耐えなければなりません。そのため、いわゆるジェット旅客機は、「MLW」が「MTOW」より非常に軽くなるというのが、一般的です。

緊急着陸もすぐ降りられないのは、安全優先の「重量のズレ」が一因?

 このように、重量の定義が多岐にわたって設定されている理由は、自家用車と同じように、航空機が燃料を給油しなければ移動できない乗りものだから、ということ以外に、特に空中へ安全に浮かび上がるために重量が非常に重要視されている乗りものだというのもあります。

 これゆえ、特に最大離陸重量近い重さで離陸したシップ(機体)が、トラブルを起こして緊急事態……となった場合、すぐに降りられるわけではなく、およそ30分から1時間程度上空で飛び続ける必要があります。これは、パイロットが緊急着陸のための準備に時間を要するということもありますが、ほかにもとくに長距離便では、機体を軽くするため、燃料を投棄しなければならないからです。

Large 210209 wt 03成田空港に着陸するユナイテッド航空機(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。

 これは万が一の場合、燃料が漏れないようにといったことを始め、軽い方が接地後フルブレーキで止まれる滑走距離が短くなることや、滑走路の強度などの課題をクリアするためです。

 なお、燃料を捨てるには6000フィート(約2000m)以上の高度で……というのが国際的に一般化されたルールです。これは、ある程度の高さがあれば空中で燃料は霧状となり拡散されるため、地上への影響が最小限で済むからといった理由でしょう。これにくわえ、地上に民家などがある場合には、洋上で投棄しなければなりません。また、国によっては、燃料投棄をするエリアが定められているところもあります。

 ちなみに、昨今ときたま話題となっている「宇宙デブリ」は、地球の重力が小さい高度にあって、速度を持っているため遠心力と釣り合って落ちてこないそうです。人工衛星も同じようなメカニズムです。

※誤字を修正しました(2月11日9時35分)。

【航路図】まさに「燃料投棄なう」の航路図

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