理系の大学・学部で「女子枠」が広がっている。入試の時に、「女性限定」の定員を設ける方式だ。背景には、「理系女子」を増やそうという政府の意向がある。「リケジョ」を目指す中高生や受験生にとっては朗報だ。
国立12大学、公立2大学
文部科学省によると、2024年春入学者向けの入試では、東京工業大(物質理工学院、情報理工学院、環境・社会理工学院、生命理工学院)、電気通信大(情報理工学域)、名古屋大(工学部)、名古屋工業大(工学部)など国立12大学、高知工科大(データ&イノベーション学群)など公立2大学で実施された。
京都大学も3月21日、理学部と工学部で、2026年度に入学する学生の試験から女性のみが出願できる枠を設けることを発表した。ABCニュースによると、理学部の書類審査や面接などで学力や意欲を測る「総合型選抜」と、工学部の「学校推薦型選抜」。いわゆる「特色入試」で「女性」のみが出願できる。
両学部あわせて98人の定員に対し、39人の「女子枠」が設けられ、出願者は学業活動のレポートや大学入学共通テストの点数などを踏まえて合否判定される。
多様性の確保
朝日新聞によると、日本の大学生の女性比率は46%(23年度の学校基本調査)。しかし、世界的にみても、日本では理工系に進学する女性は少なく、経済協力開発機構(OECD)によると、女性の大学入学者のうち理工系に進学した女性は7%(19年)で、OECD諸国平均15%を大幅に下回っている。
このため政府も、女子で理工系を専攻する学生を、32年ごろまでに3割程度まで増やす目標を掲げている。
「女子枠」を設ける理由について、京都大学は、「さまざまな属性や背景を持つ学生同士が存分に語り合い、議論をしながら学びを深める環境を実現するため、キャンパス構成員の多様性の確保を目的とする」と説明している。
デジタルや環境分野の人材を育成
朝日新聞によると、これまでの研究で、多様性のあるチームの方が高い成果を上げることが知られている。日本政策投資銀行が16年、女性が開発に関わった場合の特許の経済価値は、男性だけのチームよりも約1.4倍高い、との論考を発表しているという。
3月24日の日経新聞によると、理系の学部の定員そのものも増える見込みだ。文科省は、24年度からの4年間で理系学部の入学定員を計人増やす計画を承認している。デジタルや環境分野の人材を育成し、国際競争力を高めるのが狙いだという。<J-CASTトレンド>