具体化が早っ!
自動物流道路の全貌明らかに
国土交通省は2024年7月25日、「自動物流道路」に関する検討会の中間とりまとめを発表しました。
幹線道路を走るトラックのイメージ(画像:写真AC)。
自動物流道路は2023年に国の審議会で浮上した構想で、「道路空間を活用した人手によらない新たな物流システム」と説明されています。今年2月に検討会が設置されて以降、わずか5か月で取りまとめとなりました。
具体的には、道路空間を活用し、地下トンネルに自動運転カートを走行させる物流システムを計画しているスイスのように、24時間稼働する貨物専用路を構築し、トラック輸送から貨物の一部を転換。トラック輸送をサポートするシステムとなります。
今回、次のようなステップでの整備イメージが示されました。
・まず、新東名高速の建設中区間(新秦野~新御殿場)などにおいて実験。
・第一段階として、小規模な改良で実装可能な区間などにおいて10年後を目途に実現を目指す(先行ルート)。大都市近郊の特に渋滞が発生する区間を想定。
・長距離幹線として、物流量が特に大きい東京―大阪間を対象に整備。
自動物流道路は「小口の荷物をターゲットとし、パレット等に積載したサイズを輸送単位とすることが適当」とされています。このシステムでカバー可能な1日あたりのトラックの走行台キロ(台数×距離<キロ>)は約1500万台キロ、1日約2.5万人分の労働時間(8時間想定)などと試算されています。
ルートは、高速道路の中央分離帯やトンネルの上下線間の上部・下部など。地上の中央部分を活用する場合は拡幅が必要だといいます。
その荷役は標準化された荷物で積み替えを自動化する想定。トラックだけでなく空港、港湾、そして鉄道とも連携するとされています。鉄道との連携では、東京-大阪間の貨物鉄道ルートとの結節点を設け、一方が不通となった場合に補完し合うシステムとしたり、大都市圏の環状部を中心に、貨物ターミナル駅どうしを結ぶように自動物流道路を整備する、いわばJR武蔵野線のような路線のイメージも示されています。
今後の検討事項としては、「道路交通や物流全体への影響の検証」「需要・ビジネスモデルの検討」「技術開発」などとされています。公共性があるため一定の公的コントロールが必要としつつも、「実現にあたっては、民間資金を想定するとともに、民間の活力を最大限活用する」と明記しており、運送事業者、荷主企業やメーカーなど、多岐にわたる関係者を巻き込んで整備することを想定しています。