明治安田生命Jリーグは今週末、J1第34節、J3第34節、そしてJ1参入プレーオフ2回戦が行われる。今季のJリーグもいよいよクライマックス。それぞれのクラブの運命が、今週末で決まることになる。その中で、今節はどのような対戦カードが組まれているのか。注目試合や選手、見どころをピックアップした。
横浜F・マリノス対FC東京
明治安田生命Jリーグは今週末、J1第34節、J3第34節、そしてJ1参入プレーオフ2回戦が行われる。今季のJリーグもいよいよクライマックス。それぞれのクラブの運命が、今週末で決まることになる。その中で、今節はどのような対戦カードが組まれているのか。注目試合や選手、見どころをピックアップした。
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注目カード(明治安田生命J1リーグ)
横浜F・マリノス対FC東京 12月7日 14:00
注目選手
FW:仲川輝人(横浜FM)
FW:田川亨介(FC東京)
2004年以来となる優勝を狙う横浜F・マリノスか。それともクラブ史上初となるリーグタイトルを目指すFC東京か。いよいよ今季の明治安田生命J1リーグの覇者が、日産スタジアムで決まることになる。多くのサポーターが詰めかけると予想されるこの一戦は、果たしてどのような展開を迎えるか。
マリノスは前節、アウェイで川崎フロンターレとの「神奈川ダービー」に挑んでいる。15年ぶりとなるリーグ制覇を果たすためにも絶対に負けられない一戦となった中で、マリノスは試合開始からわずか8分でFW仲川輝人が先制ゴールを奪取。後半に入っても勢いを落とさなかったアウェイチームはFWエリキが2ゴール、MF遠藤渓太がゴールネットを揺らすなど、昨季のJ1王者から大量4得点を奪った。試合は4-1で終了し、マリノスはリーグ戦6連勝を果たすことになった。
3ポイントを積み上げたマリノスは、これで勝ち点67に到達。2位のFC東京との勝ち点差を「3」に広げることに成功したため、最終節で引き分け以上の成績を収めれば文句なしで優勝を果たすことができる。仮に最終節で敗れたとしても、それが3点差以内のものであれば同じくリーグ制覇が確定する。2004年以来となるリーグタイトル獲得は、限りなく近いと言えるだろう。
一方、悲願のリーグ初制覇を狙うFC東京は前節、ホームで浦和レッズと対戦している。本拠・味の素スタジアムでの対浦和は14戦未勝利中と、アウェイチームを大の苦手としていたFC東京は、この日も苦戦を強いられる。39分にはFWマルティノスに得点を奪われるなど、前半から1点のビハインドを背負ってしまった。
さらにFWディエゴ・オリヴェイラとFW永井謙佑を負傷で欠くという不運にも見舞われたFC東京。69分にFW田川亨介のゴールによってなんとか同点には追いついたものの、反撃はそこまで。1-1で試合を終え、これでリーグ戦2連続ドローという結果になった。
そのFC東京と同日に試合を行っていた首位・マリノスは川崎Fに勝利。これにより、FC東京は残り1試合で首位との勝ち点差を「3」にまで広げられてしまうことになった。最終節で逆転優勝を果たすには、4点差以上でマリノスに勝利するのが絶対条件。リーグタイトル獲得の可能性は、あまり高いとは言えないのが実状だ。
ただ、リーグ優勝の可能性が完全に消滅したわけではない。最終節でFC東京が意地を見せ、マリノスをどこまで追い詰めることができるのかにも注目したい。
マリノスの注目選手はFW仲川輝人。切れ味鋭いドリブルと抜群の決定力を武器に、ここまで得点ランキングトップの15得点を挙げている同選手は、間違いなく現在の同クラブにおける最大の得点源だ。4日に発表された日本代表メンバーにも名を連ねるなど、いま最も勢いに乗る男と見て間違いないだろう。最終節でも決定的な仕事を果たし、チームを優勝に導きたい。
FC東京の注目選手はFW田川亨介。同選手は今季、主力としてプレーしていたわけではないが、D・オリヴェイラと永井のコンディションが万全ではないと思われる中で、最終節ではスタメンに名を連ねる可能性が高い。強敵・マリノスを前に役目を果たし、良い形で日本代表に合流したいところだ。
松本山雅FC対湘南ベルマーレ
注目カード(明治安田生命J1リーグ)
松本山雅FC対湘南ベルマーレ 12月7日 14:00
注目選手
MF:山田直輝(湘南)
優勝争いもいよいよ決着の刻を迎えるが、こちらからも目が離せない。残留争いである。前節の結果を受け、ジュビロ磐田と松本山雅FCの来季J2降格が決定したが、J1参入プレーオフ出場圏となる16位に入るチームは未だ確定していない。16位に入る可能性があるのは第33節を終えた時点で5チーム。最後まで何が起こるかはわからない。
そんな白熱の残留争いを繰り広げているチームの一つが湘南ベルマーレだ。8月11日の第22節、ジュビロ磐田戦以来勝ち星から遠ざかっていた同クラブは、前節のサンフレッチェ広島戦を1-0で勝利したことにより、残留に望みを繋ぐことになった。
湘南は最終節で勝利を収めることができれば、他会場の結果に関係なく残留が決まる。引き分けの場合は他会場の清水エスパルス対サガン鳥栖の結果次第で残留かJ1参入プレーオフ出場かが決まる。敗れた場合は無条件でJ1参入プレーオフに回ることになる。
湘南にとって大きいのは最終節で勝利すれば残留が決まるというわかりやすい条件が残っていること。これにより他会場の結果を気にすることなく、より集中して試合に挑むことができる。今季はピッチ内外で苦しい時を味わった湘南であるが、残留の可能性はおおむね高いと言える。
そんな湘南の前に立ちはだかるのは松本山雅。同クラブは前節のガンバ大阪戦を落としたことにより、すでに来季のJ2降格が決まっている。しかし、最終節にホームで相手に残留を決められるわけにはいかないという強い思いはあるはず。前回対戦では1-1の結果に終わっているなど、湘南との実力は拮抗している。アウェイチームにとっては決して楽な相手にはならないはずだ。
湘南の注目選手はMF山田直輝。今季途中に浦和レッズから加入した同選手は、現在リーグ戦3試合連続スタメン出場中と、浮嶋敏監督の下で調子を上げている。持ち前のハードワークとボール扱いの上手さは、松本にとっても脅威となるだろう。チームを残留へと導きたい。
清水エスパルス対サガン鳥栖
注目カード(明治安田生命J1リーグ)
清水エスパルス対サガン鳥栖 12月7日 14:00
注目選手
FW:ドウグラス(清水)
MF:高橋秀人(鳥栖)
清水エスパルスとサガン鳥栖の両者は、リーグ戦残り1試合となった中で残留を決めることができていない。最終節ではそんな2チームが直接対決。J1生き残りを懸けた、激しいゲームになるだろう。
清水は前節、敵地でセレッソ大阪と対戦している。勝てば残留を決めることができたアウェイチームは、18分にDFエウシーニョが先制ゴールを奪うなど幸先良いスタートを切る。しかしその後はC大阪に攻め込まれると、75分にMF水沼宏太、その4分後にFW柿谷曜一朗にゴールを許し、逆転されてしまう。試合はそのまま1-2で終了し、清水は残留を確定させることができなかった。
清水は最終節で引き分け以下に終わり、他会場の湘南が勝利を収めると16位転落が確定。清水が敗れ、湘南が引き分けに終わっても前者の16位が確定する。他会場の結果に関係なく残留を果たすには鳥栖戦での勝利が絶対条件。ホームゲームということもあり、是が非でも勝ち点3を掴みたいところだ。
一方の鳥栖は前節、ホームで北海道コンサドーレ札幌と対戦している。鳥栖も勝てば残留が確定という状況であったが、同クラブは4分という早い時間にFWジェイに得点を奪われいきなりビハインドを背負う。その後は粘り強く札幌に挑んだ鳥栖であったが、試合終了間際の94分にFW鈴木武蔵に追加点を献上し、万事休す。0-2の完敗を喫し、残留を決めることができなかった。
鳥栖は現在14位。清水とは勝ち点で並んでいるが、得失点差が「5」あるため、最終節では引き分け以上の成績で残留を決めることができる。清水に敗れた場合は、16位・湘南が勝利すると16位転落。鳥栖が敗北し、湘南が引き分けに終わった場合は得失点の勝負になる。
ただ、勝ち点と得失点で湘南と並ぶ可能性もある。そうなった場合は総得点の勝負となるが、現時点で湘南の総得点が39、鳥栖は同32となっているため、そのような状況になった場合は湘南が有利だ。仮にそこでも並んだ場合は当該チーム間の対戦成績で順位が決まるが、1勝1敗の得失点+1としている湘南がここでも有利となる。
と、ここまで鳥栖の残留条件を整理してきたが、引き分け以上で残留という条件は同チームにとってかなり大きい。今節はアウェイゲームになるが、チーム一丸となって残留を手繰り寄せたい。
清水の注目選手はFWドウグラス。同選手は今季のリーグ戦で13得点をマークしているなど、エースとしてチームを牽引している。現在は4試合連続でゴールから遠ざかっているものの、大事な場面で決定的な仕事を果たすことができる選手なのは間違いない。残留を果たす上で、エースの活躍は欠かせないだろう。
鳥栖の注目選手はMF高橋秀人。今年で32歳となったベテランは、今季もリーグ戦31試合の出場を果たしているなど、主力としてチームを牽引している。フィジカルの強さを生かしたプレーで中盤に強度をもたらす同選手の働きは、清水戦でも不可欠なものとなるだろう。
徳島ヴォルティス対モンテディオ山形
注目カード(J1参入プレーオフ2回戦)
徳島ヴォルティス対モンテディオ山形 12月8日 13:05
注目選手
FW:河田篤秀(徳島)
FW:山岸祐也(山形)
J1参入プレーオフ2回戦が、8日の13時5分にキックオフを迎える。負ければ昇格が消滅というシビアな戦いを制し、2回戦へと駒を進めたのは徳島ヴォルティスとモンテディオ山形の2チームだ。
J1参入プレーオフ1回戦でヴァンフォーレ甲府と対戦した徳島は、37分にDFヨルディ・バイスが先制ゴールを奪取するなど、良い形でリードを奪う。しかしそのわずか2分後にFWピーター・ウタカにゴールを奪われ、あっという間に試合を振り出しに戻されてしまった。
それでもその後は粘り強く戦った徳島は、相手に追加点を許さず。1-1で試合を終え、J1参入プレーオフ2回戦へと駒を進めることになった。
一方の山形はJ1参入プレーオフ1回戦で大宮アルディージャと対戦。2回戦進出のためには勝利が絶対条件だった山形は、前半こそ0-0で終えるものの、73分にオウンゴールで待望の先制ゴールを奪取。さらに82分にはFW山岸祐也にも得点が生まれ、リードを2点に広げる。試合はそのまま2-0で終了し、山形は2回戦へと駒を進めた。
2回戦の会場は徳島の本拠である鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム。徳島は1回戦同様引き分け以上で決勝進出、山形も1回戦同様勝利のみが決勝進出への条件となる。今季リーグ戦での対戦成績は山形の1勝1分となっているが、果たして今回はどのような結果になるか。
徳島の注目選手はFW河田篤秀。今季アルビレックス新潟から移籍してきたストライカーは、加入1年目ながらリーグ戦で13得点を叩き出すなど、チームの上位進出に大きく貢献した選手だ。J1参入プレーオフ1回戦では得点がなかったものの、やはり頼りとなる男だ。チーム得点王に懸かる期待は大きい。
山形の注目選手はFW山岸祐也。今季途中にFC岐阜から加入した長身FWは、J1参入プレーオフ1回戦の大宮戦で途中出場ながらチームの2点目を奪取。2回戦進出の立役者となった。短い出場時間の中でもしっかり結果を残せるあたりは魅力的と言える。徳島戦でもヒーローになれるか。
福島ユナイテッドFC対ザスパクサツ群馬
注目カード(明治安田生命J3リーグ)
福島ユナイテッドFC対ザスパクサツ群馬 12月8日 13:00
注目選手
DF:舩津徹也(群馬)
今季の明治安田生命J3リーグも、残すところあと1試合になった。すでにギラヴァンツ北九州の優勝&昇格が決定しているが、自動昇格圏の残り1枠はまだ埋まっていない。現在、その座をザスパクサツ群馬と藤枝MYFCが争っている。
その中で2位の座に近いのは群馬。前節、いわてグルージャ盛岡と対戦した同クラブは、試合終盤のFW高澤優也のゴールにより、1-0で勝利している。これでリーグ戦2連勝とした群馬は勝ち点を60にまで積み上げた。
その群馬と同日に試合を行っていた藤枝がY.S.C.C.横浜に0-3の完敗を喫したため、群馬は藤枝を得失点で上回り2位に浮上。リーグ戦残り1試合で昇格に大きく近づくことができた。
群馬は最終節の福島ユナイテッドFC戦に勝利すると、ほぼ昇格が確定。3位・藤枝との得失点差が「14」あるため、勝ち点で並ばれてもここを逆転される可能性が少ないからだ。
群馬が福島戦を引き分け以下の成績で終えた場合は、藤枝が引き分け以下の成績で昇格。藤枝が勝利を収めた場合は昇格を逃すことになる。最終節は藤枝の結果も気にしながら、ということになるかもしれないが、果たして2017年以来となるJ2復帰を果たすことができるか。
注目選手はDF舩津徹也。チーム在籍4年目を迎えた守備の要は、今季も主力として群馬を牽引してきた。最終節でも、粘り強いディフェンスを見せ、クラブを一つ上のカテゴリーに導きたいところ。2年前はJ3降格の悔しさを味わったが、今度はJ2昇格という喜びを味わうことができるか。