台湾での出会いと別れを描いた漫画「私の台湾一大好きなお弁当屋さん」(前・後編)が、Instagramで合計1800以上のいいねを集めて話題となっています。
作者が台湾に来てまだ間もない頃、初めて1人で注文ができたお店。その経験は、作者に台湾で暮らしていく勇気をくれました。その後も夫や子どもたちとお店に通っていたのですが、ある日閉店することを告げられ…。読者からは、「人や食べ物を通して励まされることってありますよね」「トマトチャーハン、食べたことはないけれど絶対おいしい!」「店主さんご夫婦も新天地で幸せに暮らしているといいですね」などの声が上がっています。
店がきっかけで台湾で生きていく自信がついた
この漫画を描いたのは、Instagramやブログ「みみ家の台湾的日常。」などで漫画を発表している、ブロガーの「樋口みみ」さんです。2024年6月には、書籍『台湾で食べて育てて覚悟して 気づいたら、暮らし始めて12年め』(竹書房)を出版しています。樋口みみさんに、作品についてのお話を聞きました。
Q.今回、漫画「私の台湾一大好きなお弁当屋さん」を描いたきっかけを教えてください。
樋口みみさん「ご本人たちに感謝の気持ちが届けばいいなと思って描きました。今はどこにいらっしゃるのか分かりませんが、あわよくばという思いで…。でも描いた後で、『そういえば日本語では読めないかも』と気付き、現在、中国語版も制作中です。本当は10ページの読み切りで終わる予定でしたが、店長さんご夫婦への思いが詰まり過ぎて、長くなってしまいました」
Q.台湾のお店で初めて注文できたとき、どのような気持ちでしたか。
樋口みみさん「慣れない異国の地で、自分1人でできることが1つ増え、『ここでも生活していけそう!』と自信がつきました。当時、まだ台湾に来て1週間程度で言葉がまったく分からなかったので。それまでは、自分で記入する形式の伝票で注文する程度しかできず、口頭での注文は台湾人の夫に頼っていました」
Q.トマトチャーハンや排骨(パイグー)以外にも、よく食べていたお気に入りのメニューはありますか。
樋口みみさん「店内の一番人気は『排骨と白米に数種類のおかずのセット』でしたが、私はこのお店のチャーハンがとにかく大好きだったので、チャーハンと排骨を単品で注文していました。また、カキのスープもいつも一緒に頼んでいました。実は私は、カキがあまり得意ではないのですが、ここのスープはクセがなくてあっさりしていて飲めたんです」
Q.お店の料理がもう食べられないと分かったとき、どのように感じましたか。
樋口みみさん「とても寂しかったです。日本の友人が来たら『あれも食べな、これも食べな』と、メニューにはない台湾のおいしいフルーツを切って出してくれたり、お店の前を通ったときはつい立ち話をしてしまったり…。とにかく家族のように接してくれました。
そして、本当にご飯がおいしかったんです。『台湾をもし離れることになったら、真っ先に思い出して恋しくなりそうな味だな』と思いながらいつも食べていたので、お店がなくなった今でも無性に食べたくなることがあります」
Q.その後、店長さんご夫婦に遭遇したことはありますか。
樋口みみさん「現在は、どこにいらっしゃるか分かりません。閉店直後は近くの公園や市場などでよく会うことがあったのですが…。会うたびに子どもたちや私のことを気に掛けてくれたり、子どもたちにふかしたてのさつまいもをくれたりなど、まるで家族と接するかのように良くしていただきました」
Q.漫画「私の台湾一大好きなお弁当屋さん」について、どのような意見が寄せられていますか。
樋口みみさん「『台湾に行ったときに食べてみたかったのに残念!』『最近、後継者がいないという理由で閉まっていくお店が多いですよね、悲しいです』『食べ物や人を通して励まされることってありますよね』などといった声を頂きました」
オトナンサー編集部