仕事や私生活で悩みを抱えたときに心強い存在なのが、「心理カウンセラー」です。カウンセラーに悩みを打ち明けることで気持ちが楽になった人もいるようです。ところで、心理カウンセラーになるにはどのような資格が必要なのでしょうか。対応可能な相談内容などについて、心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。
取得が義務付けられている資格はなし
Q.心理カウンセラーになるために必要な資格はありますか。
平井さん「実は、『心理カウンセラー』という職種を名乗るためにこの資格が絶対必要、というものは特にありません。つまり、ある程度勉強したら思い立ってその日のうちに心理カウンセラーとして開業するということも可能ではあります。
ただ、カウンセリングに関する資格はたくさんありますし、資格を保有していることでカウンセラーに対する信頼度が上がるとは思います。例えば国家資格である『公認心理師』、民間資格では『臨床心理士』などは知名度や専門性が高く、指定の教育機関を卒業することが条件とされているため信頼性も担保されています。
一方、社会人などで、まずは心理やカウンセリングの知識を習得したいという人は、例えば『メンタルヘルス・マネジメント検定試験』など、テキストのみで勉強できる資格から徐々に学びを深めるのもお勧めです」
Q.では、心理カウンセラーを名乗っているからといって、必ずしも公認心理師というわけではないということでしょうか。また、公認心理師とはどのような資格なのでしょうか。
平井さん「公認心理師は心理カウンセラーに関する資格の一つと言えると思います。先ほども少し触れましたが、公認心理師は心理カウンセリング関連としては初の国家資格で、2019年に初めて有資格者が誕生した、まだ歴史の浅い資格です。
資格自体の歴史は浅いですが、今後誕生する有資格者は大学・大学院で心理学を6年間学び、臨床実習も修了することが条件になっています。心理学に対する専門的な知見と技術が求められるカウンセリング系唯一の国家資格です」
Q.心理カウンセラーに対して、どのようなことを相談できるのでしょうか。
平井さん「カウンセラーによって異なることがありますが、ご自身の悩みや恋愛関係、対人関係など、相談可能な内容は多岐にわたります。まずはお話を聞いてみて、カウンセリングの範囲外であると判断した場合は相談内容に関連した各種機関にご紹介するというプロセスを取っています。
例えばご自身の悩みといってもその内容はさまざまで、物事や感情の捉え方についてや、昔からささくれを剥ぐ癖が治らないといったものもあります。悩みの入り口が癖の問題だったとしても、その要因がストレスやご自身の価値観といった本質的な部分に原因が隠れていることも少なくありません。『こんなこと相談してもいいのかな?』と思われるかもしれませんが、困っていることや気になることがあれば、まずはご相談いただきたいですね」
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心理カウンセラーとしてのキャリアをスタートする際に、特に必要な資格がないというのは少し意外ですよね。とはいっても、「公認心理師」の設立の要因の一つとして、心理カウンセラーの待遇改善や地位向上などを目的としていることもあり、今後ますます注目される職業と言っても良いのではないでしょうか。
オトナンサー編集部