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「ボーイング767」なぜ35年以上も国内で主力? やっぱり不動の「優等生」 その功績と強み

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日本で35年以上、主力級の活躍をする旅客機がボーイング767です。まさに優等生のような機種ですが、どのような飛行機で、どんな魅力があるのでしょうか。

1980年代から国内航空会社で活躍

 日本でボーイング767といえば、国内ほぼ全ての主要空港に就航できる優等生のような存在です。ANA(全日空)は1983(昭和58)年から、JAL(日本航空)は1985(昭和60)年からこのシリーズを使用。35年以上が経過した2021年現在でも、ほとんど設計に変化のない派生型がいまだに一線級の活躍をしています。

 一方で、その“安心感”の反面、長年あまり目立つこともない旅客機ともいえるでしょう。改めて767がどのような旅客機なのか、その魅力に迫りたいと思います。

Large 012021年の羽田空港、JALのボーイング767が並び立つ(乗りものニュース編集部撮影)。

 767シリーズを開発する前のボーイング社は、最初のジェット旅客機707、おもに短距離を担う727、737、超大型旅客機として一世を風靡した747を生み出したのち、そのすき間を埋めるジェット旅客機の開発に着手します。747の次に同社が計画したのが、交代期を迎えた3発ジェット727の後継派生型「727-300」というモデルでした。

 この機は3つのエンジンを胴体後部にまとめた「リア・ジェット」で、シングル・アイル(単通路)の胴体など、これまで同社が開発した短距離機の特徴を引き継ぎながら、当時発達してきたコンピューター・システムを積極的に取り入れ、2人乗務での運航を可能にした初期のハイテク機でした。

 ただ、エンジンを3発積むことで経済性が悪くなることなどを航空会社側から指摘され、ボーイングは新たに双発単通路機「7N7」計画を立ち上げ、そちらにシフトします。これと同時に、中距離を飛び、250人前後の乗客を乗せ、運航経費が安い、”儲かるジェット旅客機“として開発されたのが「7X7」です。

 そして先に開発された「7N7」は「757」、「7X7」は「767」というモデルナンバーが割り当てられました。

 このような経緯から、767は「757」と姉妹機であり、パイロットの資格もほとんど共通化されています。現在でこそ、パイロット資格の共通化はエアバス機などで一般的になっていますが、当時は超画期的な技術革新のひとつだったといえるでしょう。また、これらの機体では当時最先端のコンピューター技術を駆使した「グラス・コクピット」が採用されており、現在の最新鋭機787まで続く操縦システムの元祖的存在ともいえます。

767、実はあった功績 強みに迫る

 ボーイング767の大きな功績は、「双発機の長距離洋上飛行制限」の扉を開いたことでしょう。同機がデビューするまでの双発ジェット旅客機は、航続性能的には十分だとしても、エンジンの信頼性が低いため、60分以内に着陸できる空港がある範囲しか飛べないという制限がありました。

 当時、大西洋を最短距離かつひとっ飛びで横断するためには、どうしても洋上を75分以上飛行する必要がありました。1985(昭和60)年に767は、双発機で初めてこの制限を超える能力を持つと認められたのです。

Large 02「ボーイング767」1000号機完成披露の様子。ANA向けの機体だった(画像:ボーイング)。

 767は製造時期がアメリカの航空自由化とも重なったことで、既存の航空会社だけでなく新規航空会社にも求められ、ベストセラーとなっていきます。

 それだけでなく、航空会社にとっても、旅客にとっても、“かゆいところに手が届く”ニーズを満たす旅客機で、それが長きにわたり売れてきた要因のひとつになっているとも考えられます。

 767は、アメリカのP&W(プラット・アンド・ホイットニー)とGE(ゼネラル・エレクトリック)、イギリスのRR(ロールス・ロイス)の3社からエンジンを選定できました。これらは、当時世界の3大航空機用エンジン・メーカーで、747やダグラスDC-10、ロッキードL1011「トライスター」などで十分な実績を積んだ、それぞれ大きな信頼性を持つエンジンを製造しています。767を導入する航空会社は、他機種や費用との兼ね合いなども考えながら、まったく不安なくエンジンを選べるのです。

名機「767」は旅客のニーズも満たす?

 客室も、乗客からの希望を実現したコンセプトが採用されています。同機は2本通路をもつ「ツイン・アイル(複通路)」の機体ですが、ほかのツイン・アイル機よりは小ぶりな「セミワイドボディ」というタイプです。

Large 03JALのボーイング767の機内(乗りものニュース編集部撮影)。

 767の座席配置は2-3-2列。乗客は80%程度までの搭乗率であれば、窓側、通路側のどちらかに乗ることができます。つまり、満席でない限り、両脇に他人がいる「中央席」を避けられるのです。また、窓側、中央席であっても、767の配列は隣の乗客1人だけに譲ってもらえれば動けます。777(横3-4-3列)や787(横3-3-3列)の窓側席などではそうはないので、乗客にとって「気が楽」と言われています。このレイアウトは、ほかの旅客機ではまず見られないものです。

※ ※ ※

 767シリーズは初期タイプの767-200、胴体延長型の767-300、その後コンピューターを後進機の777に準拠した仕様に変更し、胴体を延長した767-400(ER)などに大別されます。2021年現在の767シリーズは、世界的に見るとキャパシティが似た後進機787に活躍の座を明け渡しつつありますが、日本国内では767-300の航続距離延長モデル「767-300ER」がJAL、ANAともに787と並び立つ姿は、いまだ健在です。

 日本においては、飛行距離の性能より、日本路線にフィットした乗客数を持っていたことも、767が長い間健在している一因なのかもしれません。――「旅客機界の優等生」はまだまだ、飛びます。

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