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現役の空母なのに“年中無休の観光地化”なにがどうして!? 東南アジアで初 海軍機体の空母が「SNSの映えスポット」になった原因とは?

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東南アジアで初めての空母とは?

 2026年9月24日、インドネシア海軍は、イタリア海軍で運用されていた「ジュゼッペ・ガリバルディ」の艦名を「シュリーヴィジャヤ」と改め、同海軍で就役させました。この取得により、インドネシアは東南アジアで2例目の空母保有国となりました。では、最初の空母保有国はどこかというと、タイです。しかも、タイ海軍の空母「チャクリ・ナルエベト」は、現役でありながら“博物艦”状態という珍しい艦として知られています。

Large figure1 gallery8空母「チャクリ・ナルエベト」(画像:アメリカ海軍)。

 同空母は、バサン社がスペイン海軍向けに建造した軽空母「プリンシペ・デ・アストゥリアス」の縮小改良型といえるもので、1996年1月に就役しました。「シュリーヴィジャヤ」とは違い中古ではなく、タイ海軍向けに建造された空母です。そして、ヘリコプターだけではなく、「ハリアー」垂直/短距離離着陸機のスペイン版であるAV-8S「マタドール」も同時に購入したことで運用が可能となり、東南アジアで初めてジェット戦闘機の運用が可能な新造空母として注目を集めました。

 1990年代後半に就役した空母ということで、本来ならば、まだタイ海軍艦隊の中核に位置していてもおかしくありません。しかし、同艦は就役期間のほとんどを、母港のあるラヨーンでほぼ停泊して過ごしています。そのような事態になってしまった理由は、就役直後の1997年7月より始まったアジア通貨危機でした。

 この通貨危機はタイを震源として発生しました。そのため、タイは深刻な不況となり、そのあおりを受けて軍隊の予算も大きく削減されることになります。空母の運用は、サイズの大小の違いこそありますが、通常の船員のほかに搭載する艦載機のパイロットやその整備人員、さらに諸々の維持費などもかかることから、かなりの資金が必要な艦艇のひとつです。

 そうした“金食い虫”ともいえる同艦を頻繁に動かすわけにもいかず、同艦が外洋に出る任務は激減。その回数は月に1日程度になってしまいました。

 さらに、同艦にとってさらに良くなかったのが、艦載機として中古購入したAV-8S「マタドール」でした。

 この機体、かなり格安で購入したといわれています。もちろん、安いのには理由がありました。購入時にはすでにかなり老朽化しており、機体寿命もそう長くないとみられていたからです。加えて、そもそも活用する場所であるはずの空母がほとんど動かないということで、2000年代中期には早々と運用を停止。これにより「チャクリ・ナルエベト」は事実上、ヘリ空母になりました。

 そのため、同艦は定期的に艦隊での任務につくこともなく、観艦式に参加する程度の扱いになってしまいます。ちなみに、インドネシア海軍の「シュリーヴィジャヤ」も同じく垂直/短距離離着陸機の運用が可能ですが、現状では、有人の固定翼機ではなく、無人機を運用する無人機空母として改修する予定だといわれています。

空母なのに営業時間があるだと!?

 ただ、「チャクリ・ナルエベト」が実際に活用されたこともあります。2004年に発生したスマトラ島沖地震です。このときは、その巨体とヘリコプターの発着能力を活かし、災害派遣での物資輸送や被害状況の確認など、重要な役割を担いました。

Large figure2 gallery9かつて艦載機だったAV-8S「マタドール」。画像はスペイン海軍時代のもの(画像:アメリカ海軍)。

 ほかにも、2010年代に発生したタイの大洪水の際にも派遣されており、タイの現王朝である「チャクリー王朝」の偉人を意味する言葉が艦名の由来であるように、その名に恥じない、国民を助ける活躍を見せました。

 しかし、2026年現在、同艦がどうなっているのかというと、ネットで検索すればすぐにわかりますが、一般人が甲板で撮影したフォトジェニックな写真をいくつも確認することができます。その姿は、とても現役艦とは思えません。

 さらに旅行サイトでは「観光地」として扱われており、「開館時間は09:00~16:00までで、タイ人は入場料を払わなくても入れます」といった案内や、「毎日閲覧可能です」という文言まであります。ここまでくると、いよいよ現役艦なのかどうか怪しくなってきます。

 ただ、タイ国民にとっては唯一の空母であり、災害派遣でも頼もしい活躍実績があることから、同艦のレビューなどを確認すると、「緊急時には空母として活躍する特別な船」という認識はあるようです。

 なお、最近ではドローン用空母としての運用も模索されており、もしかすると、こうした「博物艦」扱いが終わる可能性もあります。ちなみに、タイ国民でなければ、さすがに艦内の見学はできないようです。

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