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首を動かすと鳴る…不気味な「ジャリジャリ」音の正体とは? 整形外科医に聞いた

オトナンサー

美容・健康

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「ジャリジャリ」音の正体って?
「ジャリジャリ」音の正体って?

 首を動かすと「ジャリジャリ」「シャリシャリ」という音がする――。首周辺の凝りに悩まされている人の中には、こうした“不穏な音”に心当たりがあるケースも多いのではないでしょうか。首を動かしたとき、痛みがなくてもこうした音が聞こえることがあるようで、「不気味すぎる」「何の音なの?」「やっぱり病院に行った方がいい?」など心配の声も聞かれます。

 首を動かしたときに鳴ることのある「ジャリジャリ」「シャリシャリ」という音の“正体”とは何なのでしょうか。整形外科医の歌島大輔さんに聞きました。

音以外の「症状」があれば受診を

Q.首を動かしたときに鳴ることのある「ジャリジャリ」「シャリシャリ」という音の正体は何ですか。

歌島さん「首は『頸椎(けいつい)』という背骨の関節で、7個の骨が積み木のように積み上がっています。そのような複雑な構造の中で、首の動きに伴う“音”の正体は、実はまだ明らかになっていません。

首を動かしたときの音については、インターネットで検索すると『自律神経の問題』『ストレートネックのせい』『放置するとさまざまな体の異常が出てくる』というような医学的根拠がない話にあふれています。“まだ医学的根拠がない”だけかもしれないので、『医学的根拠がないから、うそである』と言いたいわけではありませんが、現時点では注意が必要です。

一方で、医学的に検証がなされた関節の音もあります。それは『指』です。2015年の研究(※1)では、指の関節で鳴る音は『気泡がはじける音』ではなく、『関節内に空間が形成される音』ということがMRIを使った研究で示されました。同研究では、『指を引っ張ることで関節に空間が発生し、音が鳴る』というその現象をMRIで捉えています。

これがあらゆる関節の、いろいろな音の正体かどうかまでは定かではありません。しかし、関節の空間が広がるだけでも音が鳴ることが分かると、実際は音が鳴っても、そんなに大層なことは起こっていないのかもしれません。これは、整形外科医がよくお伝えする『音が鳴っても痛みがないなら、そんなに気にしなくていいですよ』というアドバイスの一つの根拠でもあります」

Q.とはいえ、こうした音が続くと「気になる…」という人もいます。「ジャリジャリ」「シャリシャリ」音が続く場合、どうすればいいですか。

歌島さん「先述したように、音が鳴ること自体に病的な意義があるかといえば、医学的には疑問です。そのため、ここで大切にしてほしいのは『音以外の症状』です。注意したい症状として、次の4つが挙げられます。

・首の痛み
・手や腕のしびれ、痛み
・歩きにくい
・ボタンを留める、字を書く、箸を使うといった「手の細かな作業」がやりにくい

これらの症状は首、つまり頸椎に問題があり、さらにその中を通る脊髄などの神経に問題がある場合に起こり得る症状です。こうした症状がある場合は、まず整形外科でエックス線検査と診察を受けましょう。必要に応じてMRIなどの精密検査も行います。重症と判断された場合には、頸椎の手術を提案されることもあるかもしれません。ただし、『首を動かすと音が鳴る』というだけで、これらの精密検査や手術に至ることは考えにくいです」

Q.「ジャリジャリ」「シャリシャリ」音が続いている状態のとき、意識するとよいこととは。

歌島さん「まず、先述した『音が鳴ること以外の症状』がないかを確認してください。症状がなく、音だけが気になるという場合、一つは『気にしない』ということ、そしてもう一つは『可能な限りで音が鳴る動きはしない』ことです。

1つ目の『気にしない』というのは、音が習慣的に鳴っていてもいいという判断になります。医学的な根拠をなかなか提示しにくい首の音ですが、同じ関節でも指の音については先述のように少し研究があります。例として2017年の研究(※2)では、習慣的に指の音を鳴らす人と、鳴らさない人を比較した結果、痛みも指の関節の動きも変わらないことが報告されています。となると首の音も、それ以外の症状がないなら『気にしない』という選択肢もアリということになります。

『音が鳴ること自体は、医学的に問題ではないかもしれない』ことを知ると気になりにくいかもしれませんが、人によって『気にしない』こと自体がそもそも難しい場合は、『可能な限り音が鳴る動作を避ける』のも選択肢でしょう」

参考文献
※1)Gregory N Kawchuk et al. PLoS One. 2015
Real-time visualization of joint cavitation
※2)Boutin RD et al. Clin Orthop Relat Res. 2017
“Knuckle Cracking”: Can Blinded Observers Detect Changes with Physical Examination and Sonography?

オトナンサー編集部

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