※このコラムは『Re:リベンジ 欲望の果てに』8話までのネタバレを含んでいます。
◼️マジで命を預けたくない! 天堂記念病院
元恋人・陽月(芳根京子)の妹・美咲(白山乃愛)の葬儀の場で、「手術過誤があった可能性」と「美咲の病理解剖」を医師から提案された天堂記念病院の理事長・海斗(赤楚衛二)。
今まさにご遺体が火葬されようという直前で、「遺族に病理解剖を提案し、手術の結果について明らかにすることで、患者に誠意を持って対応するか」はたまた「そのままなかったことにして病院の名誉を守るか」の究極の二択を突きつけられます。
しかし結局、海斗は陽月に病理解剖の提案をすることができず、美咲のご遺体は火葬場に。手術にミスがあったのかどうか、真相は闇に葬られました。
それを「よくやった。いや、よく何もやらなかった」と手放しで賞賛したのが会長の皇一郎(笹野高史)。ご遺体が火葬されてしまえば、検証のしようがありません。
「海斗にとって一番大切なことはプロジェクトを進め、多くの命を救うこと。それをポシャらせないために、今回の件は予期せぬ心不全によって亡くなったことにしておけ」と病院の名誉と海斗のために不確かな事実は隠滅することを後押しします。
絶対に命を預けたくない病院、天堂記念病院のクソ体質が理事長が変わった今も、変わらず継続することとなりました。
◼️大友のおかげで心が軽くなった海斗
海斗は陽月から、「実は大友(錦戸亮)に病理解剖を勧められていたが、『病気で苦しんできた美咲の体をこれ以上傷つけたくない』と言う理由から、断っていた」ことを聞きます。もし自分が提案していた場合もそうなっていたであろうと、病理解剖を提案できず心にしこりが残っていた海斗は、陽月の決断を知り、ほんの少し罪悪感から解放されたことでしょう。
そしてまるで自分に言い聞かせるかのように、「解剖したところで何か分かったわけじゃない。体を傷つけたくないという気持ちは間違っていない」と病理解剖を断った判断を正当化する言葉を陽月にかけるのです。
病院と自分の名誉と患者、どちらのために理事長として行動するべきかを即決できなかった海斗。良心と、利己的な気持ちの狭間で海斗の心は揺れ動き続けます。
◼️ダークサイドに落ち始めた海斗
天堂記念病院より、今回の手術の一件についての公式文書が発表されるや否や、それを見て病理解剖を提案した医師が鼻息荒く理事長室に乗り込んできます。
「真実を明らかにすべき! 病理解剖を遺族に提案しなかったのに、提案したことになっている!」と訴える若い医師に対し、海斗は「病理解剖は(大友が勝手に)提案した上で、遺族の意思で実施しなかった。ご遺体なき今、できることはない」とつっかえします。
しかし、「左肺が落ちていたことは伝えてないのでは?」と、医療過誤の可能性をはっきりと伝えず病理解剖を提案していたという痛い点をつかれ、また海斗の良心は痛み始めます。
しかし、ダークサイドに落ちかけている海斗はこの医師の訴えを全て棄却し、病院を守る行動をはっきりと取り始めるのです。
◼️会長の見事な調教術
そして、海斗はダークサイド側の黒幕・会長から「証拠のレントゲン写真を削除して隠滅する」よう圧をかけられます。
「お前がやるんだ。お前が手を汚して病院を守るんだよ」と、海斗の手で記録を消させることで心も体もしっかりと悪の道に調教していく会長。
これで万が一何かがあっても、会長は「海斗の一存でやった」と知らぬ存ぜぬで通せますし、トカゲの尻尾切りのように海斗を切るだけで、自分の立場は揺らぎません。加えて、手を汚した自覚をはっきりと持たせることで、海斗を飼い慣らし、悪行に対する感覚を少しずつ麻痺させながらダークサイドへ引き込むというやり口。
都合のいい駒として動かすための会長のいつもの手なのでしょう。
◼️智信が大友を金銭的に援助していた理由?
トドメは「(海斗の父である)智信(光石研)もやってきた」という一言。これは海斗が闇堕ちするのに十分すぎる言葉でした。しかし、患者第一のスタンスで行動し、救えなかった患者の息子である大友を金銭的に援助し、定期的に顔を見にいくなどしていた智信が、果たして本当にそのような行動をとっていたのでしょうか?
それとも、大友の母の一件の時も、同様に会長からの圧で証拠を隠滅させられ、その贖罪として大友の援助をしていたなんてこともあるのかもしれません。
◼️破滅の序章!? 紗耶へのうそ
手術に疑問を持つ医師の口を封じたはずが、海斗の元同僚である紗耶(三上愛)の元に天堂記念病院についてのタレコミメールが届きます。そこには医療過誤疑惑どころか、証拠を隠滅したことまで書かれているなど、あまりに詳細すぎる内容。
「これは事実なのか」と、紗耶は海斗に尋ねます。これまで一貫して、まっすぐに自分の正義を貫く海斗のためにと協力し、男性としても海斗に好意を持っていた紗耶。まさか、病院と自分の名誉のためだけに動くようなことがあってほしくないと、自分の願いも込めながら海斗に聞くのです。もしそうであれば、自分が海斗を好きだったこと自体が過ちになってしまいますから……。
それに対して海斗は「何も知らない。俺が隠滅するはずもない」と全否定し、紗耶の好意を利用してキスからのベッドインの力技で全てをごまかします。どんどんとうそをつくこともスムーズになってきた海斗。
しかし、これは破滅の序章のように見えます……。このタレコミが事実だと分かった時、紗耶の海斗への好意が憎しみに変わり、銃口の矛先が変わってくるのではないでしょうか……。
◼️海斗、絶対絶命
垂れ込み相手が指定した場所へ海斗の秘書が様子を伺いに行くと、そこにいたのは大友。大友は秘書の姿を見て、海斗が隠蔽に関わっていることに確信を持ちます。
そして、大友は海斗へ「個人的感情から自分をプロジェクトから遠ざけ、手術を強行した結果、取り返しのつかない事態になった。全てが明るみになれば病院もあなたもおしまいです。全てを明らかにし、理事長の立場を降りろ。お前に人の上に立つ資格はない」と、はっきりと伝えるのです。
しかし今現在の事実は「肺が落ちていたことと、手術中に肺を傷つけてしまった『可能性』がある」ということだけ。それが事実かどうかは病理解剖をしないと明らかにはできず、誰も断言はできませんし、今や明らかにする術はない。
ただ、大友の判断に従っていれば、今も美咲が生きていたことは事実……。真相は不明でも、この流れも含めて世に出れば、理事長の私利私欲が招いた大きなスキャンダルとして扱われ、病院の未来は失われるのでしょう。
◼️海斗、破滅の序章を歩み出した感
会長も「器を超えた欲望を持った時、人は破滅する」と言っていましたが、今回のエピソードが、海斗の破滅の序章でないことを祈ります。
どこかで海斗もダークサイドから目を覚まし、正義の心を取り戻して、大友と協力しながら真の悪である会長を倒し、患者のためにある天堂記念病院を取り戻してほしいのですが。
海斗と大友の次回一騎打ちを楽しみに待ちましょう!
(やまとなでし子)