娘が入院していたときの出来事を描いた漫画「0歳の娘がICU(集中治療室)に入った話」が、Xで合計1万9000以上のいいねを集めて話題となっています。
生後6カ月の頃、せきが出るようになり風邪と診断された娘。なかなか回復せずにいたある日、高熱が出てしまいます。病院で診察を受けたところRSウイルス陽性と分かり、そのまま入院したのですが、重篤化したためICUに…。
病気の娘を見守り続けたつらい体験を描いた作品に、読者からは「多くの親御さんに見ていただきたい」「病院からの連絡って怖いですよね」「娘が入院していたときのことを思い出しました」などの声が上がっています。
現在は元気に成長している娘
この漫画を描いたのは、漫画家の織田博子さんです。Xなどで漫画を発表しており、これまでに『世界家庭料理の旅』(イースト・プレス)などの作品を手がけました。織田博子さんに、作品についてのお話を聞きました。
Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。
織田博子さん「元はエンジニアでしたが、会社を辞めてユーラシア大陸を一人旅した体験をフリーペーパーで発行していました。そのときに『シベリア鉄道の漫画を描きませんか?』とお声掛けいただいたことがきっかけで、漫画を描き始めました。30歳での漫画家デビューです」
Q.今回の漫画を描いたきっかけを教えてください。
織田博子さん「こんなつらい体験をする人がちょっとでも少なくなればと思い、自分たちの経験を漫画にしました。退院してすぐには、まだショックが大きく全ては描けませんでした。退院して1年たった頃に、もう一度着手して描き上げました」
Q.この退院後、娘さんは特に大きな病気やけがはしていませんか。
織田博子さん「この後数回、気管支炎もしくは肺炎で入院しています。後遺症がありましたが、5歳で寛解となりました。今は元気でひょうきんな女の子に成長しました」
Q.娘さん(やっちゃん)が入院していたときのお兄ちゃんの様子を教えてください。
織田博子さん「まだ3歳だったので、なぜ妹が家にいないのか理解していなかったと思います。でも、何かあることは感じている様子でした。『やっちゃん、ゴホンゴホンになって病院にいるんだよ』『応援してあげてね』などと伝えていたかと思います」
Q.娘さんが入院中、特に大変だったことは何でしょうか。
織田博子さん「明日どころか、数時間先の命も分からなかったことや、病院の面会時間が終わって帰らなくてはいけないとき、『生きた姿を見るのが最後かもしれない』と思うのがつらかったです」
Q.とてもつらく心配されていたと思いますが、少しでも気持ちを落ち着かせるためにしていたことなどはありますか。
織田博子さん「今このときのことを考えるのがつら過ぎたので、1カ月とか、1年先の未来のことを考えていました。その未来にはやっちゃんがいて、一緒にいると信じて…。退院して、上野公園の不忍池に咲く蓮の花を一緒に見に行くことを夢見ていました」
Q.今回の作品について、どのような意見が寄せられていますか。
織田博子さん「『自分の子どもも同じ体験をした』という声もあり、胸が痛みました。2024年から妊婦のRSウイルスワクチン接種が認証されました。胎児に免疫が移行されるため、『この漫画を読んでワクチン接種を決意した』という声が多くあり、うれしく思っています」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
織田博子さん「ライフワークは『世界の家庭料理』について発信することです。これからも多様な文化を持つ世界の国々の魅力について、漫画で描いていけたらと思っています。今年はヨーロッパ、アフリカなどで活動範囲を広げる予定です。お楽しみに!」
オトナンサー編集部