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東京・福生市でかつて「埋蔵金」が発見されていた! 90年代ブーム「徳川埋蔵金」とともに振り返る

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多摩地域西部で見つかった埋蔵金

 権力者や盗賊が宝を埋めたという「埋蔵金伝説」は、日本全国あちこちにあります。しかし、実際に発見された例はほとんどありません。

 伝説のなかで特に知られるのは徳川埋蔵金で、江戸幕府が滅亡する前、勘定奉行の小栗忠順(ただまさ)が群馬県の赤城山麓に莫大(ばくだい)な埋蔵金を埋めたというものです。小栗は新政府に斬首されたこともあり、この伝説は信ぴょう性を帯びました。

 1990年代初頭には、テレビ番組『ギミア・ぶれいく』(TBS系列)が徳川埋蔵金について何度も放送。番組には思わせぶりなナレーションが付けられていますが、今改めて見ると大型重機で穴を掘っているだけ――というむちゃな番組でした。

 そんな伝説とは別に、本当に埋蔵金が発見されたことがあります。しかも場所は東京で、1995(平成7)年のこと。多摩地域西部に位置する福生市で見つかった「中世大量埋蔵銭」がそれです。

 中世大量埋蔵銭は福生市の熊川地区で、造園作業の最中に発見されました。見つかったのは、中国の北宋時代(960~1127年)の公鋳銭(こうちゅうせん)を中心にした62種類、5075枚です。

 日本の貨幣は12世紀後半から江戸時代になるまで、主に輸入に頼っていました。奈良時代に和同開珎(わどうかいちん)が鋳造されてから、958(天徳2)年に鋳造された乾元大宝(けんげんたいほう)まで、朝廷による鋳造は行われていました。しかしあまり普及せず、平安時代の日本では絹や米などの物品が貨幣の役割を果たすようになりました。

価値の高かった宋銭

価値の高かった宋銭

 そして、11世紀頃から大陸と貿易を行う九州の商人たちによって再び銭の使用が盛んになり、次第に広まっていきます。

埋蔵銭が見つかった福生市の熊川地区(画像:(C)Google)

 銭の使用に着目した最初の権力者は平清盛(1118~1181年)ですが、その使用が広まると絹や米の価値は下落。このことは平氏政権と朝廷が対立する一因となり、その後、鎌倉幕府は使用を認め、銭の流通は広がるようになりました。

 銭は鎌倉時代から戦国時代まで、大陸から輸入するか国内製造するかのどちらかでした。現代のように国や日本銀行が発行するわけではないため、民衆の間でも銭の製造が行われていたのです

 その価値は銭の質に応じて決まり、輸入されたものは一般的に高い価値とされていました。これは日本に限ったことではなく、宋(そう)代に鋳造された宋銭は、アジアはもとよりアフリカでも通用したといいますから、価値は極めて高かったのです。

いつ、誰が埋めたのか

 さて、前述の福生市で発見された中世大量埋蔵銭ですが、いつ、誰が埋めたのでしょうか。

 福生市の刊行物『福生歴史物語』(1999年)では、16世紀後半と推定しています。まさに戦国時代の真っ只中。当時の福生市周辺の勢力を見ると、後北条(ごほうじょう)氏が武蔵国(現在の東京都、埼玉県、神奈川県川崎市・横浜市にまたがる旧国名)をほぼ掌握。一方、大石氏や三田氏はいまだ上杉氏に仕えて抗戦をしていました。

 1537(天文6)年に後北条氏は、扇谷上杉家の当主・上杉朝定の河越城を落としています。この河越城をめぐる争奪戦は、戦国時代のエピソードではあまり広く知られてはいませんが、後北条氏の関東支配を決定づける戦いです。

 1545年には、城をめぐって後北条氏vs関東全大名(下総の千葉氏を除く)が激突。これに後北条氏が勝利したことで権力は確かなものになります。大石氏は上杉氏とともに越後へ逃れ、三田氏は滅亡するも、一族は後北条氏に仕えたとされています。そんな戦乱の時代に、福生の中世大量埋蔵銭は埋められたのです。

 しかし肝心の、誰が埋めたのかは明らかにはなっていません。『福生歴史物語』では福生市に隣接する昭島市・拝島町エリアの『拝島村大日堂縁起』という文献に触れています。

福生市拝島町1丁目にある大日堂(画像:(C)Google)

 内容は、北条氏に仕えた石川土佐守という武士が大日堂(拝島町1)を建立した際、将来の修復費用として永楽銭1000貫(3750kg)を埋めたというものです。現在の貨幣価値に換算することは難しいですが、億はくだらない金額です。

まじないの意味もあった埋蔵銭

まじないの意味もあった埋蔵銭

 福生市以外にも関東各地で埋蔵銭の出土例があります。前述のような由来がわかるものは少ないですが、その多くは蓄財のために埋めたものがやがて忘れられと考えられています。

 また当時は、銭を埋めることは財産を守るためだけではなく、まじないの意味もあったようです。

福生市の刊行物『福生歴史物語』(画像:福生市)

 豊島区の雑司が谷遺跡では、江戸時代末のものと見られる寛永通宝87枚が見つかっています。これは敷地の境界にある生け垣の下から見つかったことから、何らかのまじないの意味で埋めたのではないかと考えられています。

 このように、日本ではさまざまな理由で貨幣が埋められてきました。そう考えると、江戸時代以降に多くの人が暮らしてきた東京では、まだまだ知られざる埋蔵金があっても不思議ではありません。

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